腕が物をいう7~8合目
手も使いただただ前進あるのみ。腕力、握力を鍛えておこう |
必要とされるのは、岩場をこなす慣れや装備とルートファインディング。まず岩登りですが、手を使うことで、ずっと速く楽に上がれます。登れる者は岩も鎖をもつかむということで、大いに手がかりを利用しましょう。
傾斜が急な箇所は3点確保(常に4本の手足のうちの3本が岩をとらえて体を確保している)の基本で登ります。この際、次にどこに手を伸ばすか、脚を置くかという先読みを続けていることが必要です。行動を中断して考えていては遅れをとります。慣れてくると無意識のうちに手足が伸びるので、未経験の人はハイキングコースにある鎖場でもよいので、鎖に頼らずに登る経験をしておくとよいでしょう。
引っ張る力を鍛えよう
岩や鎖を手につかみ、バランスをとったりする時には体を引き上げるので、腕力、握力等上半身の力も鍛えておく必要があります。押す力よりも引き寄せる力が重要。鉄棒があれば懸垂運動が握力も鍛えられて簡単なのですが、なければベンチにうつぶせになりダンベルを持ち上げたり、チューブを引くというような動きになります。棒登りやロープ登りもよいでしょう。私の場合、児童公園のジャングルジムにぶら下がって懸垂をしています。岩にくいつきのよいソールのシューズ
単なる「トレイルランニング向け」ではなく「トレイルランニングレース」にターゲットを絞ったアシックス「GEKFUJI」。摩擦に強い人工皮革素材で爪先部を補強するなど、富士登山競走、富士登山駅伝を視野においている。\13,440 |
大局的にルートを見極める溶岩地帯
もうひとつ、岩場の通過に大事なことはルートファインディング。この部分はコース幅が広がるので、岩場を登れさえすれば大量にランナーを抜けます。一般的にランナーは前のランナーを追随するくせがあるよう。よく通過するコースというのがあって、そこは渋滞するのですが、周囲には傾斜が急で岩っぽい空きがあるはず。そこを選びます。事前練習で富士山に登る人もいると思いますが、楽なルート、一般的なランナーが選びそうなルートではなく、ちょっと外れたルートを登る練習もしておくとよいでしょう。
このように前のランナーを追随せずに走る場合、気をつけなければいけないことがあります。それは、どのようなルートなのか頭に入れておくことです。岩ばかり見つめて進んでいると、方向を間違ってしまうことがあります。
深い呼吸と水を忘れずに
岩場を過ぎて8合目に達すると再び礫の斜面。あとは頑張るのみ、ではありますが、忘れていけないのは深い呼吸と給水。酸素が薄いですからよ~く吐いてよ~く吸いましょう。水分不足も高所障害を発生する原因の一つになります。山小屋で提供してくれますから、ありがたく頂戴してください。さぁ、鳥居をくぐれば、そこにはゴールに続く最後の階段が……。