まず揃えてほしいのは、これ!

今回はシューケアの基本中の基本、一般的なスムースレザーの靴のケア方法を、M.モゥブレィやWOLYなどヨーロッパの一流靴クリームを取り扱う株式会社 R&Dの静(しずか)社長にご協力頂き、順を追って紹介します。

上段左から:馬毛ブラシ、化繊ブラシ、ペネトレィトブラシ、コットンクロス、グローブクロス。中段:シューキーパー。下段左から:クリーナー、乳化性クリーム、油性ワックス

上段左から:馬毛ブラシ、化繊ブラシ、ペネトレィトブラシ、コットンクロス、グローブクロス。中段:シューキーパー。下段左から:クリーナー、乳化性クリーム、油性ワックス


まず、何はともあれ上の写真にある道具を揃えてください。どれも靴屋さんかデパート等の靴売り場に行けば、必ず置いてあるものばかりですし、布の類は着なくなったTシャツの切れ端でもかまいません。なお今回実験台には、恥ずかしながら小生の私物の靴を用いました!

まずは汚れを落とす

手順1

手順1


馬毛でできたブラシでほこりを落とします。泥汚れがひどい時などは、おしぼりより気持ち水気が多い程度の雑巾で、靴全体をまんべんなく拭いてもかまいません。そうそう、シューキーパー(参考:お手入れの前に知っておきたい、大切なこと)を入れてケアした方が履きシワも伸びて、作業がはかどります。

手順2

手順2


古いTシャツの布などに液体クリーナーをとり、靴全体を拭きます。油性の汚れや古い靴クリームを落とすのが目的です。布の面をしばし変え、常にきれいな面で拭き取るのがポイントです。軽く拭けば十分ですが、コバや履き皺の部分は汚れが溜まりやすいので、気持ち念入りに。

次に栄養を入れる

手順3

手順3


ペネトレィトブラシで乳化製のクリームを塗り、靴に水分と油分を補給します。分量は片足で米粒2~3粒程度と少な目で十分です。素早く全体にサッと広げましょう。歯ブラシでも十分代用できますが、この専用ブラシがあると重宝します。

手順4

手順4


化繊(豚毛でもOK)のブラシでブラッシングします。これで乳化性のクリームをより均等に靴に広げ、更に余分なクリームを「払い落とす」のです。革のコンディションが良ければ、この時点で革にかなりの輝きが蘇ってしまいます。

手順5

手順5


つい忘れてしまいがちですが、縫い目や履き皺、コバの部分も忘れずにブラシを入れましょう。一見面倒に思うかもしれませんが、ブラシを用いた方が、クリームもダマにならず、早く美しくかつ革にも有効に仕上がるのです。

手順6

手順6


今度は布で乾拭きです。余分なクリームをさらに「取る」「落とす」感覚で行うと効果的です。この布も使う場所を都度変え、靴クリームが布に付かなくなる程度まで行いましょう。ここまですれば、革の表面がもうツルツルの筈ですよ。

さらにピカピカにする

手順7

手順7


油性のワックスをごく薄く塗ります。こちらはブラシではなく布で塗りましょう。ワックスは光沢=表面保護性と防水性には優れますが、通気性は損ねてしまうので、塗るのはキズ防止に爪先と踵(つまり、芯が入っていて曲がらないエリア)、それにコバだけで十分です。

手順8

手順8


拭く前に1~2分程度放置し、ワックスの中の溶剤を飛ばして蝋分を固まらせた上で、写真にあるように水を一滴たらします。別に何の変哲もない水なのですが、輝きを倍増させる秘密兵器が、これなのです!

手順9

手順9


クリームの場合とは違い、対照的にワックスを「乗せる」感覚で優しく、細かい感覚で乾拭きします。乳化製クリームの主成分は「水と油と蝋」ですが、油性ワックスの主成分は「蝋と油」と微妙に違うので、シューケアの際の役割も扱い方も、当然異なるのです。

一目瞭然過ぎます。しかも短時間!

どうです? 見た目も革の質感も、向かって左と右との差が歴然ですね

どうです? 見た目も革の質感も、向かって左と右との差が歴然ですね


言わずもがな向かって左がケア後、右がケア前の姿です。見た目のみならず、革の質感、特に柔軟性に思わず笑ってしまうくらい歴然とした差が生じました。単に靴の表面を「磨く」のではなく、革の内部に水分や油分を必要十分に補給しているからです。「シューシャイン」とか「シューポリッシュ」ではなく、「シューケア」と記しているのも、そのためです。

ラップタイムは片足で、実は10分も掛かっていません。ワックスで輝かせるのが好みでない方は、恐らくクリームを入れた後の乾拭きまでで、片足僅か5~6分です。これなら朝忙しい時はともかく、休日のちょっとしたヒマつぶしに丁度良い時間です。慣れると全然面倒じゃないですよ!

なにも靴を履く度に毎回このケアを行う必要はありません。アッパーの革が「ちょっと疲れたなぁ」「お腹減ったよ」と見て取れるようになったらで大丈夫です。履く環境にもよりますが、日頃は仕舞う際にきちんとブラッシングをして、その日に付いた汚れやホコリを掃う程度でOKで、大体5~6回履いたら上記のケア、と言う感じでしょうか。

特に雨天に履いた際は、よく乾かした後に上記のケアをきちんとしておくと、靴のダメージは確実に防げます。また、新品の靴も手順3以降を施した後に履きおろししましょう。乳化性クリームの油分で革の表面が初めからしっかり保護されるため、靴の寿命がグンと伸びるのです。

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