ワイン/ワインバー・レストラン

精妙な味:エディション・コウジ シモムラ(5ページ目)

軽く、あくまで軽く。そして美味しく。フランス料理を変えたベルナール・ロワゾーの精神を継承する下村浩司シェフが創造する独自の料理世界を、ワインと合わせてみた。

執筆者:橋本 伸彦

カカオの風味を味わい尽くす

カカオのデクリネゾン(ガナッシュ、水、ソルベ) スペイン産オリーブオイルとマルドン塩と共に
下村氏の才能はデザートでも、いかんなく発揮される。『カカオのデクリネゾン(ガナッシュ、水、ソルベ) スペイン産オリーブオイルとマルドン塩と共に』では、カカオをふんだんに使ってクリームを省いたチョコレートのペーストに風味豊かな緑色のオリーブ油を垂らす。クルミ入りのパンで作った極薄のチップスを添え、トッピングに英国エセックス州で作られる海塩の結晶と、甘味を含ませた黒オリーブ。

ガナッシュの横にたっぷりと置いてくれるのは凍結粉末状のカカオ。この皿と合わせて小さなグラスで供されるのは、カカオの殻から風味を抽出したほんのり甘味のある水。さまざまな形でカカオの風味を堪能できるアンサンブルだ。

ハーブティーと『チコリと豆乳のプティ・ポ カボチャのタルティーヌ』
最後に供されるミニャルディーズ(小菓子)は、『チコリと豆乳のプティ・ポ カボチャのタルティーヌ』。ひと口サイズのグラスの中には豆乳とチコリの根をなめらかなピュレ状に固め、トッピングはサクサクの生地の上にカボチャのピュレを小さく絞り、カボチャの種を配したもの。野菜の風味が生かされ、食後感は非常にさっぱりしている。

出色なのはフレッシュハーブをガラス器で煎れる、目にも涼やかなハーブティーである。色はとても淡い鮮緑色だが、口に含むと意外に香りが豊かで風味のバランスが印象的である。無農薬栽培のハーブを、季節に応じて10種類ほど配合しており、この日はミントだけでも4種類、他にタイムやレモンバームなどを使用していた。これほど完成度の高いハーブティーにはなかなかお目にかかれない。ハーブティー好きの人、あるいは今までハーブティーは嫌いだと思っていた人に強くお勧めしたい。

このように、『エディション・コウジ シモムラ』の料理はどれも丁寧な仕事が施される。適確に火を通し調味されたひとつひとつの素材が組み合わさって、精妙なバランスとハーモニーが実現しているのである。ワインリストは、コンパクトながら日本を含む各国から多彩なワインが選ばれており、料理を熟知したサービス陣に相談すればぴたりと適確な組み合わせのワインを提案してくれるだろう。


■ エディション・コウジ シモムラ
所在地:東京都港区六本木3-1-1 六本木ティーキューブ1F
アクセス:日比谷線・都営大江戸線六本木駅5番出口より徒歩6分、南北線六本木一丁目駅1番出口より徒歩約3分
TEL:03-5549-4562
営業時間:ランチ 12:00~13:30(LO) 、ディナー 18:00~21:30(LO)
定休日:不定休

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