定年・退職のお金/介護費用・介護にかかわる各種制度

介護費用、施設に入居するといくら?(2ページ目)

1人暮らしのお年寄りが増えています。介護が必要になった時に、施設に入居したいと希望する人が多いようです。そこで気になるのが、施設に入った時に必要な費用。介護保険との関わりとともに、ご紹介しましょう。

福一 由紀

執筆者:福一 由紀

ファイナンシャルプランナー / 仕事・給与ガイド

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施設入所も所得に応じて負担額が変わる

介護施設への入所は、介護認定度、部屋の種類、所得によって決まる

介護施設への入所は、介護認定度、部屋の種類、所得によって決まる

介護保険の施設サービスの中で、まず「ショートステイ」を見てみましょう。ショートステイは、普段は自宅での介護を受けている人が、短期間入所するものです。この1日(1泊)あたりの費用負担を見てみます。

施設サービスの費用は、介護サービス費の1割、食費・居住費・日常生活費の全額でした。まず、介護サービスは、介護状態の認定(要支援1~要介護5)に応じて料金が決められています。

このサービスの1割負担額は、およそ700円から1000円くらいです。こちらは、介護状態によって負担が変わってきます。

次に食費ですが、こちらは全額負担。だいたい3食で1300円程度です。食費は、前のページで紹介したように、所得による負担限度額があり、所得に応じて300円から650円の負担でいいことになります。もちろん、住民税を納付しているような高所得者は、限度額はありませんので、約1300円を払わなくてはいけません。

最後に居住費ですが、これは部屋代のことでホテルのルームチャージと同じです。この居住費は、部屋によっても変わります。1日あたり個室で1500円から2000円程度、多床室で320円程度です。

この居住費も所得による負担限度があり、個室ではだいたい500円から1300円程度、多床室で0円から320円程度の負担となります。

ショートステイ:1日あたり1000~4000円

これらの3つの費用(介護サービス費、食費、居住費)をあわせたものが、ショートステイでの1日あたりの費用となります。介護サービスは、介護保険適用のサービスなので、介護認定度によって負担額が変わります。また、居住費は利用している部屋によって変わってきます。3つのパターンでシミュレーションしてみましょう。

●パターン1
介護サービス負担を700円、従来型個室を利用と仮定すると、十分な所得がある人の場合、1日の負担額はおよそ下記のようになります。他の実費負担をあわせたとしても、4000円弱といったところでしょう。
⇒介護サービス(700円)+食費(1380円)+居住費(1640円)=3720円

●パターン2
食費と居住費は、所得に応じて軽減措置がありました。 上の例で所得が第2段階だとすると、負担額が3780円から1580円に軽減されます。
⇒介護サービス(700円)+食費(390円)+居住費(490円)=1580円

●パターン3

ショートステイを利用して、最も負担額が少ないのは、所得が第1段階で多床室を利用するときです。
⇒介護サービス(700円)+食費(300円)+居住費(0円)=1000円

特別養護老人ホーム入所:月3万~12万円

1人暮らしの老人にとって、一番困るのが病気などの介護が必要な時。特別養護老人ホームなどに入居していれば安心

1人暮らしの老人にとって、一番困るのが病気などの介護が必要な時。特別養護老人ホームなどに入居していれば安心

次に、施設に入所する場合を見てみましょう。

介護保険での施設は、介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)や介護老人保健施設(老人保健施設)などがあります。特別養護老人ホームは常時介護が必要な人用の施設で、老人保健施設は病院に入院するほどではない病気で、介護を必要とする人用の施設です。

これらの施設の入所費用も、ショートステイの場合と同じように計算します。 1日あたりの介護サービスの1割負担と食費と居住費を出し、その30日分の費用が1カ月にかかる費用となります。他にも衣類のリースや日用品費、特別室料などが加算されます。

基本的な費用は、デイサービスとほぼ同じで、1日1000円から4000円。これが1カ月となると、3万円から12万円といったところですね。これにその他の費用が加算されることになります。

有料老人ホームは介護保険の範囲外

最後に、介護保険とは関係ないのですが、広告などでよくみる有料老人ホームについてご紹介しておきましょう。最近では、高齢者マンションや介護付ホームなどもよく見かけるようになりました。

これらは、入居一時金が数百万円から数千万円もしたり、1カ月の利用料が20万円や40万円もするところもあります。これらの施設は、介護保険とは関係はありません。在宅と同じ扱いで介護サービスを受けることができます。この場合は、有料老人ホームに支払う利用料とは別に、介護保険サービスの1割負担が必要となりますので、ご注意を。

いかがでしたか? 介護保険で、施設に入所することになると、所得に応じてかなりの支払い額の差がでてきます。年金収入だけの生活者にとって、負担限度額があるのは助かりますし、安心ですよね。うまく介護保険制度を利用して、心配のない老後を過ごしたいものです。

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