衝撃のイタリアン

ワイルドな胡雄一郎シェフ
レストランに食事をしに行く理由は、いくらでもある。だが「旨いものを食いたい!!」という本能が目覚める時、私ならここへ行く。胡雄一郎シェフがたった独りで腕を振るう、池袋の『キッチン胡』である。エノテカ・ピンキオーリで修業したとか、料理人対決のテレビ番組に出たとかそんなことは、この際どうでもよろしい。

胡シェフは二代目である。この場所が出来た2004年には父上の胡英二郎氏がキッチンに立って、見事な洋食をふるまっていた。だが2005年末に体調を崩して引退し、息子の雄一郎氏に交代したのである。交代した当初から、全てのメニューに徹底的に本格的な仕事をする様子は鬼気迫るものがあった。なにしろ肉をさばきチーズをおろすといったところから全て独りで仕込み、料理を独りで提供するのである。また、ワインは一通り揃っている上に、持ち込み料を払って自分のワインを持参できる。

さりげないカンパチのマリネはインパクト充分

特に前菜の「切れ味」は大したものだ。例えば魚のマリネなら、その味付けそして漬け込み加減、ハーブとのバランスが絶妙である。分かる人はひとくち食べてまずピンとくるはずだ。そう、ただものではない。では繊細な料理なのかというと、次に拳ほどの大きさのミル貝がつぼ焼き状になってドンと出てくる。黒トリュフの溶けたジュースがたまらない。

次にパスタが2種。原木シイタケを散らしたものと白トリュフを散らしたもの、どちらも薫り高い。気がつけば、パスタも夢中で頬張っている。白ワインをゴクゴクと飲み干す……至福である。
コリコリと肉厚なシイタケのパスタ


さあ、次は何だ?