京都グルメ/京都のフレンチ

エピス(京都・出町柳)(3ページ目)

京都御苑すぐ傍のフレンチレストラン。築100年以上の町屋を使っていますが、こちらの特徴は、生産者の顔が見える野菜。当たり前のことをこなした上で、その先を目指す若手シェフの、新生レストランです。

執筆者:渡部 功平

・長野県・のろまん農場のラ・フランスの一皿

さて、ここからはデザートです。手前のチュイールの下は、ラ・フランスをサフラン風味でコンポートしたもの。そして奥のグラスは、コンポートしたときのシロップをジュレで固めています。

ラ・フランスとジュレは、どちらも同じ味。つまり、ちゃんと時間をかけて中まで味が染み渡るようにコンポートしているということ。同じであるがゆえに、食感の違いから来る味の違いを楽しめます。やわらかい果実は、すぐに甘みを口内に広げる優しい味。それに対して、ジュレの方は口の中で溶ける、その一瞬の間に力をためこんでいたかのように、一気に甘みを感じさせてくれます。シンプルなようでいて、なかなか奥深いデザートです。

・エピス自家製チーズケーキと大葉のアイスクリーム

こちらは以前の訪問時にいただいた「人参のクリームブリュレ」
こちらは以前の訪問時にいただいた「人参のクリームブリュレ」
さらにデザートがもう1皿。このお値段にも関わらず、たくさんの料理に加えてデザートも2品という構成に感動です。また、デザートのどこかには必ず野菜を使ったものが登場するとのこと。今回はこの大葉のアイス。密度の高い、濃厚なチーズケーキに、苦味でさっぱりとさせてくれる大葉は素晴らしいパートナー。2皿ともとても満足感の高いデザートで、右肩上がりのコースの締めくくりにふさわしいものでした。

無農薬栽培の、こだわりフレッシュハーブティー
無農薬栽培の、こだわりフレッシュハーブティー
食後の飲み物、お勧めは300円追加のハーブティー。「いろいろ試した中で、これが一番おいしかった」と選んだのは、比叡山の中腹で育てられている無農薬ハーブを使ったフレッシュハーブ。大きめにカットされたハーブはフレッシュならではの贅沢感。さらにレモンバームほか合計5種類をブレンドしているので、青臭さもなく、すっきりと飲めるハーブティーです。

コーヒーには選べる楽しさも
コーヒーには選べる楽しさも
ハーブティーが苦手な方には、コーヒーも良いでしょう。味の安定性に定評ある「ネスプレッソ」を使っていて、味わいの強さや産地別で、12種類のフレーバーから選べるのです。酸味よりも苦味派で、バランスの良いコーヒーが好きな僕は、「ローマ」か「ヴィヴァルト」あたりをおすすめします。

料理は京都らしく、全体にあっさりとした味わい。それだけに、野菜の持つ旨みが強く印象に残ります。それぞれの料理を見ていくと、けっして変わった料理というわけではありません。しかし、京都の老舗フレンチ「ボルドー」などで、じっくりと修業をしてきたシェフの技術はとても確かなもの。しかも、木棚やベルナルドーなどの食器を使ったプレゼンテーションでも楽しませてくれます。

「当たり前」のその先へ

このレストランが良いのは、当たり前のことを当たり前にこなした上で、その一歩先を目指していることでしょう。町屋も自然栽培の野菜も、シェフにとっては当たり前。その上で、良い素材を使って、しっかりした料理を面白いプレゼンテーションで楽しませてくれます。しかも井尻シェフはまだ31歳、これからがますます楽しみです。

暖簾には恵比須さんの絵が。よく見ると「゜」をつけてあり、これで「エピス」と読ませています
暖簾には恵比須さんの絵が。よく見ると「゜」をつけてあり、これで「エピス」と読ませています
<店データ>
■「エピス
所在地:京都府京都市上京区寺町通り今出川下る真如堂前町105
TEL: 075-222-2220
定休日:水曜日
営業時間:昼 11:30~14:30(ラストオーダー)
      夜 17:30~21:00(ラストオーダー)
交通・アクセス:京阪 出町柳駅より徒歩約6分
地図:Yahoo!地図情報

HP:エピス
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※メニューや料金などのデータは、取材時または記事公開時点での内容です。

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