中国茶/中国茶の基礎知識

中国茶は安全か?農薬問題を考えてみる(3ページ目)

中国原産の中国茶。一時期問題となっていた農薬問題はどうなっているのでしょう。中国の農薬に関する基準などを追ってみました。

執筆者:平田 公一

食品規格への期待

おいしくて安全な茶が飲みたい
中国では90年代初頭から、中国国内基準及び外国輸出基準のクリアーを目指すために、食品に関する規格が設立されています。当初は国営農園からスタートしたこれらの規格は、1994年以降には中国農業省によって民間企業にも認可されるようになりました。

これは、現在では、『無公害食品』、『緑色食品』『有機食品』の3つの規格に分類されて、食品の安全に配慮されるようになりました。もちろん、この食品規格は、「JIS」規格とは異なるため、日本への輸入に際しては、適切な検査が必要であることは言うまでもありません。

■ 無公害食品

無公害食品は、農産物に対する基本的な基準として政府から義務づけられている最低限の規格です。国内向けの流通商品は、無公害食品の認定が行なわれないと流通できないと言われています。認定機関は「中国農業省」で、実際の認可は、省、直轄市農業庁(局)が行なっています。検査と残留測定が同時に行われますが、農薬残留は基準以下にすることと、生産から消費までのクオリティーコントロールが要求されます。ただし、生産過程で限定的化学合成物を使用することが認められています。更新期間が設定されていないところが問題視されています。

■ 緑色食品(Green Food)

緑色食品の表示

生産過程において、規定内の減農薬でかつ遺伝子組替え技術を一切使わず生産した「安全、優良な品質、健康によい食品(原材料及び加工品を含む)」を『緑色食品』といいます。認定機関は中国農業省・中国緑色食品センターです。3年ごとに更新が必要であるほか、不定期に立入検査がおこなわれ、認定されている企業・工場のみが「緑色食品」の認定証を表示することができます。

認定基準としては、優良な生態環境で生産されていること。(優良な生態環境とは、規定された産地観測、地質、空気、水分など緑色食品生産指標と符合すること)、食品の生産過程が緑色食品生産技術標準と符合していること。(緑色食品生産技術標準とは、生産中使用する投入品、農薬、肥料、獣薬、飼料、食品添加剤などの生産技術標準の指標)、食品が指定され観測機構で検査され合格すること。(貴金属、農薬残留量、微生物など緑色食品指標と符合すること)などが決められています。

「緑色食品」は、AA級(白地に緑のマーク)とA級(緑地に白のマークという二つの等級に分けられます。AA級は厳しい生産基準に基づき生産されるものであり、A級は比較的緩やかな生産基準の下で生産されるものです。

「緑色食品」の基準
等級 AA級 A級
環境 土質、水質、大気条件の環境要素に関する測定値の係数が、すべて1以下であること。 土質、水質、大気条件の環境要素に関する測定値の総合係数が、1以下であること。
生産 全生産過程に置いて、化学肥料、農薬、生長促進剤及び遺伝子組み換え技術を使用しないこと。 生産基準に基づき、特定の時期に特定の化学肥料及び農薬の使用はできる。
製品 すべての化学合成物質が検出されてはならない。 国際化学製品連盟に使用許可されている肥料、農薬については、その残留は国際公認基準の2分の1以下とする。
包装 製品及び環境への二次汚染がないこと。標識は緑地に白。認可ナンバーは偶数 製品及び環境への二次汚染がないこと。標識は白地に緑。認可ナンバーは奇数


■ 有機食品

有機食品の表示

有機食品とは、3年以上生産過程でいかなる化学合成農薬、化学肥料および化学合成土壌改良資材を使用せず、堆肥等による土づくりを行った場で収穫した農作物について認定する基準です。原料が無汚染で、種や苗についても遺伝子組替え技術を使わないことが条件となっており、さらに加工過程で合成防腐剤・食品添加剤・人工色素を不使用であることが求められています。

中国農業省・中国農業科学院茶葉研究所所属の有機茶センターが認定機関とされており、1年毎の更新となっています。国際規格を参考に導入されていることから、中国では主にEU向け輸出の基準となるべく使われています。

具体的な基準としては、自然な生態環境で生産されていること。(自然な生態環境であることの審査は、産地観測、地質、空気、水分など有機食品生産指標と符合していることが条件)、有機食品の生産過程は有機食品生産技術標準と符合していること(農家有機肥料などを使用する。化学合成農薬、化学肥料など使わないこと)、有機食品は指定された観測機構で検査して合格すること。(貴金属、微生物など有機食品指標と符合すること)とされています。

従来、有機食品の正式な規定がなかったため、不適切な表示が横行しましたが、昨今国際機関が厳しい規定を設け管理するようになったため、現在では工場ごとに生産者を認定し、認定した生産者が生産するもののみ「有機」と表示することを許可しています。


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