・羊の背肉ローストと肩肉の煮込み 柚子味噌風味
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シンプルとオリジナリティーの見事な競演 |
骨付き背肉、肩肉の2種類。背肉はシンプルにロースト。これもときどき様子を見ながら、丁寧に焼いている様子がカウンター席からバッチリ見えます。ややレア感が強いのですが、臭み等はなく、意外にあっさりした味わい。同席いただいた羊嫌いの方でも食べられるほど。一方、面白いのが肩肉で、煮込んだ後に柚子味噌をつけ焼き。ホロッと崩れ、味噌のおかげでシヴェのように濃厚なのに、爽やかで食べやすい味わいになっているのです。付け合せは、菊芋、こごみ、そしてフランス産のホワイトアスパラで、しっかりと季節を感じさせてくれます。
・みかんのクリュとショウガ風味の金柑ジャム、バニラ風味のシブーストクリームを挟んだタルトレット仕立て、チョコレートのソルベ、カッテージチーズとコリアンダーで飾って
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食感・味ともに計算し尽くされたデザート |
タルト生地の上にバニラクリームが乗せられ、フレッシュなみかんと金柑ジャムを皿全体にちりばめています。甘さと酸味のバランスが絶妙で、そこにコリアンダーを加えて味のアクセントに、そして食感のアクセントにはカッテージチーズ。非常によく考え抜かれたデザートといえます。添えられたチョコレートのソルベは、アイスでは重過ぎるので、ソルベにしたとのこと。こと料理界において、日本人の仕事の細やかさには世界中で定評ありますが、ステファン氏の作る料理は、それに勝るとも劣らないもの。
・プティフール3種
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プティフールまでしっかり出てくるレストランはくつろげますね |
プティフール3種は、ココナッツのロシェとバナナのタルト、ピスタチオのショコラ。シェフが祖国フランスで選んできたガラスの器も素敵で、乗せられた小菓子たちも美味。特にココナッツの焼き菓子はお気に入りで、素材が香ばしく香り、焼くことで粉と一体感がより強くなり、力強さを増しています。この日は紅茶とともにいただきながら、シェフの故郷・プロヴァンスやパリのこと、京都のこと、いろいろなことをお話しました。
次ページでは陽気で真面目なシェフ、
ステファン・パンテル氏をご紹介。