地震火災費用保険金って何?
地震災害への意識の高まりとともに、年々加入率が増加している地震保険。2017年、2019年と改定があり、全国平均での保険料率が引き上げられています(2021年も改定予定)。
地震火災費用保険金と地震保険の違いについて解説していきましょう。
火災保険の損害保険金と費用保険金の違い
火災保険では、火事や自然災害による建物・家財の損失や損害に対して「損害保険金」が支払われます。保険が支払われると言われるとこれをイメージする人が多いと思います。この「損害保険金」以外に、火事や自然災害などによる損害から発生する費用に対して支払われるものを「費用保険金」と言います。
つまり損害保険金は、建物や家財など直接損害を受けたものを修復・購入等するための保険金です。これに対して費用保険金は、主に間接的にかかるコストを補償するものです。例えば火事で建物が焼失した場合に、焼け残った残存物を撤去する必要がある費用などです。
一部例外はありますが、その多くは名称が「〇〇費用保険金」となっているので、ほとんどは見れば分かります。「地震火災費用保険金」もこの費用保険金の一つです。
地震火災費用保険金の補償内容
それでは地震火災費用保険金の具体的な内容について確認していきましょう。地震火災費用保険金が支払われる条件は次の通りです。- 地震・噴火またはこれらを原因とする津波を原因とする火災
- 建物が半焼以上または保険目的である家財が全焼
地震火災費用保険金があれば、地震保険はいらない?
地震火災費用保険金があれば、地震災害に対する補償が全くないわけではないのでこれでいいという人もいるかもしれません。ただし、地震火災費用保険金の内容から分かるように、基本は地震等を原因とする「火災」が対象です。つまり地震の発生によって直接、建物が全壊したり、津波や噴火の場合などは対象ではありません。
火災の場合でも、建物で半焼以上、家財で全焼という条件があるため、地震を原因とする火災の被害にあっても被害状況によっては保険金の支払い対象とならない可能性は十分にあります。
補償される金額については保険金額(契約金額のことです)の5%相当になりますから、例えば2000万円の火災保険であれば100万円ということになります。これを多いと思うか少ないと思うか、ないよりマシと思うかは人それぞれでしょう。
しかし、もしこれしか補償がないのであれば、ちょっと心もとないのが実際のところです。地震災害に不安があるなら、地震保険の加入を検討してみてください。地震火災費用保険金についてはおまけで補償があるという程度のつもりでいたほうがいいでしょう。過度に期待していると、被害にあったときにガッカリすると思います。
なお、いくつかの損保で地震費用保険金の支払い限度を5%から、最大50%まで引き上げる補償をつけているケースがあります。
地震による火災に限定されますが、これによってもともと火災保険の50%までしか補償されない地震保険に、地震費用保険金を50%まで上乗せ補償することで100%まで補償を引き上げることができます。
費用保険金には他にどんなものがある?
おまけとはいうものの、意外と軽視できないのが費用保険金でもあります。地震火災費用保険金以外にどんなものがあるのでしょうか? 参考までに一般的に火災保険に付帯されている主な費用保険金を挙げておきます。- 臨時費用保険金
- 残存物取片付け費用保険金
- 失火見舞費用保険金
- 傷害費用保険金
- 特別費用保険金
- 損害防止費用 など
火災保険の中には一部、これらの費用保険金を削除できるものもあるようですが、保険料の安さだけに目が行くと、もしものときに面倒なことになるので注意してください。例えば、火災があった後の残存物の撤去費用などは結構コストがかかりますので、こうした費用が支払われるのは助かります。
地震補償保険とは違うの?
SBIリスタ少額短期保険、SBIいきいき少額短期保険(株)という少額短期保険が、「地震補償保険」という保険を販売しています。地震保険、地震費用保険金と区別するためにこちらについても解説しておきましょう。まず、少額短期保険業者と損害保険会社は違うという点をご確認ください。
地震補償保険も、地震保険同様に被害にあった後の生活再建費用を負担するものです。こちらも地震保険に上乗せして加入することが可能ですが、その意味では従来の地震保険とは考え方や仕組みが異なります。
なお、この保険は少額短期保険として独立した保険ですので、火災保険の加入の有無に関係なく単独契約が可能です。
地震火災費用保険金はあくまでプラスアルファですから、コストと補償のバランスを見ながらそれぞれの保険を利用してください。
※保険会社・保険商品によって内容が異なることがあります。加入の際には必ずご確認ください。
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