南アジア料理ってどんなもの?
華麗なるスパイス使いに魅了される南アジアの国々の料理。日本人から見たら、どれもカレーのように見えてしまうかもしれませんが、味のバリエーションは驚くほど多彩。辛さのレベルも国や地域によってだいぶ違うんですよ。
奥深いスパイスの風味に驚く、インド料理
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左奥はタンドリーチキンをトマトやバターで煮込んだ「バターチキン」 |
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具はもちろん、汁気の有無や使うスパイスにも違いがある |
日本の9倍近い広さを持つインド。料理も知れば知るほど、また味わえば味わうほど奥が深いものです。とはいえ、その多くは一見すると日本人には「カレー」に見えてしまうかもしれません。
インド料理の味の決め手となるのは、いくつかのスパイスをミックスした「マサラ」と呼ばれるもの。コリアンダーやクミン、アジョワンなど多種多様なスパイスを料理に合わせて調合します。このマサラが日本でいうところの「カレー味」になるのですが、実際にはマサラにもいろいろな種類があり、使うマサラや食材が違えば料理はまったくの別物。日本料理の多くに出汁や醤油、味噌が使われながらも、ちゃんと別の料理と認識されているのと同じことです。
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マクドナルドのポテトにもベジマーク(緑の丸印)が付いている |
食材としては豆や野菜がよく使われ、インドの味噌汁ともいえる「ダル」も豆を煮込んだスープ。肉は鶏肉や羊肉がメインで、ヒンドゥー教やイスラム教で禁忌とされる牛肉や豚肉は使われません。ベジタリアンも多いので、レストランのメニューには「ベジ」(ベジタリアン用)と「ノンベジ」(非ベジタリアン用)も区別するマークをよく見かけます。
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チキンカツレツ。肉はチキンかマトン以外はほとんど見かけない |
地域ごとの特徴としては、一般的に北インドは辛さが控えめ。代表的なメニューは鶏肉をタンドールと呼ばれる釜で蒸し焼きにした「タンドリーチキン」。また、ヨーグルトや香辛料で味付けした肉の煮込み「コルマ」はムガール帝国の宮廷料理に端を発しています。付け合わせには小麦粉から作る「ロティ」や「チャパティ」などのパンが添えられます。一方、南インドの付け合わせはライス。各種カレーと「アチャール」(ピクルス)、「ダヒ」(ヨーグルト)などをバナナの葉の上にのせて供する「ミールス」と呼ばれる定食も南部独特のものです。このほかにも東インドやお隣のバングラデシュで食されているベンガル料理、ラダック地方のチベット料理など、各地の味を楽しめます。