防犯/防犯小説

【連載第1回】少女にとって恐ろしい日々の始まり 出会い系サイト~少女の誤算(2ページ目)

17歳の少女を買春した63歳男が、少女の個人情報をたくみに入手して脅迫。出会い系、個人情報、ストーカー、金銭感覚等様々な問題を検証する。【全6回予定】

佐伯 幸子

執筆者:佐伯 幸子

防犯ガイド

「若いねー」
と、二ヤリとして感心するように、少女の全身を眺めた。
「じゃ、行こうか」


徒歩で、ホテル街へと向かう。歩きながら男はさりげなく、小さくたたんだ一万円札を差し出した。少女が手のひらでそれを確かめると3万円あった。

「あ、どうも」
うなずくように小さくペコリとして、バッグにしまう。先にお金を支払ってもらったことで、少女は男に従うことになった。お金をもらっただけで逃げてしまう、とか、急に用事を思い出すとか、ごまかしたり、逃げることをしなかった。それだけ素直で単純な女の子だった。

援助交際をする少女に「真面目(マジメ)」という表現は合わないだろうが、「美人局(つつもたせ)」で男からお金を奪うような子たちからすれば、ある意味、真面目な子だといえるだろう。

男からすれば、ホテルの部屋に入る前に「やっぱりやめた」と逃げられないように、先払いにしたのだ。現金を受け取ればビジネスは成立する。あとは対価を支払ってもらうのだ。黙々と自分についてくる少女の背中を押して、ホテルに入っていった。

………………………………………

「9時半までに帰らなくちゃいけないので」
2時間後にホテルを出て、少女は急いで帰るそぶりをした。もう用事は済んだ。これで必要なお金を手に入れた。早く帰らないと家族が心配する。

「そうか。じゃ、タクシーで送るよ」
「いえ、いいです」
「自宅までは行かないよ。近くまで送るから。若い女の子が遅くに出歩いちゃ危ないよ」

その若い女の子にどんなことをしたのか、自分の言葉の矛盾にも気づかず、男はタクシーを止めた。少女は(自宅まではヤバイけど、近くまでなら大丈夫よね。どうせもう二度と会わないし)と思い、

「あ、じゃあ、スミマセン」
男に勧められるまま、タクシーに乗り込んだ。

(近くまで送ってもらえばラクだし、送ってくれるようなやさしい人だから多分大丈夫)と思ったのだ。だが、乗り込んだタクシーの中での会話に、自分と自分の家族にとって恐ろしい出来事に発展する危険性がひそんでいることを、その時点では少女が知る由もなかった。

【連載第2回】出会い系サイト~男の手練に続く。


【連載第1回】出会い系サイト~少女の誤算
【連載第2回】出会い系サイト~男の手練
【連載第3回】出会い系サイト~少女の拒絶
【連載第4回】出会い系サイト~男の執念
【連載第5回】出会い系サイト~少女の後悔
【連載第6回】出会い系サイト~男の代償 


「出会い系サイト」を利用したことはありますか?
あなたの一票【過去の一覧】で結果をご覧下さい。




関連ガイド記事

◆恐るべし15歳援助交際少女の恐喝事件「15歳少女にしてやられた47歳男性」
◆援助交際という名の少女売春。命さえ危うい密室の恐怖「切り裂きジャックの予感」
◆児童ポルノ摘発を目的とした英国過去最大規模の捜査「オペレーション・オァ」
◆こんなハズじゃなかった…ある女と男の夏の後悔「暑い夏の寒すぎる出会い」

関連サイト

女性のためのセキュリティ講座「出会い系~匿名性に隠れた危険性」
【編集部おすすめの購入サイト】
Amazonで防犯グッズをチェック!楽天市場で防犯グッズをチェック!
  • 前のページへ
  • 1
  • 2
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます