確定申告/確定申告に必要な書類(用紙)

どれを選ぶ?種類が多い確定申告書

確定申告書の種類と、それぞれどんな人が使えばいいのかを解説します。国税庁サイト内の確定申告書作成コーナーは便利なので、その使い方についてもお教えします。

田中 卓也

執筆者:田中 卓也

税金ガイド

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確定申告書の基本形は3種類。どう使い分ける?

「昨年、住宅を購入したから住宅ローン控除をしよう」「医療費が多かったから医療費控除をしよう」……。確定申告をしようと思っても、最初に立ちはだかるのが「そもそもどんな書類があって、どれに書いていいのか分からない」という壁。

確定申告書の基本的な書式は次の3つです(この他にも損失用の申告書というものがありますが、今回は割愛します)。
確定申告書A様式
確定申告書B様式
申告書第三表(分離課税用)
※リンク先で平成27年分の書式をダウンロードできます。

以下、それぞれの申告書をどんな目的で使えばよいかを解説します。

確定申告書Aを使うのはこんな人

確定申告書Aは、所得の種類(所得区分)が給与所得・配当所得・一時所得・雑所得の4種類に限定されている人が使用します。たとえば、サラリーマンやパート・アルバイトのように勤務先から給料をもらっている人、年金をもらっている人、株の売買はしなかったが配当をもらっている人などです。

ただし、所得の種類が上記の所得に限定されていても、予定納税のある人、平均課税の適用のある人、純損失の繰り越しや雑損失の繰越がある人は、確定申告書Aを使用することはできません。

記入例はこちら>>平成27年分 申告書Aの書き方と源泉徴収票の見方

確定申告書Bを使うのはこんな人

確定申告書Bは、給与所得・配当所得・一時所得・雑所得に加えて不動産所得や事業所得など、所得区分を問いません。

確定申告書Aは確定申告書Bをより簡便化させたものですので、所得区分が給与所得・配当所得・一時所得・雑所得だけの場合でも、最初から申告書Bを使用しても支障はありません。

一方、アパート・マンション経営などをしている人やフリーランスや自営業者などは確定申告書Aでは対応できませんので、最初から確定申告書Bを使用することになります。

記入例はこちら>>平成27年分 申告書Bの書き方と源泉徴収票の見方

申告書第三表(分離課税用)を使うのはこんな人

申告書第三表(分離課税用)を使うのは、株の譲渡や土地・建物の譲渡があった人です。

例えば、自営業者が本業のかたわら、株の売買でおこづかい稼ぎという場合や、アパート・マンション経営を行う一方、収益力のない物件は売り出しに、というような場合です。

株の譲渡や土地・建物の譲渡は「分離課税」といって、他の所得から分けて離して(つまり、分離されて)税金がかかります。したがって、申告書Bにあわせて分離課税用の申告書を使う人も出てきます。

記入例はこちら>>確定申告、分離課税申告書の書き方

国税庁のHP上で簡単に申告書が作成できる

このように、所得区分が分からないと、使うべき申告書の種類も分からないことになります。でも大丈夫。国税庁のウェブサイトが役に立ちます。

確定申告書等作成コーナー」にアクセスし、説明にしたがって進んでいくと、次のような画面が表示されます。右端の緑色の枠、「左のボタン選択がお分かりにならない方」からアンケート感覚で質問に答えていくことにより、自動的に申告書を選択してくれます。
確定申告書等作成コーナーの画面。右端の緑色の枠、「左のボタン選択がお分かりにならない方」をクリック

確定申告書等作成コーナーの画面。右端の緑色の枠、「左のボタン選択がお分かりにならない方」をクリック

さらに進むと、次のような画面が表れます。所得区分に関する予備知識がなくても、自分が使うべき申告書を選択することができます。
確定申告書等作成コーナーの画面。はい・いいえの簡単なアンケートに答えるだけで、自分が使うべき確定申告書の書式がわかる

確定申告書等作成コーナーの画面。はい・いいえの簡単なアンケートに答えるだけで、自分が使うべき確定申告書の書式がわかる


ここまでが、所得区分ごとの申告書の選び方です。ただし、医療費控除や住宅ローン控除を申請する際は、他にも書類が必要です。

医療費控除はさらに医療費の明細書と領収書が必要

サラリーマンなどの給与所得者が医療費控除を受けたいと思ったら、確定申告書Aだけでなく、医療費の明細書(リンク先で書式をダウンロード可)を作成する必要があります。医療費の明細書の記入方法は、医療費を受けた人ごと、かかった医療機関ごとというのが基本です。

また、医療機関からの領収書の原本を添付しなければいけません。保険組合などからのいわゆる「医療費のおしらせ」は領収書にはあたらないと判断されますので注意してください。

通院にかかった交通費なども、医療費控除を受けるための医療費に該当しますが、「領収書やレシートがない」ことがネックになると思われます。この場合、通院日と照合できるよう、通院にかかった交通費や交通経路ともにExcelの表などでとりまとめておくとよいでしょう。

入手方法はこちら>>医療費控除を申請したい!用紙はどこで入手できる?
記入例はこちら>>医療費控除の申告方法と明細書の書き方

住宅ローン控除はさらに計算明細書や源泉徴収票などが必要

フリーランスの人が住宅ローン控除を受けたいと思ったら、申告書Bと「(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書」(以下、住宅ローン控除の計算明細書)を記入しなくてはいけません。サラリーマンなどの給与所得者は1年目のみ確定申告が必要。2年目以降は勤務先での年末調整で処理されます。

さらに、住宅ローン控除の計算明細書に添付する書類もあります。サラリーマンなどの給与所得者であれば、次のような書類です。

・源泉徴収票:源泉所得税額と所得金額
・売買契約書:購入価額と印紙の貼付状況など
・金融機関からの残高証明書:年末予定残高と償還期間などの要件
・土地、建物の登記簿謄本:本人の持分や床面積などの要件
・住民票:取得後、6カ月以内に住み始めたのかなどの要件

いずれも税務署以外のところでもらう書類ですので、保管場所を決めておくなどして、紛失しないようにしておきましょう。

上記の書類の見方はこちら>>住宅ローン控除に必要な書類と見方のポイント
住宅ローン控除の記入例はこちら>>住宅ローン控除 確定申告書の書き方

株や投資信託、FXの取引に関する申告書

株、投資信託、FX(外国為替証拠金取引)は一般的に金融商品といわれます。特定口座の「源泉徴収あり」なら確定申告不要ですが、配当控除を受けるため、もしくは損失の繰り越しなどで確定申告をすることもあるでしょう。

所得区分でいうと譲渡所得・配当所得・雑所得とバラバラなので、使用する申告書もケースバイケースで判断しなくてはいけません。

■株や投資信託
株や投信の配当だけなら配当所得なので、確定申告書Aで事足ります。株の譲渡があった場合は譲渡所得なので、分離課税用の申告書を使います。

一般的には確定申告書Bと分離課税用の申告書をあわせて提出しますが、特定口座を開設しているなら、年間取引報告書を申告書に添付することになります。取引がない場合も含めて、1月中には口座を開設している人に年間取引報告書が送られてきているはずなので、チェックしてみてください。 ネット証券だとログイン後のページで随時ダウンロードできるケースが多いようです。

■FX
FXの取引があった場合、取引所取引(くりっく365)と店頭取引(または相対取引)がありますが、どちらも所得区分でいうと雑所得です。いずれも申告分離課税なので、確定申告書Bと分離課税用の申告書を併用します。ケースによっては先物取引にかかる雑所得の金額の計算明細書を添付しなくてはいけません。また、必要経費にかかる資料の積み上げなど自助努力が必要です。

日本の所得税はよくも悪くも申告納税方式です。つまり、税金を納める義務もある代わりに、税金の還付を受けるための申告も納税者が自ら行わなくてはいけません。確定申告に積極的に関わってみませんか?

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