補色には専用ローションが便利!
スプレーもあるのですが、補色にはこのようなローションタイプの方が何かと便利です。 |
成分的には前述した無色の専用スプレーに染料を加えたものですから、「ちょっと色合いが薄くなってきたかな?」と思った辺りから、何回かに1回かは定期的にこれでケア、みたいな感じて用いるのが最適かと思います。スムースレザーの靴のケアで用いる色付きの乳化性靴クリームと同様に、靴本来の色よりも若干薄めの色のものを用いるのが、仕上がりの色調が不自然にならない秘訣です。
実はこの類、ローション式のものよりもスプレー式のものの方が巷では広く出回っています。まあどちらも液体、と言ってしまえば同じなのですが、ローション式は付属のスポンジなどで「押し込んで」革に直接注入する形になるので、間接的に「ふりかける」形のスプレー式に比べ
- 染料がより多く・深く定着する。
- 部分的な色あせにも対応しやすい。
- 拡散しにくいので、周囲に新聞紙などを敷かなくてすむ。
- 手、特に指が汚れない。
起毛系レザーには、光らせる成分は不要!
スムースレザー用の靴クリームには蝋が入っていますが、起毛系レザー用のものには入りません。 |
「スムースレザーのケアの時は、塗るだけで光るような液体のものはお勧めしない、って書いてあった筈だけど、起毛系のケアではどうして液体のものでOKなの?」
と疑問に思われる方も出てきているのでは? それ、大変鋭い指摘ですよ! この辺りの違いや理由について、以下きちんと整理しておきましょう。
以前の復習になりますが、スムースレザー用の乳化性靴クリームの主成分は「水・油そして蝋」です。一方、今回ご紹介している起毛系レザーのケア用品の主成分は、スプレー式であれローション式であれ「水と油」で、蝋分は含まれていません。この違いが肝心なのです。
蝋は革を見栄え良く光らせ、表面を保護する効果ゆえに含有させるものです。ただしその「表面を覆う力」が大変強く、通気性を損なうリスクもあるため、スムースレザーのケアの際は乳化性靴クリームを用いた後に、ブラッシングと拭き取りでそれを最小限にする必要があったわけです。「塗るだけで光る」液体のものを靴に塗った後に何もせず放置すると、通気性だけでなく革の柔軟性も損なわれ、保護するどころかヒビが入ってしまうことが多々あるので、スムースレザーの場合小生はこれをお勧めしませんでした。
しかし起毛系のレザーは光らせる必要は全くないので、そのための蝋もケア用品に含有させなくて大丈夫。これは革の表面を強く覆う「盾」がないことも意味するので、たとえ靴にケア用品を余分に入れそのまま放置したとしても、その水分や油分は自然に蒸発し革に特段大きなダメージは与えません。だからこちらは液体のものでもOKなのです。
前回の終わりに、「起毛系レザーの靴は、できれば靴を履く度に毎回ブラッシングと無色の専用スプレーでのケアをして欲しい」と書いた理由も、これでもうお分かりでしょう。起毛で表面積が広くなるからだけでなく、主成分に蝋という「防御盾」を含まないゆえ、水分・油分の不足による乾燥もより早く起こってしまうからです。
いかがでしたでしょうか? お手入れこそ簡単な起毛系レザーの靴ですが、そのケア用品はスムースレザーの場合と同様に奥が深いのです! 次回はそのもう一方の主役、専用のブラシについてじっくり探求してみましょう。
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