防犯/防犯小説

愛の迷宮… 愛と故意のラビリンス?第1回(3ページ目)

【全6回】32歳の会社員・逸美が男性との出会いを求めて行動する。そこで出会った運命の男と交際を始めるが、愛の苦悩と葛藤に身をやつす。逸美の愛はどこへ向かうのか?

佐伯 幸子

執筆者:佐伯 幸子

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イイ男と出会いたい
イイ男と出会いたい
「結婚情報サービス」「カップリングパーティ」「お見合いパーティ」などがあることを知った。とりあえず、無料で登録できる「カップリングパーティ」に参加してみようと思った。逸美の住んでいる地方で一番大きな都市で行われるパーティがあった。年齢制限男性・女性とも26歳から36歳まで。メールアドレスと氏名、電話番号、血液型などを入力した。当日の参加者リストには名字だけが掲載されるという。

パーティの当日、逸美は気合いを入れて、だがさりげないおしゃれを心がけた。華美になりすぎず、地味すぎない服を選び、メイクもナチュラルに見えながらほんのりとパールを効かせて少し華やかにしてみた。パーティ会場では男女十数名から20名くらいずつで、場慣れしている人が多いように見えた。気後れしながらも、男性には笑顔を見せて応じた。着席対面パーティで前半、皆が自己紹介をして、後半のフリータイムで気に入った人と話して互いに気に入ればそのまま一緒に帰ることが可能というシステムなのだ。

だが、初回ではこれと言ってピンとくる人がいなかった。二度目のパーティでも、フリータイムに積極的に声を掛けてきた男性は、どうしても好きになれないタイプだったので断った。いいなと思った男性は他の20代の女性の所に行ってしまった。(やはりお見合いパーティでもモテる人とそうでない人ははっきりするものね。私ももう32歳だからなぁ。ぜいたくを言っちゃいけないのはわかるけど。でも、やはりどうしても好きになれそうもない人ばかり。カップルになっている人たちもいるようだけど)とても付き合う気には、ましてや結婚したい気持ちになれるような相手は見つからなかった。

相手の身長や体格、髪型や服装のセンス、話し方から歯並びまで、細かい点が気になるのだ。自分の好みが特別うるさいとは思ってはいなかったが、実はかなりこだわるタイプだとつくづく思い知った。自分は自分なりに「上の下」あるいは「中の上」と思っていた。しかし、年齢には勝てないということも思い知らされた。服装や髪型がどうであれ、二十代の女性はやはり肌からして若く見える。張りも艶も違うのだ。男性が若い女性を好むのもむべなるかなと、ついため息が出そうになる。

「三十路」という言葉にはイヤな響きがある。パーティに参加して、かえって自分の年齢を意識してしまったことでさらに焦りが生じてきた。三度目のパーティに参加するときに、(もうこれで最後にしよう。今日、いい人がいなかったらあきらめて、ほかの道を探すことにしよう)と決めていた。そして期待しないつもりで行った先で、逸美にとって運命の出会いがあったのだ。そして、この出会いは相手の男性にとっても、運命的な出会いとなることは疑いようもなかった。


・愛と故意のラビリンス~第1回
・愛と故意のラビリンス~第2回
・愛と故意のラビリンス~第3回
・愛と故意のラビリンス~第4回
・愛と故意のラビリンス~第5回
・愛と故意のラビリンス~第6回  


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