京都グルメ/京都のフレンチ

ア・プ・プレ(京都・五条)(2ページ目)

京都の町家レストラン第2弾は、五条駅近くの「ア・プ・プレ」。シェフご夫妻による手作り感あふれる空間、フランス流のどっしりした味付けなど、個性的なフレンチ。京都フレンチの幅を広げる、稀有な1軒です。

執筆者:渡部 功平

フランスの香り、そして味

「ア・プ・プレ」の料理は、ランチが1,200円~、ディナーでもワンプレートの1,600円~用意されています。今回は一番オーソドックスなフルコース、「Suprème」(4,200円)をご紹介。アミューズ+前菜+魚料理+肉料理+デザート+プティフールという構成です。

・アミューズ:グジェールとサーモンのムース

香ばしいシューの味は、何度食べても飽きないもの。いろいろな店でいただきますが、それぞれに個性があって楽しいですね。こちらのものは、ふかふか感が際立っていて、空腹に優しく染み渡ります。

サーモンのムースには、レモンピールのコンフィとピンクペッパーが添えられています。滑らかなムースの後に来るレモンの爽やかな酸味に、気持ちが安らいだと思ったら、ピンクペッパーの刺激が。キールと共にいただく3段階の味わいは、これに続く個性的な料理への期待を高めます。

・前菜:エスカルゴ

食べている間もずっと香りを楽しんでいられるほど素晴らしい芳香。エスカルゴのはじける食感は、アツアツに注意です。そして、面白いのが付け合せ。見た目にはごく普通のピクルスですが、こちらに酸味はありません。これは淡く味付けした野菜と、ニョッキ。そう、エスカルゴの素晴らしいソースを、このニョッキにつけていただくのです。ちょっとしたことですが、ソースの一滴まで楽しめる、素晴らしいエスカルゴでした。

・スープ:金時人参のスープ

ひとことで言えば、まるごと人参。素材の持つ甘みも苦味も、そのままスープの中に溶け込ませた味です。通常の西洋系にんじんと違い、東洋系の金時人参を使うのは珍しく、いつもとは違う香り・風味がとても新鮮。クルミオイルでコクを加えたスープは、和食のような清清しさと、フレンチならではの一体感があります。

・魚料理:スズキのポワレ

申し分ない魚の火入れは、ふわっとした身の広がりを生みます。この時期のスズキは夏ほど身のふくらみはありませんが、しっかり「料理」することによって、舌を喜ばせる一品になっています。変わったことといえば、せいぜいソースに柑橘の爽やかさを加えたくらいですが、つくづく料理というのは「素材をおいしくすること」だ、と感じさせてくれます。シェフのしっかりした技術が伝わってきました。

次ページではコースの後半をご紹介します
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