偶然見つかったグリシンパワー
グリシンはホタテやエビに豊富に含まれています |
---グリシンとはどんな成分なのですか?
グリシンは、私たちの体の中でタンパク質の材料となる20種類のアミノ酸の一つで、体の中でも合成ができる非必須アミノ酸です。グリシンは体の中で合成できるので、体のいろいろな部分の材料になっています。例えば、皮膚のコラーゲンを作るアミノ酸の1/3はグリシンなのです。
もちろん、食べ物の中にも含まれていて、ホタテやエビに多く含まれています。普段の食事から摂っている量は一日に約5g、体内で作られている量は約10g程度あります。
---私たちのが普段から摂っているアミノ酸ということなのですね。
---なぜ、既に当たり前のアミノ酸だったグリシンに注目したのですか?
実は、最初からグリシンに注目して研究していたのではなく、偶然発見したものなのです。
味の素KK健康基盤研究所では、色々な機能性素材の研究開発をしていています。時には所員に協力してもらって実験データを取ったりするのですが、データを取りたい成分を渡すグループと、偽物の成分(プラセラボ)を渡すグループを用意して行います。偽物は、効果も害もない成分を使うもので、その時たまたま用意したのが特別な機能はないと考えていたアミノ酸、グリシンだったのです。
実験が終わった後、グリシンを摂ってもらったグループの方が、「家族からいびきが減ったと言われた」という報告が上がり、「グリシンに何かの効果があるのでは?」という新しい研究のアイデアが生まれたのです。
その時の実験は、眠りとは全く関係のないものだったんですよ。
---ふとした変化を見逃さない研究者の目がグリシンの新たなパワーの発見につながったのですね。
次のページでは、気になるグリシンのパワーに迫ります。