マラソンのために筋トレしよう!マシンがなしで出来る効果的な筋トレ

マラソンのための筋トレ

マラソンのタイム短縮には筋トレが効果的!

 
スクワット1
立ったときに膝は伸ばしきらない
スクワット2
沈み込んだ時、大腿部が地面と水平に近く。このモデルはやや沈み込みが足りない
ジョギングを始めて1ヶ月くらいのみなさんでも5kmぐらいはなんとか歩けずに走り通すことができるようになったと思います。5km走破に要する時間もずいぶん短縮されたことでしょう。練習するたびに自己記録を更新できるという時期です。こういう時期は、うれしい反面本人の気が付かないところに危険が潜んでいることがあります。それは関節の故障。意識はどんどんスピードアップされ、足の動作を早く動かす神経は発達してきているのに、体重を支えたり関節のブレを抑えたり、ショックを吸収する筋肉が発達していないからです。

ヒトの筋肉は、上半身より下半身のほうが衰えが早いために、腕振りでピッチをリードできても足の運びがついていかないということもあります。このまま順調に記録を伸ばし走る距離も延ばすためには、そろそろ筋トレをトレーニングの中に取り入れることにしましょう。
   

何はともあれ膝の周りをがっしりと

■脚の屈伸運動(スクワット)
関節周りの筋肉は、関節を動かす筋肉ですが、関節を守る筋肉でもあります。いわばコルセットのような役割を果たしています。腰痛の予防に腹筋や背筋の筋トレをやるというのはその代表的な事例です。初心者のランナーにとって最も故障が多いのが膝です。ウォーミングアップ不足という原因が多い変形性膝関節炎から、連続的に過大な負荷をかける(ということは、すなわち体力以上の走り過ぎ)ランナーズニー、ひねりが加わったときに起こしやすい半月板損傷などが主な障害です。

治療法は医学的な専門サイトを参考にしていただきたいと思いますが、ここでは、膝の故障全般に対して予防法になる筋トレをご紹介します。
 
スクワット、悪い例
膝が開き、爪先も外に向いている。こうしたスクワットをしているとO脚になってしまう
スクワット、片足加重
交互に片足に体重を乗せる片足加重のスクワット
■基本はスクワット
膝周りの筋肉強化トレーニングの代表です。もっとも一般的なのがヒンズースクワット。爪先開かずに前方に向けて肩幅程度に開き、膝を屈伸して腰を上下します。この時、膝が外に開かないようにし、爪先より前に出ないこと。はじめはゆっくり浅く、次第に早く(といっても1回1秒くらい)深く屈伸します。30回ぐらいを目処にするといいでしょう。もちろん個人差があります。続けていれば次第にできる回数は増えますから、最初は極端に少なくても悲観しないことです。

■スクワットのバリエーション
慣れてくると、自体重加重では負荷として不足してきます。負荷をかける方法として片足スクワットがありますが、いきなり1本の足にかかる加重が倍になるので、これは現実的なトレーニングではありません。私のおすすめは、ザック加重スクワット。ハイキング用のザックに10kg程度の重し(水を入れたペットボトルで可)を入れて背負ってのスクワットです。

片足にかかる加重をわずかに増やす方法として、交互体重スクワット(写真)というのもあります。屈するときに体重を左右交互にかけます。両足平均加重とは異なった部分の筋肉に対する刺激もあります。捻りを加えたツイストスクワットもあります。足から腰にかけてのさまざまな筋肉を使いますから、膝や腰の強化にも走力向上にも効果的です。ヒンズースクワットに慣れてきたらやってみてください。
 
ウォーキングランジ、悪い例
ウォーキングランジを前から見たところ。ただし、これは膝と爪先が外を向いた悪い例。真っ直ぐ進行方向に向ければ、O脚X脚の矯正トレーニングになる。
■前後開脚スクワット
足を横開きではなく、前後に開脚して行うスクワットも行いましょう。前後に1歩分くらい開脚し、そのまま上下に屈伸するスプリットスクワット、一歩開脚しつつ沈み込んだあと、その前足を後ろ足の位置に戻して直立する、この動作を交互に繰り返すフロントランジ、フロントランジで前足を後ろ足の位置に戻さずそのまま立ち上がり次に後ろ足を前方に出して、屈伸を繰り返しながら前進するウォーキングランジなどがあります。

ガイドはウォーキングランジについて呼び名を知らなかったとき尺取り虫スクワットなんて呼んでいましたが、ランニング向けの前後開脚スクワットとしてはこれが最も優れているように思います。

ウォーキングランジを行うときの注意としては、着地した足ががに股にならず、必ずかかとから中指への線が真っ直ぐ前方に向かっていること、沈み込んだとき膝が外側に割れず進行方向のライン上にあることです。これによってO脚、X脚が矯正されます。X脚、O脚の方にはぜひ取り入れていただきたいトレーニングです。
 

下腿部と腹筋・背筋の筋トレ

カーフレイズ
片足でかかとの上げ下げ。しっかり上げ伸ばすこと。筋肉が張ってきたら脚を交代
■かかと上げ(カーフレイズ)
爪先から足首にかけての筋力は、ジャンプ力と共に衝撃吸収の役割を担っています。この部分の筋力が弱いと衝撃がいきなり膝に伝わり、膝の故障につながります。といっても、そんな疲労が出てくるのはハーフぐらいを走ってからなので、まだ10km程度のジョグの段階の方にとっては不可欠という筋トレではないのですが、いずれ必要になります。今からやっておいて悪いことはありません。ふくらはぎの後側にある腓腹筋やヒラメ筋から爪先部分にかけて大いに効果があります。カーフレイズを直訳すれば「ふくらはぎ上げ」ですが、日本語ではかかと上げと言ったほうがしっくりくるように思います。

壁や柱に向かって40~50cm離れて立ち、それらに手を添えて体を支えます。片足立ちで、かかとを上げ下げします。しかし慣れてくるとこれではちょっと負荷が足りません。10~20kg程度のバーベルを背負うか、スクワットでやったようにウエイトのあるザックを背負ってやるといいでしょう。一般に筋トレの本などを見ますと爪先を台に乗せてやっていますが、ランニングのためならばそこまで動作角度を広げる必要はないでしょう。
 
腹筋
ここまで体を起こせれば御の字。ここまでいかなくても(首しか上がっていなくても)お腹に力が入っていれば可。疲れたら体を倒しまた起き上げる
■腹筋トレーニング(シットアップ、クランチ)
有森裕子さんは、合宿所でひまさえあれば腹筋をしていたそうで”腹筋の有森”と異名をとっていたとのことです。野口みずき選手も高橋尚子選手も、お腹だけみたら女性とは思えないような(失礼!)筋肉が田の字に現れている立派な腹筋です。田の字が現れぬまでも、腹筋の筋トレはウエストを引き締めます。ナイスバディ作りにも欠かせません。

腹筋と背筋は、腰を支えるコルセットの役割を果たします。疲れてくると体を立てているのが辛くなり前屈してきますが、これは、腰にも悪いし腹を圧迫するので呼吸が浅くなり疲労度を増すことになります。また腹筋運動は、腿を引き上げる腸腰筋を鍛えます。走りにも深く関係しています。特に登り坂のコースが有るレースに挑むなら腹筋の強化は重要なトレーニングになります。

足は延ばさず膝を曲げて行うのがどのような腹筋運動でも基本形になります。これは腰痛を予防するためです。手は頭の後に置いても、胸でもお腹でもけっこうです。お腹に近いほど楽になりますが、お腹に手を当ててやるとお腹の筋肉の動きがよくわかり、意識をお腹に集中してトレーニングできます。イスに足を上げてやったり(クランチ)、シットアップベンチを使った上半身を下げてのシットアップはさらに厳しくなります。逆に上半身が高ければ楽です。始めのうちはそのほうがいいでしょう。

まったく体が起こせないレベルの方は、体を起こそうとするその姿勢を保持するだけで結構です。それでもちゃんと筋トレになります。慣れてきたら、真っ直ぐ体を起こすだけでなく、捻りを加えて起こす運動を加えます。お尻の骨が床や地面に当たって痛いので(私はよく皮を剥いてしまいます。運動中はそれ程痛くないんですが)、外でやるときはマットを、室内ではクッションなどをお尻に当ててやってください。

■背筋トレーニング(バックエクステンション)
背筋用のベンチを使うときは、一般にうつぶせで体を前屈した状態から上半身を反らせます。負荷がかかっていないと反動をつけて勢い良く反らせがちなのですが、その時に背骨を傷める事がよくあります。勢いはつけずゆっくりと反らせましょう。また、イナバウワーの練習ではないので、反ったほうがいいというわけではありません。

ベンチがないときは、ばんざい状態で腹這いになり、両手両足を上げて体を反らせます。やはり反動をつけず、始めは軽く、徐々に反らせるというようにしましょう。バリエーションとしては、まず右手と左足を上げ、次に左手と右足を上げる動作を交互に行う方法があります。捻りに対応するために、この筋トレも行ってください。
 

上半身、腕振りの筋トレ

腕立て伏せ
しっかりと腕の曲げ伸ばしをして胸郭を開くことが大事
■腕振り(スゥインギングアーム)
足の運びをリードするのは腕振りですから、腕の振りはおろそかにできません。私がサブ3ランナーを追っかけて練習していたとき気が付いたことは、速いランナーはジョグのときでも腕振りがしっかりしていたことでした。それにくらべて遅いランナーは、バランスがくずれていたり腕が延びきっていたり、腕の振りではなく肩を前後にゆすっているというようなフォームでした。

ジョギング程度の走りですと、極端な話、どんな腕振りをしていようと5kmぐらい走れてしまいます。しかし、腕の振りはフォームにも大きく影響します。フォームが悪ければ効率的な走りができませんから、距離が長くなるほど腕振りはおろそかにできないというわけです。

腕振りに使う筋肉はどの筋肉でしょう? 手を反対側の方に当てて腕を振ってみてください。腕振り運動に伴って動く、背中から胸、上腕の筋肉が腕振りに関係する筋肉です。三角筋や大胸筋、上腕二頭筋などが主な筋肉です。
この代表的な筋トレ方法は、腕立て伏せ(プッシュアップ)です。両手をついて腕の肘を屈伸させます。単純な運動ですが、幾つもの効果があります。
ひとつはもちろん肩の周囲筋が鍛えられて、腕の振りが強くなるということですが、この他にもランナーにとってメリットがあります。

その一つが、胸郭を広げる点です。胸郭が広がれば肺も拡張しやすくなりますから、吸気量の増加が期待できます。これによって呼吸が楽になります。
次に、胸郭が広がると肩の位置が後にずれます。腕振りの支点が後にずれることになるので、腕振りが横振りから進行方向への振りに近づきます。次に腕立て伏せの時は、背中を真っ直ぐに伸ばしたままで腕の屈伸をするわけですが、これによって背筋の運動にもなります。

両手の付き方ですが、原則は肩幅程度とはいうものの、胸郭を広げるためには腕をなるべく広げてついたほうがいいという人と、いやその逆でなるべく狭くついたほうがいいという人がいるようです。私は肩幅でいいと思っているのですが。それよりも、なるべく低く地面すれすれまで体躯を下げることが大事です。下げれば下げるほど胸郭が広がります。ただし腕や肩にかかる負荷が増えます。もしも耐えきれなければ、傾斜地を使い、上半身を高い位置にして負荷を減らすようにしてください。負荷に耐えきれないという理由で肘を少ししか曲げない腕立て伏せより余程効果的です。

■懸垂(チンニング)
近くに学校や公園がある方は、鉄棒を利用して懸垂ができます。体が上がらなくても、上げようとするだけで上腕二頭筋にはよい運動になります。

■ウエイトを使った腕振り
1~2kg程度のダンベルやヘビーハンズを用いた肩周りの筋トレ体操で、筋肉の強さと柔らかさを共に高め、可動域を広げます。ウエイトを手から離したり、誰かに当たると危険ですから、腕を振り回しても大丈夫な広さ、周囲にガラスなどがない環境、人の接近などに気を付けて実行してください。テレビを見たり音楽を聴きながら気楽にやりましょう。肩こりに悩む人には絶好の肩こり解消法になります。

原則として基本姿勢は、肩幅に脚を開き、わずかに膝を曲げ、かつわずかに背筋を伸ばしたまま前傾します。
 
スイング ダンベルを持ってのランニングを想定したその場の腕振り。肩を振っていないか、横振りになっていないか、猫背になっていないかなどフォームをチェックしつつゆっくり、次第に速く行います。
プレス 肩の位置から左右交互に垂直に持ち上げます。
プルアップ 下げ持った状態から肘を曲げ伸ばしし、胸の位置まで引き上げます
フロントレイズ 下げ持った状態から、腕を伸ばしたまま前方水平に持ち上げます
サイドレイズ 下げ持った状態から腕を伸ばしたまま、横方水平に持ち上げます。
フレンチプレス 一つのダンベルを両手で持ち、前面から背面へ、また全面へ、剣道の素振りのように繰り返します。


ダンベルを用いた運動は、むずかしく考えずストレッチングやラジオ体操の動きと組み合わせて、気持ちの良いように体を動かせばOKです。筋トレでもあり、筋肉をもみほぐして可動域を広げ、疲労回復のストレッチングにもなると考えてください。
 

初心者の筋トレメニュー

色々な筋トレを紹介したので、なにをやったらいいのか迷ってしまう人もいるでしょう。では、基本的なメニューをご紹介します。回数や強度は、自分なりに加減してください。苦しくなってきたところまでやります。回数以上やっても苦しくなければ負荷を増やし、苦しくて回数がこなせないようなら負荷を減らして回数を目標値に近づけます。

■初心者向け基本セット
  • 1回目セット

  • スクワット ヒンズースクワット25~30回
  • 腕立て伏せ 15~20回
  • カーフレイズ 片足50回
  • 腹筋 30~35回
  • 腕振り 5分
 
  • 2回目セット

  • スクワット ヒンズースクワット20~25回
  • 腕立て伏せ 10~15回
  • カーフレイズ 片足40回
  • 腹筋 25~30回
  • 腕振り 4分+その他のダンベルメニュー
2回目は1回目の80%程度が目安です。上記を合わせて1セットです。慣れてきたら、バリエーションに挙げたトレーニングを追加してください。筋トレは毎日しなくても結構です。隔日、週に3回やってみてください。これもノートに付けておくと体力の進化が歴然です。2ヶ月続ければ、鏡に映る自分の体が変わっていることがはっきりとわかります。

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