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靴に使う「牛革」を深く考えてみる その3E(4ページ目)

今回の「メンズシューズ基礎徹底講座」では、加工によってマットな質感を得た革を採り上げます。様々な種類がありますが、どれも通常の革に比べると、多少乱雑に扱っても耐え抜いてくれる頼りになる存在です。

飯野 高広

執筆者:飯野 高広

靴ガイド

進化の著しい撥水レザー!

撥水レザー
風合いこそ多少味気ないですが、撥水レザーは近年進化が著しい革です。傷口から水がしみ込んでしまうトラブルも、随分少なくなって来ました。


オイルドレザーやグローブレザーは、ビジネス向けに使うのには表情に特徴があり過ぎて、抵抗を感じるのも事実でしょう。かと言って悪天候の日は、普通のスムースレザーのアッパーの靴ではちょっと心もとない…… そんな時に活躍するのが「撥水レザー」と称する革を用いた靴ではないでしょうか。

文字通り鞣す工程の中で、様々な加脂剤やフッ素樹脂やシリコン樹脂を用いて撥水・撥油加工を施したもので、これらで革の表面をコーティングするのが従来からのやり方です。この加工は確かに抜群の効果を発揮するのですが、実はこの方法だと一つ、非常に厄介な事が起こりがちです。あくまで「コーティング」であるが故に、革の表面に傷が付いてしまうと、その部分の撥水性が自動的に失われ、むしろそこだけに水がしみ込んでしまい無様なシミとなり、加工そのものが意味のないものになってしまうのです。

通常のスムースレザーに比べると、「革」としての風合いは若干劣りますし、水や油をはじくと言うことは、すなはち靴クリームも浸透し辛い訳で、シューケアの楽しみもあまり味わえません。ただ、最近ではこの撥水加工も表面コーティングではなく、撥水剤を革の内部にまで浸透・結合させる方法も登場し、その技術も年々進歩していることから、前記のような悲劇は起こり難くなっているようです。またお手入れに関しても「メンテナンスフリー」と割り切ってしまえば、1足あると確かに重宝する存在であることに間違いはないでしょう。


いかがでしたでしょうか? 数回に分けてお話しした「加工による牛革の違い」は、今回でとりあえずオシマイです。次回からは「仕上げの違い」ですので、どうぞお楽しみに!


【「メンズシューズ基礎徹底講座」・関連リンク】
靴に使う「牛革」を深く考えてみる その1
靴に使う「牛革」を深く考えてみる その2
靴に使う「牛革」を深く考えてみる その3A
靴に使う「牛革」を深く考えてみる その3B
靴に使う「牛革」を深く考えてみる その3C
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履けない靴を買わないための心得、前編
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なお、お手入れ全般についてはこちらへ!
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