嶋さん:
ちょっとした仕事の空き時間、または移動時間、旅先などにその1冊の MOLESKINE を持っていって、ペラペラとめくって読んでいくんです。

そこには、例えば「かつて、フィギアスケートは夏のオリンピックの種目だった」とか、「村上春樹の『1Q84』は1984枚もの原稿用紙で書かれた」などなど、こうした全く関連性のないことが書かれています。

この一見関連のないことが改めて頭の中で結びついて全く新しいアイデアと進化するのです。

そもそも私は書類のファイリングというものをしません。得意でないということもありますが・・・。

「情報はファイルしたとたん、死んでしまう」と強く考えています。

ファイル、つまりカテゴリー分けというのは、これまでの自分の既成概念の中の分類に入れてしまうことに他なりません。それよりも分類せずにどんどん羅列していた方が新たなものが生まれるチャンスが増えると思っています。


ガイド土橋:
ということは嶋さんは、ファイルはお使いにならないのですか?

嶋さん:
基本、使っていません。書類は机の上にそれこそ積んでいく状態です。

あまりにも机の上が汚いのはいけませんが、一定の秩序がある緩やかなファイリングといったことを意識してます。


ガイド土橋:
では最後の質問を。

嶋さんにとって文房具とはどんな存在ですか?
嶋浩一郎さん
選りすぐられたステーショナリーだけを使いこなしている嶋さん。


嶋さん:
人が初めて手にするクリエイティブツール。

そして、同時に初めてブランドというものを意識するものであるとも思います。

私の今の仕事にはなくてはならないツールです。情報をスキャンしたりデジタル化せずにあえてMOLESKINEに書いているのも、いつでもどこでもペラペラとページをめくれるからです。この使いやすさは文具ならではではないでしょうか。


ガイド土橋:
本日はありがとうございました。

取材後記

今回、最も衝撃を受けたのは嶋さんのスケジュール帳の書き方。

スケジュール帳を見せてくださいと言って、広げていただいた中には□や○が→で結ばれたものがあり、スケジュール帳というよりかはノートに書きとめられたフローチャート図のようでした。あまりにもスケジュール帳らしくなかったので、嶋さんが間違ってノートを取り出したのかと思ったほどでした。これまでいろんなスケジュール帳を見てきましたが、初めて拝見するスタイルでした。

「書かれたもの」というよりも、これは「描かれたもの」という感じで、ユニークであると同時に美しいとさえ思ってしまいました。この手帳の書き方について、嶋さんが特に強調されていたのは、手帳が初めにありきではなく、「書き方」つまりどのように書くかがまずあって、それに合う文具を選んでいくというものでした。

また、ノートを一軍と二軍に分けるというのも参考になりました。私はこれまで、情報はできるだけ一冊でまとめようと心がけていましたが、実際はその中は玉石混合であとで読み返したいというしろものではありませんでした。それは、寝かせることであぶり出される自分にとって本当に必要なものを選びだしていなかったからなのでしょう。

私も今後のビジネスやコラムに役立つものを抽出し、一軍ノートにまとめてみようかと思いました。そうすれば、きっと本当に自分にとって必要な情報だけが結晶化されて残っているはずです。


<関連リンク>
博報堂ケトル
嶋さんの著書「嶋浩一郎のアイデアのつくり方」
「旬」がまるごと
「本屋大賞」

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