マラソンは要マメ注意

ランニングにマメ(摩擦水疱)はつきものでは困ります。ランナーを観察していると、できやすい人とできにくい人の違いもあるようです。また、走り込むほどにできにくくなる傾向もあるようです。筆者もかつてはよくできました。

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42kmも走れば皮膚も傷みます


特に、晴れると気温が高くなり、マメもできやすくなります。そこで、マメの原因や事前の予防・対策、ランニング中の予防・対策についてご紹介しましょう。

浅利純子もアトランタでマメに泣く

足のマメで印象に残るのは、浅利純子さんのアトランタ五輪です。1995年に東京国際女子マラソンで四谷の坂での転倒から驚異的な追い込みを見せ、アトランタ五輪代表となりました。競り合いに強く、五輪での活躍が期待されましたが17位に。その原因がマメだったのです。レース後の浅利選手のシューズは、水泡が破れて滲み出した血に赤く染まっていました。

後のコメントから、浅利選手はこの日急に靴下をはかず、素足でシューズを履いて走ったとありました。おまけにシューズのアウター素材が給水時の水で濡れにくいように、撥水性の素材だったということでした。

箱根の山もマメ作り

もうひとつ印象に残るのは、箱根駅伝で山下り6区の早稲田大学の選手。最初はよかったのですが、最後はふらふらになってしまったときのこと。中継点にたどり着いた選手の足裏はベロリと皮が剥けていました。並大抵の痛さではなかったろうと感服してしまいましたが、やはりこの選手にしても、なんらかの原因があったと考えられます。

最も考えられるのは、靴紐の調節かフォームです。テレビなどで見ていると思いますが、山下りは急カーブの連続です。そのコーナーをスピードを上げて走り抜けると横に重力がかかります。靴の中で足が横滑りするわけです。山下りには横滑りしないように靴紐の締め具合を調節することと、抵抗のないようなフォーム、なるべく直線に近いコース取りが必要です。

絶好調ゆえにマメが……

筆者も何回かマメを作ったことがありますが最も印象に残っているのは、大田原マラソンでのことです。過去最速のペースぐらいで走っていたのですが、15kmぐらいから親指に痛みを感じだし、30km手前では皮が破れてシューズは血染め。フォームがおかしくなり膝も痛め、ついに歩いたり走ったりになってゴールしました。

その原因は「走れすぎ」でした。とにかく絶好調で、いつになく強い蹴りでどんどんスピードを上げてしまったのが原因です。まったく何が災いするかわかりません。つくづくマラソンは難しいと思います。だから面白いんですが。もっとも、この翌日につくばマラソンを完走しているので、マメはちゃんと手当をすればすぐに歩いたり走ったりできる範疇の故障だといえます。でもやっぱり走りには大きく影響するので、予防や対策はとっておくに越したことはありません。

マメができやすい人

マメは、一種のやけどです。摩擦で熱をもったところに水疱ができるわけです。摩擦に弱い皮膚を持っているとマメができやすいということになります。皮膚が薄いだけでなく、血流が悪いと熱がこもりやすいのでマメができやすくなります。中医学的に言うと「湿熱」型の体質ということができます。脂肪層が厚い肥満体質の中でも水ぶくれ型肥満体質です。脂身が好きな人などに多く見受けられますね。

血液や体液の循環が悪いと熱がこもる

血液や体液の働きは、栄養分を運んで不要になったモノを持ち帰るというだけではありません。体温の調節もします。寒いときには温め、暑いときには冷やします。いわばラジエーターの水流の働きだといえます。肥満して毛細血管が発達していないと流れが悪くなります。

シューズの紐の締めすぎでも流れが悪くなります。といって緩いと、シューズの中で足が動いて摩擦熱を発生してしまいます。ここに「いかに摩擦を減らしてかつ締めすぎないか」というマメ予防のテクニックがあるわけです。

基本は足に合ったシューズ選び

足に合ったシューズを選ぶということは、なによりも大切です。足の皮膚の薄い部分が局部的に当たる、というのが最悪です。足の皮の薄い部分は均一にソフトにシューズに当たるというのが最良。親指、小指の周囲、人差し指の頭、親指の付け根のサイドなどがよくできるところです、扁平足気味の方は土踏まずが当たって土踏まずにできることもあります。こんなときには足に合ったソールに交換します。

もっともできやすい足指部はシューズにゆとり(シューズの中で足指を伸ばしても先端に当たらない)が必要です。しかし、靴紐を締めたときには、足が前後に滑らない、ターン時にも左右にぶれないよう足の先端部を除いて足全体を包み込むようなフィット性が必要です。

通気性の良いシューズを

ランニングシューズはいずれも通気性に配慮していますが、そのレベルはさまざま。アウター部はメッシュが粗いモデルを選びましょう。冬用であれば、ここまで必要がないかもしれませんが、春~秋用であればこうした放熱対策の有無はシューズ選びの上で一つのチェックポイントになります。

シューズの馴らし履きは?

大会に新品のシューズをいきなり履かず、慣らし履きをするようにすすめているガイドを読んだ読者の方から、「どのくらい走ったらいいのか?」という質問を受けることがあります。革製登山靴などだと履いているうちに足にフィットするので、新品シューズは本格的な登山の前に近場で足馴らしせよ、などと言われます。

しかし、ランニングシューズは自分の足型に合ったシューズを発見したら、まず慣らし履きは不要(というより次第に足に合ってくるということはない)といっていいでしょう。かえって本番レース前にあまり履きすぎるとクッションや反発力、アウトソールの減りで性能が落ちてしまいます。ただ、10kmぐらいは走ってみましょう。その間に紐の締め具合を調整しておくのです。

締め具合は、足全体を包み込むように、それでいて足がシューズの中で前後、左右に滑らないようにということです。カカトをいっぱいにヒールカップに圧接して締めます。中には間違えて違うサイズが入っていた、なんていうこともないとはいえないので、まったく履いたことがないシューズを大会で使うなどという大冒険は危険です。

シューズと足の間の摩擦を減らす油をさす

シューズと足の間に生じる摩擦が減れば熱は起こりにくくなります。鉄と鉄をこすりあわせると熱が発生しますが、そこに油をさしてやれば熱の発生はグンと減ります。それと同じことです。足のマメができそうな部分に広くワセリンを塗っておきましょう。ヒフの表面がつるつるになるという感じが大事です。マメを予防するための専門クリーム(ディクトンスポーツ製)も発売されています。特に心配な方はこうしたマメ予防クリームも試してみるといいでしょう。

足の指と指の間にできるマメは5本指ソックスを

しっかり走ると足の指も使います。最後の蹴りは指先まで有効に使うことです。しかし、足指を動かすと足指の間に摩擦が起き、そこにマメが発生しやすくなります。太り気味で指と指の間がぴったりしてしまっている方にも起きやすいよう。こんな場合の予防は、指一本ずつのテーピング、という方法もありますが、5本指ソックスを穿けばまず解決です。5本指ソックスを穿くと指感覚を意識するようになり、走りも良くなります。

ソール部分に滑り止めがついているタイプもある

ランニング専用ソックスには、ソール部分に滑り止めがついているタイプもあります。靴の中で足が動くことによって生じる摩擦を防ぐのと、足とシューズを一体化させて、足の力を路面に伝えるという目的があります。

この場合も、足の指先部分はシューズとの摩擦が減るような生地を使っている製品を選びます。織り糸が細く滑らかな生地を使用しているかどうかチェックを。太い糸を使用していると、生地の目が粗く摩擦を高める原因になります。一般的なソックスにはそういうタイプがあるのでご注意を。

理想をいえば、着地する部分はクッション性があるように生地がやや厚めということになります。贅沢な注文ですが、そういうランニングに特化した機能性ソックスもよく見かけるようになりました。もっと安いといいんですけどね。

皮膚の皮をテープで厚くする

よく走り込めば次第に摩擦にも強くなりますが、もっと手軽に皮膚の皮を厚くする方法、それはテーピングです。指ならリバノールテープでもいいですが、足裏などの広い部分には、豪快に紙のガムテープを張ってしまうという手があります。表面がツルツルなので摩擦はとても少なくなります。

紙とはいってもフルマラソンを走る程度なら十分に耐久性があります(雨天時は試してません)。布製のガムテープの方がよいかもしれません。もともと医療用の製品ではないので、人体にどういう影響があるかまではわかりません。私には問題なかったですが。

テーピング用テープでも表面が滑らかならばいいと思います。両方に問題なのは伸縮性がないことです。皮膚を伸ばした状態で貼ると縮んだときにしわになりますし、縮めた状態で貼ると足が伸びなくなります。その加減には経験がいるかもしれません。キネシオテープは伸縮性はありますが、接着力が弱く、走っている間に剥がれてくるとそれがマメ作りの原因にもなるので向いていません。

大判のリバノールシートもあります。小穴が開いていたりして良いとは思うのですが、中央にガーゼが貼ってあるのが問題。足裏に貼ると段差ができてしまって困ります。ガーゼを剥がすとその部分が接着しません。ガーゼ無しの製品としては、医療用の防水フィルムがあります。伸縮性もあり防水性ですが併せて水分蒸散性もあるという製品もあるようです。

ウオノメ、タコはパッドで

皮膚から出っ張っているウオノメやタコはテープを貼れば多少は摩擦を妨げられますが、貼った分だけ患部が出っ張るので根本的解決にはなりません。これにはパッドを貼って患部への摩擦が軽減するように対処するしかなさそうです。

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