堀や門、車庫(ガレージ)などは火災保険の対象?
住宅用の物件に火災保険の契約をする場合、通常保険の目的は「建物」か「家財」です(店舗併用住宅などは除く)。しかし、よく建物の周囲を見渡してみると、例えば一戸建ての住宅には建物の他に「門」や「塀・垣」「物置」「車庫(ガレージ)」などもあります。門や塀などは建物と同じとみなしてそこに含まれているのかと思えますが、建物とは別なようにも思えます。火災保険の契約における門や塀などの建物付属物についてお話しします。
火災保険における建物付属物とは何か?
一般的な建物を目的にしたときの火災保険契約における付属物は、主なものは以下になります。- 基礎工事
- 門、塀、垣
- 畳建具、造作
- 自家用車専用車庫(ガレージ) など
堀や門、車庫(ガレージ)… 火災保険契約上の建物付属物の取り扱い
火災保険の契約の際には、これらの建物付属物の取り扱いは次のようになります。以前の火災保険の申込書には、通常これらの付属物を含むか含まないか、記載する欄がありました。過去形にしているのは、以前の火災保険(例えば住宅総合保険など)はそのような取扱いになっていたためです。
現在はというと、わざわざこうした形にはなっていないので門や塀、垣などは建物を目的に火災保険の契約をしたときには含まれているのが一般的になっています。ごくごく一部の損保で建物付属物を特約で選ぶタイプがでていますが、通常は建物に火災保険の契約をすれば付いていると考えてください。
火災保険の建物付属物の注意点
これらの建物付属物に関して気をつけるべき点について触れておきましょう。建物を目的にしていれば、門や塀、物置などは今の火災保険では一般的に含まれると言いましたが、目的が家財だけなら当然含まれません。持ち家の人なら、火災保険に加入して建物を目的にしない人はいないでしょうが、まずはここを押さえておいてください。また、建物を目的に火災保険を契約すれば門なども含まれるということは、火災保険の評価額の中にそれらが入っているということです。例えば火災保険の契約時に塀などはなかったが、後から作ったというのであれば、その分契約金額に足してもらうようにしましょう。
【例】
建物評価額が2,000万円で火災保険に契約
後から100万円をかけて門や塀、車庫などを増設
建物2,000万円+建物付属設備100万円=2,100万円
火災保険の評価額を100万円増額して、契約満期までの残りの期間について差額分の保険料を追加で支払います。契約満期を待たずに期間の途中で手続きすることができます。
実務的なことをお話しすると、建物などの評価額には一定の幅があります。このくらいの広さ(面積)、構造、築年数、所在地であれば、○○万~○○万円という具合です。実態に応じて評価額を決めていきます。上記の例では100万円追加する必要があるわけですが、手続きを忘れてもこの幅の中で吸収できる可能性はあります。
吸収できるというのは、保険金を支払い上で問題なく支払える可能性があるというだけです。そのため、実態として門塀などが増えたのであれば、その分は不足している計算ですから手続きはしておく方が間違いありません。
台風や竜巻の自然災害による、門や塀、車庫などの損害の請求
近年自然災害の発生が増えています。台風や竜巻などの強風、大雪、雹、水害などで塀や車庫などが損害を受けることがあります。昔の住宅総合保険などは、風災・雹災・雪災は20万円以上の損害がないと保険金の支払い対象になりませんでしたが、今は必ずしもそうではありません。請求漏れのないようにしてください。地震災害の場合、地震保険では門や塀、垣、車庫のみの損害で建物に損害がなければ地震保険金の支払い対象外です。これは地震保険の建物の損害は建物の主要構造部(柱や屋根、外壁など)の損害でみるためです。
地震保険は生活再建を目的にした保険です。被害のあった建物やその付属物を保険で再築・再購入するための火災保険とは主旨が違います。この点は火災保険とは区別して覚えてください。