世界の料理界を変えたシェフ、フェラン・アドリア氏

フェラン・アドリア氏
世界料理サミットでその技を余すところなく伝えたフェラン・アドリア氏

フェラン・アドリア氏と石田氏
影響を受けたという日本料理店「壬生」の石田氏と共に
現在、エル・ブリを率いているのは、フェラン・アドリア氏。21歳のときにエル・ブリに入り、1987年に料理長に就任、97年にはミシュランの三つ星を獲得しました。

アドリア氏は、ここ10年ほどで世界の料理人たちに最もインパクトを与えたシェフのひとりといわれます。先進的な手法を用い、固定観念を打ち砕く料理を生み出す卓越したセンス。しかしそんな料理には、素材やモチーフに日本の影響も見え隠れしていました。実は2002年に初めて日本に来て、「壬生」や「吉兆」の料理に衝撃を受けたのだそう。日本料理の繊細さや自身のアバンギャルドな感性を先端のテクノロジーを使って見事に融合させていきました。


豊かな発想が生む、ハイセンスな料理

東京の黄身のニョッキ
温泉卵にインスピレーションを受けた“東京の黄身のニョッキ”。卵黄のニョッキが浮かび、乳清のゼラチンで白身風に。柚子の粉、紫蘇、白ゴマをあしらって

チャービル・ティー
チャービルの葉にフライズドライ処理を行って作った“チャービル・ティー”
今回世界料理サミットでお披露目された料理も、日本のエッセンスをどこかに感じさせるものばかり。簡単にご紹介しましょう。

アペリティフとして用意したのは、酒のシャーベット。通常アルコールは凍りませんが、-196℃の液体窒素を使ってシャーベットに仕上げます。これをトニックウォーターに浮かべ、その上に柚子のエスプーマをのせました。ちなみにエスプーマとはスペイン語で泡のこと。食材をムース状にしたもので、最近は様々な料理に使われる技術ですが、実はこれを開発したのもアドリア氏自身です。

また日本の温泉卵にヒントを得て作ったという料理“黄身のニョッキ”では、卵白の代わりにヨーグルトの乳清を使用。抹茶のように見える“チャービル・ティー”は、ハーブであるチャービルの葉で作られたものです。見た目と味のギャップでも楽しませてくれる彼の料理は、さまざまなテクスチュア(食感)を大切にしています。

ほかにも興味深いテクニックが目白押しでした。たとえば日本でオブラートを見つけた彼は、クラッカーやパンの代わりにオブラートを使ったカナッペを作ってしまいます。しかも、それだけで終わらないのが彼のスゴイところ。オブラートの欠点といえば、水に溶けてしまうこと。そこで水とパルメザンチーズの乳清、寒天を使って独自にオブラード風のものを生成。これを皮の代わりにして中華のシュウマイのような料理も実現しました。

見れば見るほど、その独創性に心打たれる彼の料理。まずは来年の予約を狙ってみるしかありませんね。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※海外を訪れる際には最新情報の入手に努め、「外務省 海外安全ホームページ」を確認するなど、安全確保に十分注意を払ってください。