ビジネスマナー/報告・連絡・相談の基本

ビジネスのほうれんそう(報連相)の基本と重要性!タイミングや注意点も

ビジネスのほうれんそう(報連相)、新人研修で出てきたりしますよね。ほうれんそうは、ビジネスでは「報告・連絡・相談」という意味で、ただ伝えるだけでなく、相手に理解してもらうことがポイントです。報連相の基本と重要性、それぞれのやり方をタイミング・注意点とともに解説します。

美月 あきこ

執筆者:美月 あきこ

ビジネスマナーガイド

「ほうれんそう(報連相)」とは?仕事をスムーズに進めるための基本

ビジネスの報連相の基本

ビジネスの報連相の基本


ビジネスマナーの「報連相(ほうれんそう)」とは仕事をスムーズに進めるために欠かせない「報告」「連絡」「相談」の略です。報連相は、よく「組織の血液」にたとえられます。私たちの体は、新鮮な血液が体中に循環しないと大変なことになります。ビジネスにおける報連相はその血液に喩えられるほど重要、ということです。

「報告」「連絡」「相談」いずれも、ただ伝えるだけでなく、きちんと理解してもらうことが肝心です。報連相にもマナーが必要なのです。報連相の目的と必要な理由、それぞれの心構えと要点・注意点、上司へするときのタイミングや言葉遣いを説明します。

 

ほうれんそう(報連相)│ 報告・連絡・相談の目的と重要性

まず、報告・連絡・相談の違いを説明します。 特に報告と連絡はその違いがわかりにくいのでこれを機会に確認しておきましょう。

■報告
報告とは、上司からの指示や命令に対して、部下が経過や結果を知らせること。部下から上司・後輩から先輩、という流れです。

■連絡
連絡とは、簡単な情報を関係者に知らせること。連絡に自分の意見や憶測は入りません。上司や部下にかかわらず、誰もが発信側・受信側になります。総務や人事から全社員に向けて、プロジェクトリーダーからメンバーに向けて、など様々な連絡があります。

■相談
相談とは、判断に迷う時や意見を聞いてもらいたい時などに上司や先輩、同僚に参考意見を聞き、アドバイスをもらうことです。
 

上司への「報告」のタイミングとは?心構えと注意点

1.相手の都合を確認する
多忙な上司に時間を割いてもらうわけですから、都合を確認するのはビジネスマナーの基本。先輩や同僚への相談も同様ですね。急ぎの報告ではない場合は、相手の状況を見て報告をあとにするか、メモに書いて伝えるなどの方法をとりましょう。

2.指示した上司に直接報告する
他人を介して報告するのは、報告とはいえません。あなたに指示をした上司に直接報告するのが義務。これもビジネスマナーの基本です。

3.重要な報告はすぐ行なう
上司が忙しそうだからといって報告が遅れると、仕事に支障をきたすことがあります。対策を講じるなど一刻も早い判断が必要とされる報告や、関係者にすぐにフィードバックする必要のある内容の場合、すぐに上司に直接報告しましょう。

4.結論を先に伝える
上司は、結論を知りたがっています。前置きはできるだけ短く、途中の経過説明や原因・分析は、相手から求められたら詳しく話すようにしましょう。なお、できなかった言い訳や苦労話は、基本的に不必要です。

5.「事実」と「意見・憶測」は分けて報告する
注意すべきは、客観的な事実を正確に伝えること。自分の意見や憶測を話す場合は事実を報告し、そのあとで「これは私の憶測ですが」「あくまでも私見ですが」と断ってから伝えましょう。事実と憶測、意見や願望を一緒に報告すると、上司の判断を誤らせかねません。

6.口頭か文書での報告かを選ぶ
急いでいる場合やごく簡単な内容の報告の場合は、顔を合わせて口頭で伝えるのがよいでしょう。相手が出張中なら電話で報告するのが確実です。報告する内容が複雑な場合、データや図表など適切な資料を添えて上司が理解しやすいように説明しなければいけません。その際は、先に口頭で結論だけ話し、できるだけ早く文書による報告を行ないましょう。

7.こまめに報告する
例えば「予定より時間がかかりそう」「予定より早く終わりそう」等の場合は、仕事が終わってから報告するのではなく、事前に報告しましょう。あなたに指示を出した上司は、全体の進捗を見渡し、次の段取りを考えながら仕事を進めています。こまめに報告することで、メンバーに次の指示が出せることもあるでしょう。

長期的な仕事の場合は、1日に1度、あるいは仕事の区切りごとに進捗状況を報告しましょう。上司は、全体と個々の進み具合の両方を見ながらプロジェクトを運営します。中間報告はお互いが安心して仕事を進めるために大切な報告なのです。

8.ミスやトラブルはすぐに報告する
ミスを犯した時、トラブルになりそうな時は、すぐ上司や先輩に状況を報告し、情報を共有しましょう。的確な対処法を助言したり、冷静な判断を下したりするのは、やはり経験に長けた人たちです。素早い報告がミスやトラブルを最小限に留めることにつながります。

9.報告する際にメモを持参する
報告を聞いた上司は、それをもとに軌道修正を指示したり、次の戦略を伝えます。重要な事柄は必ずメモを取りましょう。これは上司からの指示や命令を受ける時や「相談」をする際にも必要なビジネスマナーです。習慣化しましょう。
 

関係者へ正確に!「連絡」の心構えと注意点

連絡は伝える相手が上司や同僚、部下にかかわらず、あなたが発信者になったり、受信者になったりします。連絡したり連絡を受けたりする際の心構えと要点・注意点を説明します。

1.曖昧な言葉を使わない
「雨が降っても営業部の花見は開かれるみたいだ」「次の会議は、今月中に開かれるようです」といった曖昧な連絡は、聞く方が混乱します。決定か未定かを確認し、できるだけ正確に伝えましょう。注意すべき点は、あくまでも事実だけを伝えるということです。個人の憶測や願望を盛り込むと、事実が曲がって伝わりかねません。

2.内容に関係なく迅速に連絡する
連絡はできるだけ早く関係者全員に伝えましょう。その際、なるべく自分で直接伝えます。第三者に伝言を依頼した場合、内容が正しく伝わらなかったり、遅れて伝わったりするからです。報連相はあくまで仕事です。責任感を持って臨んでください。

3.連絡すべき順番を意識する
まずは先輩に伝えるか、上司に伝えるか、連絡内容によって判断します。基本は指示を出した人になりますが、仕事の全体を見ている上司が必要とする情報の場合もあります。迷ったらまずは上司に連絡し、判断を仰ぎましょう。

4.関係者全員に伝える
伝えるべき全員に伝えたことを確認します。「歓迎会の日時を聞いてない」「部長が今日から長期出張とは知りませんでした」ということが起こると、社内の人間関係がぎくしゃくします。連絡ミスのないよう、連絡すべき関係者のリストをつくり、関係者全員に連絡したことをチェックしましょう。細かなことですが、これもビジネスマナーの基本です。
 

判断に困ったら!「相談」の心構えと注意点

1.疑問が生まれたらすぐにする
疑問や心配事を抱えたままで仕事を進めると、効率や質が低下します。わからないことや疑問が生まれたら、その都度上司や先輩に相談しましょう。最もよくないのが、自己判断で勝手に進めること。周りの人に迷惑をかける結果につながりかねません。

2.最初に相談するのは直属の上司
「指示が理解できない」「こういった場合はどのように対処すべきなのか」といった具体的な相談は、その仕事を指示した直属の上司でなければ即答できないことが多くあります。最初に相談するのは、直属の上司です。

3.アイデアやプラン変更は準備を整えてから臨む
仕事を進めていくうちに、効率のよい他の方法に気づいたり、新たなアイディアを思い付いたりすることがあります。こういった時こそ相談が有効です。建設的な相談や提案が組織の「活力」につながり、会社にフィードバックされた時、あなたの評価は上がり、信頼を得られることでしょう。

ただし、「なんとなくそう思う」では、説得力に欠けます。相談を持ちかける際、提案の根拠となるデータや裏付けを用意しておくと、相手は真剣に耳を傾けてくれます。「改善策」や「軌道修正案」の場合は、文書でまとめておくのがよいでしょう。
 

ほうれんそう(報連相)で使う言葉遣い

『今、お時間よろしいでしょうか』

上司に駆け寄って、突然報告や相談を始めるのはNGです。基本は、「今、お時間よろしいでしょうか」と、相手の都合を確認したうえで話を始めます。その際、先に具体的な用件を述べることが肝心です。例えば『営業企画の件でご報告したいのですが、今お時間よろしいでしょうか』と始めるのがよいでしょう。

どうぞご覧ください』

報告書を提出する場合も同じです。「○○の案件をまとめた報告書です。どうぞご覧ください(ご一読ください)」「○○の案件をまとめた報告書です。目を通して頂きたいのですが、よろしいでしょうか?」といったように、必ず敬語を使って用件を述べてください。

「おかげさまで』『残念ながら』

内容に応じて、ビジネス枕言葉やクッション言葉を使い分けましょう。例えば、「成功した」「失敗した」と報告する際には、「おかげさまでイベントは成功しました。動員人数は……、売上高は……」「誠に残念ながら、イベントは失敗に終わりました」といった切り出し方がスマートです。この「おかげさまで」や「誠に残念ながら」といった言葉を文頭に置くだけで、報告を受ける側は、おおよその内容をすぐに把握できるというメリットがあります。
 

メールによるほうれんそう(報連相)の注意事項

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最近では真向かいにいる上司に対してもメールで報告、連絡するという話がありますが、急ぎの場合は対面か電話。やむを得ずメールの場合には受領メールを確認するまでは報告、連絡業務は終了していません


時間や場所を選ばないことや、同時に複数の相手に届けられることから、報連相の手段として定着したメールですが、同時に弊害も生まれています。

1.送っただけで安心しない
送った側は「メール送信」=「報告を終えた」「連絡した」と思い込みがちですが、相手がメールを見て内容を理解するまで、報告や連絡はまだ終わっていません。特に重職にある上司は、送られてくるメールの量があまりにも多くて、あなたのメールを見落としているかもしれません。「伝えた」つもりが、1週間経っても上司に「伝わっていなかった」といったこともあります。

2.メールを使わない方がよいケース
隣の席なので口頭ならすぐに伝えられるのに、わざわざメールで連絡する人が増えていると聞いています。もらった側は、「オフィスで長時間直接顔を合わせているのに、どうしてすべての連絡がメールなのか」と、不可解な思いを抱くでしょうか。すぐに伝えなければいけない報告や連絡の場合、直接顔を合わせて伝えるか、電話で伝えるのが確実です。

3.「受け取った」という返信は迅速に
メールによる「報連相」を受信した際のマナーは、当然のことながら「返信」を送ることです。先に説明したように、送信したからといって相手がメールをすぐに見ているとはかぎりません。

送った側は、「返信」があるまできちんと届いたのか、そして正しく伝わったのか常に不安な状態です。ですから、メールによる「ホウレンソウ」を受信したら、必ず「メール受け取りました」「承知致しました」といった簡単な返信だけでも、できるだけ早くしましょう。すぐに回答できない複雑な報告や依頼の場合は、「内容を検討してから、改めて連絡します」と一言添えて返信するのがマナーです。
 

ほうれんそう(報連相)のあるオフィス・ないオフィス

「報連相」のないオフィスは、上司部下の縦の意思疎通も、スタッフ間の横の意思疎通もがうまくいかず、仕事の効率が悪くなります。会社が動脈硬化に陥っているようなもので、そのままにしておくと、オフィスの活力が下がり、会社の業績にも影響するでしょう。

「報連相」が徹底されたオフィスは、報告によって上司と部下のコミュニケーションが密になり、連絡によって先輩や同僚、後輩などスタッフ間の意思の疎通がうまく進みます。上司や同僚、部下と相談しあうことで新たなアイデアが生まれたり、悩みごとも解決できるでしょう。

的確な報連相は、仕事を正確にスムーズに運ぶためだけに必要なのではありません。ミスやトラブルを未然に防ぎ、また仕事の効率をアップするために、会社に活力を与え続けるために欠かせないのです。次に報連相をする時の具体的なポイントを挙げてみます。
 

ほうれんそう(報連相)の重点ポイントまとめ

「報連相」は、「とにかくどんな方法でもよいから、相手に伝えれば終了」というわけではありません。タイミング、スピード、伝え方は、ビジネスマナーに準じ、聞き手・読み手のことを考え、思いやりの気持ちを忘れずに伝えましょう。大切なのは、相手に正しく理解してもらうよう、わかりやすく手短に伝えること。それだけに、普段から迅速かつ正確に意見や情報を「伝える技術」を磨くことが求められているのです。

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