文山包種茶
まずは、台湾の文山包種茶。文山包種茶は、台湾北部の台北県文山茶区(坪林等、文山・木柵)一帯で採れる青茶で、発酵度が15%と非常に低く、緑茶とは異なる製造方法のため、緑茶に似たテイストながら、緑茶よりあまく蘭に似たすばらしい香りがします。青茶の中にあっては、比較的その製造工程が単純なお茶だといえるでしょう。ただし、これはあくまでも製造工程が単純ということだけであって、それぞれの工程には、熟練の職人技が必要であることは言うまでもありません。
採 摘 |
↓
日光萎凋 (一部熱風萎凋) |
ように広げられ日光に10~20
分ほど晒し、発酵を促進させる。
↓
室内萎凋及び揺青 |
良い場所にしつらえられた棚に
置かれる時々茶葉を攪拌し、傷
を付け茶葉の発酵が進むように
する。室内萎凋と揺青を繰り返
し行い、半日程室内に置かれる
↓
殺 青 ( 炒 青 ) |
式の釜(ドラム式の殺青器)
に入れられ発酵を止める
↓
揉 捻 |
やすいように揉捻機で揉んだ
後、パラシュートの布で茶を
包みきつく締め上げ丸くボー
ル状にして転がすように揉む
↓
解 塊 |
広げて茶が絡まらないように
ほぐす。1回だけで終了する
↓
初 乾 (初[火共]) |
ベルトコンベアーの付いた乾
燥機にかけて、第一回目の乾
燥をおこなう。
↓
再 乾 (覆[火共]) |
乾燥されていたが、最近は
棚状になった乾燥機に入れ
水分を4~6%まで落とす
他の青茶の作り方を見ていただくと分かりますが、発酵度が浅く、揉捻が軽く、お茶本来の持ち味を出しているお茶といえるでしょう。茶葉の形は細長く、かさがあり、深緑色をしています。凍頂烏龍との製造工程の違いは、包揉の工程が1回おこなわれるだけなので、珠状にならないのです。お茶の水色は、一枚一枚の手摘みと丁寧な手作業で製茶され、特に、最後の茎を取る作業が、実は豊かな風味を引き出す秘訣なのだとか。一度嵌まるとどっぷりと漬かってしまう、通好みの茶です。
なお、広東省の鳳凰単[木叢]の製造方法も、文山包種茶に類似していますが、揉捻工程では、布を使わないこと、また、乾燥工程では、乾燥の度合いが強いことなどの差があります。