おわりのないイヤイヤが連発されるイヤイヤ期
<目次>
イヤイヤ期は発達の通過点「自立促進期」
イヤイヤ期は子どもの発達段階の通過点
親の目線がイヤイヤとぐずる姿ばかりに向いていると、「何とかしないと」という意識が先行してしまいますが、それは表出しているイヤイヤに対する対策であり、自立対策ではありません。子どもの心の中で起こっていること、内部に湧き出ている「一人でやりたい」という思いに目を向ける必要があります。
本当に目を向けるべきなのは、きちんと自立が促せているかどうかということ。「ボク、できた」「ワタシ、すごい」と子どもが体感できる機会をできるだけ作ってあげることが大切です。そのことを意識し、「子どもの自立を促せているかな」と確認しながら行動を見ていくと、実りのある時期にすることができますよ。
とはいえ、何に対してもイヤイヤで、基本のお返事は「イヤ!」と日々むずかるわが子にどうしたらいい?と焦ってしまうのも現実。イヤイヤ期のあるあるについて対処方法を見ていきましょう。
▶参考「イヤイヤ期!そのネーミングが対処法を迷わせる!?」
イヤイヤ期あるある1:強いこだわりへの対処の仕方
イヤイヤ期の強いこだわりへの対処方法とは
無下に注意しやめさせるという対処はNGです。こだわりは、強い興味や「自分でやりたい」という想いの現れであり、気持ちを尊重してもらえると、子どもの情緒が安定します。こだわりは尊重しつつ、子どもの世界を広げていくように関わり、ルールを伝えていくことが鍵になります。
まず、子どもが何に強く興味を持っているかをよく観察し、こだわっていることに寄り添うことが基本です。雨ではないけれど長靴を履きたがる場合、履いても誰も困りませんし、特に危険ということもないので履かせて構いません。「長靴がいいんだね」と子どもの気持ちを受け止めましょう。特定のことにこだわる一方、自分で選ぶことに喜びを感じるという特徴を利用し、長靴の隣にほかの靴も並べて選んでもらうのもオススメです。
一方、外出時は、特に社会のルールやマナーがあることを教えてあげることが大事です。
エレベーターのボタンを押したがる場合、「エレベーターはみんなの物だよ」「あなたが押せないこともあるよ」と声をかけ意識づけしていく。絶対に押したいと譲らない場合は、他の人に迷惑がかからぬよう、人がいなくなるのを待ってボタンを押させるのもよいですが、何度もボタンを押しおもちゃのようにするのはマナー違反です。エレベーターはおもちゃではないことを伝え、大人が回数を決めて譲らないようにします。
こだわりに付き合うのには根気が必要です。パニックになって手がつけられない、暴れて困るといった場合は、保健師や保育士に相談するのも一つの手です。一人だけで抱え込まないことも大事ですよ。
▶参考「2歳児の強いこだわりへの上手な対処法!」
イヤイヤ期あるある2:子どもの癇癪への対処法
子どもの癇癪への対処方法とは
子どもの癇癪は、見守って良い時、積極的に関わる時を見極めることが重要です。癇癪は心が成長している証拠。子どもは色々な感情を味わい、その気持ちと折り合う力を育んでいきます。
癇癪を起こしたら、まずは気持ちを受け止め、できないこと、ダメなことはしっかりと目を見て伝えます。その上で、駄々をこねて寝転んだり、大きな声を出して悲しみや悔しさに浸ったりしている時は、浸らせておいて大丈夫です。「悲しい気持ちだよね」「残念だよね」と共感しつつ様子を見ましょう。希望が通らなかった残念な気持ちと折り合う時間も必要です。
泣きやまないから何かしてあげようと手を出したり、こちらの気持ちが揺れてしまうと、子どもは淡い期待を抱いてしまいます。ダメなものはダメという毅然とした態度と、共感の声掛けの2つを意識しましょう。
しかし、床に頭を打ちつける、物を投げるなど危険な行動は大人に注目してほしいサインなので、抱きしめたり手を握ったりして止めます。ここで放っておくと注目を引くために、さらに派手な行動をします。
▶参考「2歳児の癇癪(かんしゃく)!様子を見て良い時とダメな時」
イヤイヤ期あるある3:お買い物中に言うことを聞かない!
わが子に困ってしまう子連れでのお買い物
「お菓子買って!」に対しては、事前にお菓子は買わない約束をしておき、守れたら「上手にお買い物できたね! 」と褒める。かごは一緒に持つ、歩く時は手をつなぐ、店内では小さい声で話す、などの約束を作り、守れている間だけ買い物をするという練習機会を設けるのもおすすめです。
アナウンスやお菓子、明るい照明に漂ってくる良いにおいなど、お店は五感を刺激する誘惑に満ちた場所。子どもが頑張れるのは、ごくわずかの時間です。
約束を守れないときやグズってしまった場合は、一旦中断して約束を確認するか、車に戻って話ができる空間を作る。約束が守れないようなら、買い物は潔く中止し「またチャレンジしようね!」と声をかけましょう。
▶参考「魔の2歳児とのお買い物、イライラしないコツ」
イヤイヤ期あるある4:遊ぶのを切り上げないときの対処法
遊ぶのを切り上げないときの対処法とは
遊んでいるのを切り上げるには、満足感や納得感が必要です。満足感を十分に味わえると、「あと1回で終わり」も納得できます。
楽しい時間が突然終わってしまうのを一番残念がるので、遊び始める前に、子どもにもわかるようはじまりと終わりを伝える習慣づけをしましょう。時計の文字盤の横にシールを張り「このシールの所まで」と伝えたり、タイマーが鳴ったら終わりねと伝えたりするのもいいでしょう。
子どもの気持ちを、おしまいの行動に導くように関わるのも大事です。終了の時間より少し前に、時間が近づいていることを教えて、楽しかった気持ちに共感してあげましょう。この関わりで満足感を印象付け、「あと1回で終わりね」という声掛けで気持ち良く終わりにすることを提案します。
▶参考「なかなか遊びを切り上げない子への関わりのコツ」
イヤイヤ期あるある5:お友だちとトラブルになった!
おもちゃを独り占めする、順番が守れない、お友だちを叩いてしまう
例えば、「遊びの欲求」を満たすために遊び場を確保したい場合、朝早くの公園や人の少ない時間の児童館や支援センターを利用しましょう。短くても思いきり自由に遊べる時間を持つことです。
お友だちと揉めるのは、人と関わりたい気持ちが芽生えている証拠。泣いている姿を見て、相手の子にも感情があるということを学び、おもちゃをとられる体験を通じて、悲しい気持ちを覚えます。できるだけもめごとを避けてあげたいのが親心ですが、周囲の親同士協定を結び一緒に見守りましょう。顔や頭に手が出た場合は止めるなど、止めるラインも重要です。
お友だちに叩かれたら守ってあげたり、相手を傷つけないように関わる方法を伝えたりいい機会です。たくさんもめてるお子さんにとって、心のよりどころは両親です。お子さんの安全基地となって、ケンカあとに戻ってきたら、たっぷりハグしてあげましょう!
▶参考
「2歳児の友だちトラブル回避法」
「2歳児のケンカは止めるべき?それとも見守るべき?」
イヤイヤ期対処法まとめ
大人の目線で見たら「悪いこと」のように思えても、イヤイヤ期の子どもは「悪い子」ではありません。1つ1つを丁寧に叱らずに、ザックリとまとめて叱ってしまうと、子ども自身を否定し、こちらのイライラを巨大な塊へと成長させてしまいます。事象を飛躍させないことです。また脳が拾う情報には偏りがあるため、悪いところやできていないことばかりを目で追わず、ポジティブな側面を拾うようにして気持ちを切り替えていくことも大事です。
この時期、子どもとの言い争いはあって当然です。子どもの反抗に、感情的になってしまったという経験を誰もがしています。子どもは、自分の身体能力と精神的な強さのアンバランスに葛藤しています。この心の成長期に絆を意識し、引き寄せ抱きしめる、そうすることで乗り越えることができます。
世界には「まだよく理解できないのだから、できるだけ好きなようにさせてやろう」とコミュニティー全体が大らかな目で幼児を見守っているイヤイヤ期のない文化も報告されています。
ここからわかるのは、幼児に期待しないならば、幼児の自己主張と周りとの衝突も起こり得ないということ。これをヒントに、期待することを見直すことで、衝突する回数も減るかもしれません。「自分と周りが危ない目に合うことをしない」という最低限のルールから始め、その子に合ったペースで、少しずつ社会的な「ルール」を教えていきましょう。
▶参考
「ママのイライラ期にしない!魔の2歳児イヤイヤ期を乗り切る秘策」
「魔の2歳児の対処法は?子どものイヤイヤ期を乗り切る心がけ」
「『イヤイヤ期』の対応を見直してみませんか?」
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