ミナミクシイモリの基本情報
ミナミクシイモリ
学 名:Triturus karelinii別 名:トルコクシイモリ英 名:Southern Crested Newt分 布:バルカン半島西部から黒海とカスピ海南岸を経てイラン北西部全 長:15-21cm
繁殖期のオスの背中に大きなヒレ状の突起が発達し、非常に見応えがするクシイモリの一種です。
ヨーロッパイモリ属Triturus を含めヨーロッパのイモリは、いわゆる繁殖期になるとオスの背にヒレ状の突起が発達する種類が多く、同属のマダライモリもそのような特徴を持つことで有名です。
特に背の突起がクシの歯のようにトゲがあるように見える形の種類がクシイモリと呼ばれています。本種はクシイモリの中でもっともポピュラーな種であると言えます。
現在はバルカン半島以外に分布する個体群を基亜種Triturus karelinii karelinii として、バルカン半島に分布するのは別亜種バルカンクシイモリTriturus karelinii arntzeni とすることが多いようです。
上の写真は変態直後の幼い個体なので、地味で特徴らしい特徴はありませんが、成長するとやや青みがかった灰黒色時に黒色のスポットが入った体色になります。腹面は黄色から橙色で無数の黒色のスポットが入る美麗な種です。
一般にオスよりもメスの方が大型化しますが、繁殖期になるとオスの後頭部から背中線にクシのような形をした、非常に大きなヒレ状の突起(クレスト)が発達します。また尾の上下にも皮膚が発達してヒレ状になります。
山地の、水場に近い森林や草原などが生息環境ですが、他の近縁な種よりも乾燥した環境に耐性があるようでやや乾燥したような場所でも石や倒木の下などに潜んでいることがあるようです。また繁殖は池や沼で行われますが、他種よりも面積が大きく水深がある場所を好むと言われています。
9月または10月から翌3月まで冬眠を行い、冬眠あけの3-4月に繁殖を行います。繁殖のために水場に集まり、オスは背中のヒレ状突起をメスの前で大きく広げてディスプレイを行います。メスは200-400個の卵を一つずつ水草などに産みつけますが、染色体の問題で半数は孵化しないそうです。
卵は10-15日程度で孵化し8月から10月にかけて変態して陸上生活に移行します。
変態後は5-6年で性成熟に達し、10-15年の寿命であるようです。
とりあえず下にクレストが伸び始めた個体の写真を掲載しておきますが、やはり幼体の写真では魅力が伝わらなくてスミマセン。
以前は、別種であるキタクシイモリ(ホクオウクシイモリ)が主に流通していたそうですが、現在は本種が流通のメインになっているようです。ただし亜種まではハッキリしていないようです。
有尾類天国である日本にはいないタイプの派手で迫力がある種ですので、有尾類ファンの間からは大変な人気があります。
本来は陸生ですが、周年の水中飼育も可能ということで、飼育する楽しみが強い種です。
国内でも細々とですが繁殖例が聞かれ、まさに有尾類ファンの方々のモチベーションには頭が下がります。本当に素晴らしいです。私も飼ってみたいんですけどねぇ...有尾類は自信なしです。
赤っ恥をかかない程度の知識
- バルカン半島からコーカサス地方に分布する
-
トルコクシイモリとも呼ばれる
- 2亜種がある
- もっとも大きくなるクシイモリ
- 繁殖期のオスの背中に大きなクレストが発達する
- 水中での飼育も可能
ミナミクシイモリの飼育の基本情報
飼育容器通常は30から45cm程度のガラス水槽やプラケースでいいが、必ずしっかりとフタができるものを使う
温度
25℃を超えないようにする
照明
特に必要なし
床材
焼き赤玉土・水苔・ヤシガラ土・腐葉土など湿度を維持できる素材
容器内レイアウト
体を浸せる水容器とシェルターを設置する。陸地は乾き気味でよい
餌
コオロギ・ミールワーム・ハニーワームなどの昆虫。週に2-3回、1回に頭と同じサイズの餌を1-2個与えるくらい
基本的な世話
いわゆる有尾類の飼育方法
- 水中飼育を行う場合は、水草などつかむことができるものを多めに設置する
- 皮膚病に注意
- 餌の食わせすぎに注意する
- 餌はピンセットで与える
- 10cm程度の個体は上陸直後の個体であるから広い水場を用意して多湿環境で飼育する
- など
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