たくさんある多様なお茶にとても興味をもって眺めて来た有本さんだけに、いまの大陸のお茶の普及には複雑な思いがあるようです。
「武夷山の茶芸。ちょうど日本から来ているツアーの方々が武夷山の茶芸をみるというので、そこに紛れ込ませてもらったのですが、綺麗なお姉さんが踊りながらお茶を入れるパフォーマンスにはびっくり。お茶を飲むことって、もっと日常的なことではないかしら。」
そんな有本さん、今の日本の中国茶ブームにもちょっと厳しい目を向けています。
「たとえば君山銀針というお茶を日本でよく見かけますが、あれって本物なのかしらと思います。現地に行けば逆にほとんど手に入らないお茶。特別な人たちだけが飲むことを許されているお茶という感じですね。それが日本ではあちこちで売られている。
白毫銀針もそうですよね。真っ白な銀針の芽のお茶は、とても値段が高いのです。ところが日本では誰でも入手できる。
それから、武夷岩茶。日本で売られている岩茶であの「岩韻」が感じられるものはとても少ない。なのに中国茶講座などでは岩韻のしないお茶を飲ませて「ほら、岩茶の特徴はこの岩韻にあるのです。」といわれても、わからないですよね。日本の茶荘には、やはりちゃんとしたいい物を扱って欲しいと思います。」
中途半端に高くて、しかも本物かどうかわからないお茶が、ブームのおかげで氾濫してしまったのは、確かにいろいろな波紋を投げかけているのでしょう。もちろん中にはとてもまじめに商売をされている人たちもいますが、一方でブームを利用している人たちも確実にいるのかもしれません。
さらに、茶荘だけではなく、それを受け止める側の柔軟性のなさも問題ではないか、そう有本さんは指摘します。
「お茶はこうでなくちゃいけないというものではないはずですよね。もっと自分が個性を発揮して自由に楽しめばいいと思うのですが、中国茶が好きな人たちの中には、視野が狭くなってしまっている人が多いように思えます。
たとえば、武夷山に行ったとき、一緒になった女性なのですが、勉強熱心なのも良いのですがだからといって、日本から水まで持っていってそれでお茶を入れるというのはどうなのでしょうね。現地の水で飲むからおいしいというお茶、あると思うのですけどね。」
ご自分では濃い目に入れたジャスミン茶にトニックを加え、そこに杏露酒を数的たらしたカクテルなどを楽しむ有本さん。彼女のお茶に対する柔軟性、とても素敵だと思えました。
このほかにもマレーシアのキャメロンハイランドの紅茶の話や上海の店舗展開する茶荘のお話、さらには、台湾の有名な茶荘のオーナーのお話など等、尽きないお話を本当にいろいろとお聞きしてきました。
有本さんの中国茶のエッセンスは、「中国茶 香りの万華鏡」(小学館)にぎゅっと詰まっています。是非、ページを開いてみてください。
▼ 中国茶 香りの万華鏡
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ISBNコード: 4094182713
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