どちらも現場での経験ゆえのデザインです!
こちらもトレーディングポストが別注したトリッカーズのギリーブーツです。2007年の秋冬に流行している「ある靴」と、鳩目周りの意匠が実はそっくり! 薄茶色のこの靴は渋谷・横浜・京都・大阪・福岡店での取り扱いです。サイズ7ハーフ~9ハーフ。\71,400(税込み)。お問い合わせ先・トレーディングポスト (下記ご参照方)。 |
トリッカーズのギリー、と言えば、むしろこのブーツスタイルのものの方が日本ではおなじみかも知れません。色合いといいドーンと押し出しの強いスタイルといい、いかにも! ですよね。この写真だとなおさら想像しやすいのですが、ギリーの鳩目周りって、2007年の秋の時点で流行になっている、「ある靴」とよく似ていると思いませんか?
そう、突如としてセレクトショップ等で暫し見かけるようになったマウンテンブーツ=登山靴のそれと、実はそっくりなのです。個人的には、巷に出回るこの種の「登山靴みたいな靴」、日本のアスファルトの道には足当たりが硬すぎて、ひ弱な都会人だと足腰を痛めかねない気もするのですが…… 本当に自然の野山に親しみ、それを慈しむ方々は、この種の不自然なブームをどう思うのだろう? それにこの種の靴をちゃんとケアできる人、今日の大都会にどれだけいるんだろう? ワイルドに履くのが味、なんていう人もいるかもしれないけど、手入れして履いてあげないと、作ってくれ職人さんに申し訳が立たないよ……
それはさておき、さすがに舌革はしっかり存在しますが、マウンテンブーツもギリーと同様、鳩目周りがU字状にくり抜かれ、その鳩目もDリングやメタルフックとすることで「波状」になっていますよね! どちらも過酷な使用条件を起源に持つものだけに、現場での経験から意匠が相似してくるのは、ある意味当然です。このあたりを的確に認識した上で、敢えてギリーを選択したトレーディングポストのバイヤーさんの鋭いセンスは、大いに評価すべきでしょう。
今回採り上げたギリーに限らず、このように「共通の意匠」や「相似した起源」を認識し思考することは、ファッショントレンドを意識しつつも、それに踊らされたり流されたり堕したりすることなく、自らの幹を持った装いを実践するためには、極めて大切なことの一つです。そしてその積み重ねがなされたかどうかも、装いの面で一見似通った表現である「カッコいい」と「カッコ付けている」とを大きく分け隔てる、重要な要素なのです。
【取材協力】
■ トレーディングポスト
今回のギリーはもちろんのこと、流行を意識しながらも鋭い解釈でそれを普遍性に結びつけたコレクションが毎シーズン楽しみな、正にシューズセレクトショップの雄。靴の種類の豊富さだけでなく、店員さんのシューケアの知識が豊富なのも特徴。特に今回は渋谷店の多大なるご協力をいただきました。この場を借りて御礼申し上げます。
HP: Trading Post selected shoe shop
以前同店を取材させて頂いた際の記事は、こちら
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