ワイン/ワインの種類

赤ワイン等のブドウの品種……産地と特徴

赤ワイン用のブドウには、たくさんの種類があり、伝統的で有名なブドウ品種がいくつかあります。主な品種の特徴とボルドー地方などの産地をおさえておくと、ワイン選びの指標となり役立ちます。好みのタイプのワイン、お気に入りのブドウ品種を探ってみてはいかがでしょうか。

名越 康子

執筆者:名越 康子

ワインガイド

赤ワインのブドウの品種とは?

産地別赤ワイン

赤ワイン用ブドウ品種の中から、9種類の伝統的な品種を選んでみました。
   

赤ワイン用のブドウ品種:カベルネ・ソーヴィニヨン

ボルドーの赤

ボルドーの赤

フランスのボルドー地方で多く栽培されている品種で、特にメドック地区の主要品種とされています。今ではカリフォルニア、オーストラリア、イタリア、チリなど各国でも人気で、日本でも栽培されています。ボルドーでは、ほとんどがメルロなどとブレンドされますが、他国では単一品種でワインが造られることも多い品種です(ただし、ラベルにカベルネ・ソーヴィニヨンと記してあっても少量他品種がブレンドされているものも)。
色が濃く、カシスやブラックベリーといった黒い果皮の小さな果実の香り、それにスパイシーさが加わることが多く、力強い味わいで、タンニンも豊かなのが特徴です。
 

赤ワイン用のブドウ品種:ピノ・ノワール

フランスのブルゴーニュ地方の伝統的な品種で、単一品種でワインが造られます(少量ですがガメイとブレンドされるカテゴリーもあります)。また、シャンパーニュ地方でも多く栽培され、白やロゼのシャンパーニュが造られています。カベルネ・ソーヴィニヨン同様、多くの国で栽培される人気品種ですが、比較的冷涼な産地で成功しています。ブレンドされることは少ない品種です。
比較的明るい色合いで、ラズベリーやチェリー、梅などの酸味を伴う赤い果実、花などの、華やかな香りが魅力的で(この香りに惹かれる人が大勢います)、上品な味わいで、タンニンはそれほど多くはありません。
 

赤ワイン用のブドウ品種:メルロ

カベルネ・ソーヴィニヨンと同様に、ボルドー品種のひとつです。ボルドー地方では特に、右岸と呼ばれるポムロール、サンテミリオンなどで主体となる品種です。こちらも世界的に人気があり、各国で栽培されています。ボルドーではカベルネ・ソーヴィニヨンなどとブレンドされることが多いですが、他国では単一品種で、というケースのほうが多いかもしれません。
色が濃いめで、アメリカンチェリーなどの黒い果皮の果実の香りがして少しカベルネ・ソーヴィニヨンに似ていますが、よりふっくらとした香りで、味わいも酸やタンニンがそれほど強くなくまろやかなのが特徴です。
 

赤ワイン用のブドウ品種:シラー/シラーズ

これはオーストラリアなので「シラーズ」です

これはオーストラリアなので「シラーズ」です

フランスのローヌ地方や南フランスで、単一品種あるいはグルナッシュなどとブレンドされる品種です。他国ではオーストラリアでの実績が有名で、南オーストラリアを中心にしてシラーズと呼ばれています。こちらもとても人気で各国で栽培が盛んに行われています。最近、日本でも注目され始めている品種のひとつですよ。
色が濃く、アメリカンチェリー、プラム、スミレの花、スパイス(特に胡椒)などの香りが豊かで、酸やタンニンはそれほど強くなく(カベルネ・ソーヴィニヨンほどではない)、タイトでなめらかな味わいです。
 

赤ワイン用のブドウ品種:グルナッシュ/ガルナッチャ

フランスの南ローヌ地方や南フランスで、単一品種あるいはシラーなどとブレンドされる品種です。スペインではガルナッチャと呼ばれています。比較的暑い気候で栽培されることが多く、よく熟しアルコール度数が高くなることが多い品種です。
色が濃く、アメリカンチェリーやプラムのリキュールやチョコレートを思わせる、ふっくらとした、シラーよりフルーティーな香りで、酸やタンニンは少なく、厚みやボリューム感があります。
 

赤ワイン用のブドウ品種:ネッビオーロ

北イタリアのピエモンテ州を中心として栽培されている品種で、バローロやバルバレスコ、といったワインの名前でよく知られています。これらは単一品種で造られています。他国でも栽培はされていますが、あまり成功している産地はありません。
色は濃くありません。色は薄いのに、力強い味わい、特にタンニン分がとても豊かなところが、この品種ならでは。飲み頃が比較的遅いワインになります。
 

赤ワイン用のブドウ品種:サンジョヴェーゼ

サンジョヴェーゼ100%のブルネッロ・ディ・モンタルチーノ

サンジョヴェーゼ100%のブルネッロ・ディ・モンタルチーノ

中央イタリアのトスカーナ州を中心として栽培されている品種で、キャンティ、キャンティ・クラシコ、ヴィーノ・ノービレ・ディ・モンテプルチャーノでは主要品種となり(100%も可能)、ブルネッロ・ディ・モンタルチーノでは単一品種で造られています。こちらも、他国でも栽培されていますが、あまり成功していません。
色は基本的には濃くなく、アメリカンチェリー、ラズベリー、ブラックベリーなど、産地の条件によって果実の香りが異なりますが、酸やタンニンが豊かな上品な味わいです。
 

赤ワイン用のブドウ品種:テンプラニーリョ

スペインのリオハ地方やリベラ・デル・ドゥエロ地方、ポルトガルを中心として栽培されている品種で、ガルナッチャなどの補助品種とブレンドされることが多く、気候などの立地により随分個性が異なります。これもイベリア半島を除くと他国ではあまり成功していません。
アメリカンチェリーやブラックベリーからラズベリーなどの香りもする、カベルネ・ソーヴィニヨンとピノ・ノワールの個性を、それぞれ少しずつ足したようなニュアンスで、エレガントなタイプから力強いタイプまで存在します。
 

赤ワイン用のブドウ品種:ジンファンデル

アメリカのカリフォルニアを中心として栽培されている品種で、赤ワインが主体ですが、淡いピンク色のほんのり甘口のロゼも造られています。南イタリアのプリミティーヴォと同種とわかっていますが、原産は東欧のようです。その他の国での栽培は、それほど知られていません。
色が濃く、ラズベリー、アメリカンチェリー、プラム、レーズン、そしてとてもスパイシーな香りで、エレガントなタイプからボリューム感のあるタイプまで様々ですが、酸やタンニンはそれほど強くありません。

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