草餅の節句とも呼ばれる3月3日が近づくと、食べたくなるのが「向じま 志”満ん草餅」(じまんくさもち)の草餅です。この草餅の香りを嗅ぐと思い出すのが幼い頃に食べたよもぎ餅。自生するよもぎを摘み、餅つき機でついてもらったお餅と同じ、豊かな香りがするのです。

(目次)
P1 「向じま 志”満ん草餅」
P2 看板商品の草餅「あんいり」と「あんなし」
P3 「さゝ餅」と「栗きんとんどら焼」など

生のよもぎで作る「草餅」創業以来の味

外観
店構えに気取りはない。
常連客が朝から途切れない。
明治2年創業、「向じま 志”満ん草餅」(じまんくさもち)の歴史は周辺のよもぎを使った草餅を、隅田川の渡船場の横で供したことに始まります。

看板商品の草餅に使うよもぎは今では房州、青森、福島、伊豆などの産ということですが、4代目の鈴木健志さんによると草餅の製法は創業以来変わらず、生のよもぎを茹でて下処理し、上新粉に搗き込んで作ります。

「草餅」で感じる四季の移ろい

よもぎ
茹でて下処理をしたよもぎ
アクが抜け、
粗い繊維も除かれている
生のよもぎを使うため、草餅の味も香りも色合いも、季節によって変化します。例えば春先は色も風味も淡く、夏から秋にかけては次第に濃く、繊維が硬くなり、冬は薬草のような香りに黒ずんだ色といった具合に、草餅1つで季節の移ろいを感じることができるのです。

ちなみに一番人気があるのは、鮮やかな緑色で香りも充実し、よもぎの特徴が分かりやすくなる初夏とのことです。季節限定の「草柏」が登場する端午の節句の頃、一年中で最も多く草餅が売れるそうです。

鈴木さんによると、季節による草餅の違いを楽しむには夏と冬、春と秋など正反対の季節に1回ずつ食べてみるのがお勧めとのこと。ぜひお試しください。

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