京菓子とお茶をあわせる
一日が終わって、自宅でのんびり。そんなときに美味しいお菓子とお茶を楽しめるといいですね。
そこで、今回は、京都の和菓子を取り寄せて、お茶と合わせてみました。
永楽屋の重陽を選んだわけ
まずはお菓子選びから。日本全国見回してみると、お茶に会うお菓子はあちこちにあります。日本はお茶の国。だからそのお茶にあわせたお菓子があちこちで生まれました。 でも、そんな美味しいお菓子たちを日本茶に独占させておく手はありません。和菓子といえば京都。お茶の文化も京都を中心にはぐくまれたため、京都にはたくさんのお菓子が存在しています。
今回選んだのは、数ある和菓子の中から永楽屋(えいらくや)の「重陽(ちょうよう)」というお菓子です。
これは、琥珀という種類のお菓子です。寒天と砂糖を煮詰めて、冷やし固めたもので、宝石の琥珀に似ているため、このような名がつきました。寒天と砂糖を煮込んだ御菓子を「錦玉(きんぎょく)」といいますが、その一種です。
三色が綺麗な菊の形の御菓子
重陽という名前は、旧暦9月9日の重陽の節句から取られた名前だそうです。重陽の節句は、中国ではちょうど秋の菊の菊を眺めながら「観菊の宴」などが開かれたり、菊の花の香りを移した菊花酒などが飲まれたのだそうです。このお菓子の形は、そんな菊に模して形どったものなのです。
永楽屋が作るの琥珀にはいくつかの種類があり、ガイドひらたは、柚子の皮がはいった琥珀が大層お薦めなのですが、重陽もまた、3つの味のバリエーションを楽しめる美味しいお菓子です。
琥珀独特の磨りガラスのような表面とシャリシャリとした食感の奥には、プルンとした舌さわりがあり、とても透明でやさしい甘みが広がります。シャリの後のプルンギャップは、なんともお菓子の楽しみを倍増してくれる面白さ、そして味わいの豊かさがあります。
この重陽には、抹茶、あずき、紫蘇の3種類があり、抹茶は「ぷるん」の部分が上品な抹茶味。あずきは、ふっくらとした小豆の粒がそのまま閉じ込められています。そして、紫蘇は、細かく刻んだ、「ゆかり」に似た紫蘇が混ざっているというもの。
重陽は武夷水仙と合う
割ると中はこんな感じ
このお菓子は、見た目甘そうなお菓子なのですが、実は思いのほか甘さ控えめ。シャリシャリ、プルンの食感が口の中に広がるときに、ベースの抹茶味や紫蘇のかおりがほのかに漂う、奥ゆかしい御菓子です。だから、これにはあえて焙煎の強めのお茶をあわせると、美味しくいただけるのではないかと思います。
今回、中国茶ガイドひらたがあわせてみたのは、武夷水仙。オーソドックスで香りのよいお茶です。
武夷岩茶については、すでにここAll About[中国茶]サイトのガイド記事でも取り上げてきたので、ここでは詳しくは語りませんが、この武夷水仙は、もともと建陽の大湖村、巌義山祝仙洞で産出された茶樹が、その後、武夷山に移植されたものです。清代からのお茶で、発見された大湖村の祝仙洞の場所にちなんで「祝仙」となずけられましたが、その後、「祝」と「水」が同じ発音だったことから後に「水仙」と改名されたといわれます。
武夷水仙と合わせる
一時期大量生産されたために、質の悪いものが出回りましたが、もともと古い茶樹ですから、しっかりと岩場に根付いた古い茶樹から作られる武夷水仙は、老叢水仙と呼ばれ、味わいはどっしりと奥行きがあって、香りもメリハリのある甘さを持ったものが多いお勧めのお茶なのです。
もちろん、中火の焙煎を施した鉄観音や凍頂烏龍茶などにも良く合うおちゃですから、ちょっと上品なお茶かをしてみたいなとか、年配の方を招いたときにお茶と一緒におだしするお菓子としては最適だと思います。
中国茶だから中国の御菓子ということではなく、いろいろな「好き」とあわせて見ると面白いと思います。
永楽屋の重陽はここから注文できます。
おいしい武夷水仙王は迎茶へどうぞ!
岩茶房にも老水仙などがあります。
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ラ・メランジェの武夷水仙もお勧めです。
和菓子のことなら、原 亜樹子さんがガイドするAll About[和菓子]サイトへ
お茶に合うほかのお菓子は?