これも発展形があります!

 ジオグラフィーリビングのストラップシューズ
生成り色のヌメ革をなんとも鮮やかなブルーに手染めした、ジオグラフィーリビングのストラップシューズです。この仕様でのオーダーで107,100(税込み)。


前回はシングルモンクを中心に、履き口を靴紐ではなくバックルとストラップで締め上げる靴の見どころを解説いたしました。このスタイルは何といってもそのバックルが肝心! 材質や形しだいで、靴の表情が驚くほどガラッと変わってしまうのですから。

例えば上の写真のような、まるで1950年代のアメリカンフルサイズスポーツカーのような流麗な面構成を持ったブラインドフルブローグですと、全体の雰囲気を壊さないためにも、バックルはこの位の控えめなものが、この位置でやはり正解でしょう。ちょうど車のフェンダーミラーとかドアミラーみたいに見えますよね!

さて今回は、そのモンクストラップの発展形を2種類ご紹介することに致しましょう。どちらも誂え靴のデザインとしては以前からありましたが、ポピュラーになったのは近年で、そのきっかけを作ったブランドも実は共通です。靴のデザインの奥深さを改めて実感して頂ければと思います。

なお、今回も前回と同様、小生がこのガイドサイトをオープンした時に初取材させていただいた、東京・原宿の「ジオグラフィーリビング」にご協力をいただいております。そういえばこのガイドサイトも引き継いでから丸一年、読者の皆様並びに取材先の皆様のお蔭で何とか無事に迎えることができました。この場を借りて厚く御礼申し上げます。


視野を広げさせてくれたダブルモンク

ジオグラフィーリビングのダブルモンク
その個性的な表情に誰もがアッと驚く、ジオグラフィーリビングのダブルモンクのオーダーサンプル。イタリア産クロコダイル調型押しカーフを使用し、透明感は本物の鰐皮以上。この仕様でのオーダーで71,400(税込み)。もちろん普通のスムースレザーでも、オーダー可能です。


バックル付きのメンズドレスシューズの枠組みをここ十数年で思いっきり広げてくれた大恩人と申し上げてよいのが、このダブルモンクストラップ、通称「ダブルモンク」でしょう。文字通り二対のバックルとストラップとで足を靴に固定させる靴です。ただし二対とはいっても、ストラップが完全に2つに独立しているわけではなくて、上の写真の靴のように一対の大きなストラップが甲周りまで覆い、バックルの手前から二対に分離するケースがほとんどです。前回の一番上の写真もご参照いただければと思います。

この靴はもともと、今日巷でセレブと呼ばれる全ての方々を瞬く間に消し去る20世紀最強の本当のセレブリティ、かのウィンザー公(イギリス国王時代の呼称はエドワード8世)のリクエストに応じて、ロンドンの誂え靴店・ジョンロブが「普段履き」として創造したもののようです。後にジョンロブのかつてのパリ支店がエルメスに売却され、ジョンロブ(パリ)として既製靴を1980年代に展開するようになった際このデザインも採用となり、デザインを創造した頃のジョンロブの社長名にちなみ「ウィリアム」と名付けられました。

日本でこのスタイルがより広く知られるようになったのは1990年代前半、正にそのジョンロブ(パリ)のウィリアムがユナイテッドアローズの本店に並び出したのとほぼ同じ頃だと記憶しています。モンクストラップといえば日本にはそれまでシングルモンク、しかも無骨なものしか事実上存在しなかった中、ダブルソールでアッパーもスコッチグレインレザーと男っぽい仕様だったにもかかわらず、ウィリアムの洗練さは衝撃の別世界でした。当然他メーカーも堰を切ったようにこのスタイルを次々と登場させ、ドレスシューズの定番として今や人気はシングルモンク以上では?

ダブルモンクは上の写真のようなプレーントウもいいのですが、ストラップの形状との相性が良いせいか、キャップトウのものを多く見かけます。確かに真横から見ると、2つのストラップとトウキャップの線が規則的に並ぶのは、まるでADIDASの3本線みたいでなかなかカッコイイ! また多くの場合、甲周りを大きなストラップで「面」として強く押さえ付ける構造になるがゆえ、甲が低めの人の方が違和感を覚えずに履ける靴とも言えるでしょう。


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