京都グルメ/京都のフレンチ

エピス(京都・出町柳)(2ページ目)

京都御苑すぐ傍のフレンチレストラン。築100年以上の町屋を使っていますが、こちらの特徴は、生産者の顔が見える野菜。当たり前のことをこなした上で、その先を目指す若手シェフの、新生レストランです。

執筆者:渡部 功平

野菜が主人公の、ディナーコース

・アミューズ

和室の床の間、違い棚をイメージして作られた木棚に入れられてくるプレゼンテーション。思わず「かわいい」と、男女問わずに口から出る面白さですね。中身は上から、人参のムース、きのこのボルドレーズ、グジェール。

それぞれ、優しさとしっかりした味わいの両方を持っていますが、やはりお気に入りは人参のムース。埼玉・田下農園から取り寄せている人参を使い、香りと甘さを最大限に引き出したシンプルなムースは、心温まる味。同じ野菜を使った「レ・ブランド(東京)」のパスタを、「ランチスポット首都圏」の菜々山さんも紹介されています。

他の2品も、ボルドレーズのニンニクやエシャロットのしっかりした味わい、温かいグジェールのレベルの高さなど、スターターとして、しっかりとその役割を果たしてくれる3種です。

・野菜のテリーヌ

周りを白菜で巻いた、野菜のテリーヌ。中身は蕪大根、人参、ズワイガニ、ゴボウ、カリフラワー、ブロッコリー、ネギと、この1品で豊富に野菜が摂れる嬉しい一皿。無理な味付けはせず、シンプルに野菜を楽しむ1皿で、お好みに応じてソースを付けると良いでしょう。でも、せっかくのこだわり野菜たち、まずはそのまま味わってみてください。

・牡蠣のグラタン

今度は海の恵みをしっかりと味わいましょう。広島産の大きめ牡蠣を殻のまま…ではなく、やはりしっかりと野菜も入れてグラタンに。塩よりも牡蠣自体の旨みが主張する、優しい味わいのグラタンです。

・大蕪のポタージュ

この日、一番印象に残ったのはこのお料理でした。味だけでいえば、薄味の作りではあります。しかし、使っている蕪が、じわじわとその持ち味を浸透させてくるのです。そして、口の中が蕪の味になったかと思うと、余韻と共にすっと消えていく。蕪は、八日市の植木さんが作られているものだそうで、しみじみといい食材だな…と思わせてくれます。生うにとシブレットも、蕪の風味を邪魔しないように、慎重に使われている、素晴らしい一品でした。

・たらのソテー タップナードソース シューブレゼ添え

そしてここから、さらに料理のテンションが上がっていきます。たらの持つ水分を見事にコントロールし、旨みを引き出したソテー。身の中まで、しっかりと旨みがあります。その旨みと、酸味をもって互いに味を高めあうタップナードソースもいい塩梅です。下にはブイヨンの旨みが染み込んだシューブレゼ(キャベツの蒸し煮)が添えられ、全体のバランスを支えています。

・和牛ホホ肉の赤ワイン煮込み

メインはやはりしっかりとしたものを、ということでしょう。コースを通してだんだん味が強くなっていく流れはお見事。この寒い季節には嬉しいブッフ・ブルギニヨンは、主役を張るに十分な力強さ。添えられている2色のピュレは、ブロッコリーとカリフラワー。ブロッコリーの苦味はソース全体の甘みと合うように。逆に、カリフラワーの甘みはソースに残るタンニンの苦味と合うように構築され、すべてが一体となった料理です。

次ページから、コースのデザートをご紹介します
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