初心者ランナーは5km完走を!

今回は、初心者向け練習メニューを紹介していきます。長距離ランナー的体づくりが、長距離走の距離もタイムもアップさせます。500m走っても疲れないスピードが身に付けば、走れる距離はどんどん伸びます。そして、最初の目標は5kmの完走です。

なるべく長く走れるスピードで走る

ひとくちに初心者といっても、まったく運動をしていない人と、なんらかの運動をしている人とでは、体の「デキ」が違うので、トレーニングメニューが違うのも当然。本来なら、一人一人に合ったメニューを立てるべきですが、ここでは、運動不足でやや太り気味の人を中心にします。そこに、バリエーションを加えてのアドバイスをご紹介することにしましょう。

さて、最初の目標に5km完走を掲げました。長距離走というのは、体脂肪を燃料とし、これを少しずつ消費する有酸素運動ですから、脂肪のある人は長く走れるはずです。ただし、走り慣れた筋肉でないと、脂肪を効率的にエネルギー化できません。

400m走までは短距離走とされ、一般に無酸素運動といわれます。無酸素運動は、エネルギー源としての酸素の供給がなくても、筋肉や肝臓に蓄えられたグリコーゲンを使います。グリコーゲンは少量しか蓄えられず、その量は300m程度の全力走で消耗してしまうといわれています。また、その際に疲労物質である乳酸が生じて痛みを感じさせます。これが、全力疾走が長く続かない理由です。

酸素を取り込み、体脂肪をエネルギー化して、可能なスピードで走る。これが有酸素運動である長距離走です。500mを過ぎても走り続けるためには、長距離的な体の使い方が必要ですから、逆に言うと、500mを走り続けられるなら、走れる距離はどんどん伸びるということになります。

標準的な体脂肪量は、体重の20~25%程度です。60kgの体重の人が1km移動するのに要する脂肪は、わずかに8g程度ですから、エネルギー源は無尽蔵にあるといってよいでしょう。走り慣れてくると、体脂肪を効率よくエネルギー化できる体になってくるので、スピードを出してもエネルギー切れを起こしにくいわけです。

そこで、まず皆さんには5kmの完走(スピードは問わない)を目指していただきます。5kmを走り続けられれば、10kmもハーフマラソンもマラソンも、スピードさえ落とせば完走が可能だからです。その5kmを完走するために、まず500mを息を切らさず走れるようになってほしいと思います。

さらに初心者の方へ

これまでほとんど運動らしい運動をしたことがない、と言い切ってしまうあなた。こうした方の場合、500mを走れるようになれば、理論的には5kmぐらい走り続けられるはずですが、現実には無理かつ危険です。

というのは、完走を支えるための筋肉が足りないし、心肺機能も連続運転に慣れていないからです。いくら燃料を積んでいても、性能の悪いエンジン、ヤワなシャーシの車でロングドライブをするようなものです。すぐに故障を起こしてしまうでしょう。おそらく、傍目にはゆっくりした走りでも、せいぜい100m走っただけで苦しくなってしまうと思います。

歩くときも腕を曲げてしっかり振るのが、走りにつながるウォーキング

歩くときも腕を曲げてしっかり振るのが、走りにつながるウォーキング


まだ体が適合していないわけですから、あせらず体づくりを心がけましょう。その一番の方法はウォーキングです。車を使わず、積極的に歩く、駅やビルのエスカレーターは使わず階段を利用するというように、生活環境を無料アスレチックジム化してしまいましょう。

5kmを自分の足で移動してみる

現代人は、どうしてこんなに歩かなくなってしまったんでしょうか。せいぜい歩いて10分ほどの場所へも車を使ったり、自転車を使ったりと……。

駅のエスカレータとはサヨナラ。3階までなら階段を使おう

駅のエスカレータとはサヨナラ。3階までなら階段を使おう


ここで、あなたが普段どれだけ動いているかを可視化してみましょう。まず、自宅や勤務先が載っている地図を用意してください。縮尺は1/10,000~1/50,000程度がいいでしょう。ドライブ用地図でも、インターネットからのダウンロードでも結構です。そして、自宅ないし勤務先を中心に、おおよそ半径2.5kmの円を描いてみてください。

けっこう遠くの方まで入るものだな、という印象をもたれるのではないかと思います。2.5km先なんて歩いて行ったことがない、という人もいるでしょう。都心なら、この円の中に10駅ぐらいすぐに入ってしまいます。多少郊外でも一駅分以上の距離で、この円の端まで往復してやっと5kmです。

なかなかの距離ですが、たいした時間はかかりません。一般に、人が歩く速度は時速4kmといわれますが、通勤の急ぎ足になると時速5kmは優に超えています。5kmという距離は、歩いても1時間程度の距離なのです。

こういった理由からも、まず最初は5kmという距離に慣れてほしいと思います。市民マラソンにも5kmの部を設けている大会は多いですから、5kmが完走できたらマラソン大会にも出場できます。「100m走っても息切れしてしまうのに、5kmなんて……」という心配はご無用。とにかく5kmの距離さえこなせばいいのです。走れそうだったら走り、疲れたら歩き、また元気が回復したら走り、また歩きと、走りと歩きの繰り返しで結構です。

大事なのは、くれぐれも速く走ろうとしないこと。「速く」より「長く」を心がけてください。ただし、走るときはゆっくりでも、歩くときはしっかり腕を振ってなるべく早歩きをすることです。これは、約束の時間に遅れそうな状況下で歩くスピードです。

5kmをすべて歩いても1時間ですから、小走りを入れれば、おそらく40分程度(平均時速7.5km)で完走歩できるでしょう。その記録を起点として、いよいよあなたのランニングライフが始まります。

走りやすい練習コースを設定する

練習コースとしての条件は、順に
  • 安全である
  • 給水、トイレがコース途中にある
  • なるべく路面がソフトで平面
  • 距離がわかる
というものです。このような条件をすべて備えているコースとなると、大きな公園が最適ですが、トイレはコンビニでも代用できるでしょう。5km程度なら途中の給水も不要です。距離の測定は、アプリなどを使えば地図上で計測できます。あまり短い距離をくるくる回ったり、何度も往復するのでは飽きてしまうので、1周ないし片道が500m以上あるようなコースを設定できるとよいと思います。このくらいの条件なら路上のコースでも設定できるのではないでしょうか。

ウォーミングアップとストレッチング

走路に出る前に、まず水を最低コップ1杯、噛むように少しずつ飲んでください。これは脱水症状を防ぐためです。特に朝走る方は、起床してから走り出すまでの間、こまめに2杯くらいは飲んでおいてください。

次は、走る前のストレッチです。足首や膝を中心にストレッチングを必ず行ってください。初心者の場合、関節を支える筋肉がヤワですから、足の故障を予防するためのストレッチングをお願いします。次にウォーキングを10~15分ほど。これは循環器系のウォーミングアップを一番の念頭に置いています。

※以下のような箇所も伸ばしておきましょう
  • アキレス腱を伸ばす
  • 膝を回すとともに足首をゆっくり回す
  • 膝裏の腱を伸ばす
  • 大腿の前部を伸ばす
  • 最後に深呼吸を大きく、深く、早くやる
いろいろなストレッチングがあり、それぞれに利点がありますが、はじめのうちは筋肉を激しく使うわけでもないので、この程度でいいでしょう。

「毎日5km走る」が当座のメニュー

さあ、1kmほど歩いたら、そのままゆっくりと走りに切り替えます。フォームについては次回に説明しますが、がに股、X脚にだけはならないように気をつけてください。走っていて苦しくなってきたら歩きましょう。でも早歩きです。力が回復したなと思ったら、また走り出します。今度は最初の時より遅く走るようにし、距離をかせいでください。これを繰り返せば、5kmなんてあっという間です。

100m走って呼吸が乱れない人なら、500mくらいは走りきれると思います。500m走れる人なら、2kmくらいはすぐに走れるようになるでしょう。最初から1km走れる人なら、1カ月もたたずに5kmを完走できるようになると思います。

5km完走歩できたら……

まずは最初の5km完走歩、おめでとうございます。疲れはいかがですか。あまり張り切りすぎて、速く走ったり筋トレをし過ぎないようにしてください。特に、強い筋肉痛を伴うようなトレーニングはやり過ぎです。というのも、ひどい筋肉痛が残ると、その筋肉痛が消えるまで練習をする意欲をそがれるからです。最初は、何をおいても続けることが大事です。疲れを残さない程度にして、走れる日は毎日走る!これこそが、あまりに簡単ですが、当座のメニューです。

ちなみに、このメニューの消費エネルギーは、体重60kgの方で300kcalで、体重にして約40gの減。体重は減らなくてもビールを飲みたい方は、ダイエットタイプがおすすめです。あるいは牛乳(なるべく低脂肪牛乳)をコップ1杯を一気飲み。これでちょっとノドの渇きも落ち着いて、ビールの量が減ると思います。

牛乳は東洋医学的には、体を冷やす働きがあるため、飲み過ぎはいけませんが、走った後は体が熱されていますからその熱を冷ます上で有効。タンパク質やカルシウムも摂れるので一石二鳥です。

記録をつければ励みになる

ランニングを継続する上で、ぜひこれだけはやったほうが良い、ということがあります。それは記録をつけること。その日の体重、体脂肪(率)、走行距離、所要タイム、できれば脈拍数も。体重や体脂肪は朝と夜、運動の前後、食事は排便の前後で変わります。

一般に計測するタイミングは、起床してトイレに行った後が良いとされていますが、他人と比べたり標準値と比較するわけではなく、自分の体の変遷を知るためなので、毎日同じ条件なら朝でも夜でもかまいません。計測のための体脂肪計は、なるべく細かく数値が測れるものが望ましいでしょう。体重は0.1kg単位、体脂肪率は0.1%単位で測れる機種を選びましょう。

数日間の変化に一喜一憂しても仕方がないのですが、週間、月間の平均値を比べると、確実に体重も体脂肪率も減少しているはず(運動したことを言い訳に、食べ過ぎなければの話ですが)。そのわずかの差も見逃さない体脂肪計を1台用意しましょう。わずかな数値ですから、手帳の隅に書き込んでおけばOK。ネットにランニング日記を持てるサイトもあるので、それを利用するのもよいでしょう。

走行距離やタイムは、走力のバロメーターです。走行距離は、とりあえず5kmと固定していますから、タイムの短縮は、走力のアップと体の変化を示しています。タイムはどんどん短縮されるはずですが、その日の体調や気候によって記録が悪くなることもあるため、記録が落ちたとしても気にすることはありません。

生活習慣病が気になる方は、脈拍数を計りましょう。走り終わった後すぐ(10秒以内)と1分後に脈拍数を計ります。手による計測の場合、10秒間計った数を6倍します。ハートレートモニターを使えば、運動中の脈拍数がわかり、自分の運動強度が適当か否かを知ることができます。初心者にも上級者にも利用価値が高いものです。

脈拍数は、走り慣れるほどに減るのはもちろんですが、練習直後の計測値から1分後の計測値への低下が早くなります。それだけ心肺機能がパワーアップされるということです。

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