ワイン/ワインバー・レストラン

精妙な味:エディション・コウジ シモムラ(2ページ目)

軽く、あくまで軽く。そして美味しく。フランス料理を変えたベルナール・ロワゾーの精神を継承する下村浩司シェフが創造する独自の料理世界を、ワインと合わせてみた。

執筆者:橋本 伸彦

岩海苔とウニがフランス料理に

手前に『生ハムとケッパー・スプラウトのミニ・バーガー』そして背後に『パルメザンチーズと黒胡椒のチュイル』
アミューズグール(付き出し)は『生ハムとケッパー・スプラウトのミニ・バーガー』そして『パルメザンチーズと黒胡椒のチュイル』。生ハムでケッパーの新芽を包んで小さなバンズで挟んである。隣にパルメザンチーズを加熱して作ったパリパリの薄片がある。これらは金属皿の上に置かれたオブジェともいえる形態で「何だろう?」「どんな味だろう?」と考えさせられる。これから供される料理にも、今まで出会ったことがないような趣向が凝らされていそうな兆しである。

前菜は小ぶりなカクテルグラスに盛られた『海藻塩でアセゾネしたマスカルポーネと雲丹のコンビネーション』。ウニに岩海苔が散らされているこの料理とテーブルで対面して、「和風フレンチ」のような風味だろうかと一瞬戸惑う。スタッフに勧められるまま、下の層に置かれているコンソメジュレとフレッシュチーズとともに、ウニと岩海苔をスプーンでざっくりとすくって口に入れてみる。

海藻塩でアセゾネしたマスカルポーネと雲丹のコンビネーション

柔かく甘味が豊かで純粋な風味のウニが、ふるふるした繊細なコンソメジュレと、そしてほのかに甘くそしてすべすべした舌触りのマスカルポーネと、口の中で渾然一体になる。クリーミーな味わいの中に、食感と潮の香りのアクセントを与えるのがさくさくした岩海苔とプチプチした飛子、そして海藻塩。これは和の素材を組み込みながら、見事にフランス料理として主張する料理である。

アルザス リースリング ヴィエイユ・ヴィーニュ 2000年 (マルク・テンペ)
この前菜に合わせて供されたのは、アルザス産リースリング種の白ワインである。ヴィエイユ・ヴィーニュすなわち古木のブドウを使っているから調和やなめらかさがあり、これがリースリングのミネラル感そして熟成と相まって、まろやかでコクのある味わいは料理の一体感を崩さない。潮の香りを際立てつつ洗い流してくれる酸味や果実香も豊かで、申し分ない組み合わせだった。


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