防犯/防犯関連情報

ささやかなネコババ

たまたま歩いていたときに路上に落ちていたお金を拾った…。金額によっては自分のものにしてしまうかも?ネコババと呼ばれる行為ですが、それは罪なのです。

佐伯 幸子

執筆者:佐伯 幸子

防犯ガイド

ネコババは罪?

小さいときに、道に落ちていた10円硬貨を拾って交番に届けたところ、ごほうびにそれをもらってうれしかった…といった話を聞くことがあります。最近では、1円5円10円硬貨くらいでは拾わないという人の方が多いようです。50円100円なら、誰も見ていなければ…と思う人もいるかもしれません。小銭ならば罪の意識が少ないのでしょうか。

では、一万円札が落ちていたら? そんなものは落ちていない、あったらすぐ拾って自分のものにしてしまう? それとも交番に届け出ますか? 路上に落ちているものは、誰のものなのでしょうか? 

これは、実は誰のものでもありません。これを着服つまりネコババしても「窃盗罪」にはならないのです。

「ラッキー♪ それなら自分のものにしてもいいの?」と思うのは早合点です。

「窃盗罪」は、「他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役に処する」(刑法第235条)と定められています。

路上に落ちているものは誰も占有していない、誰のものでもなければネコババしても窃盗罪にはならないのですが、遺失物横領の罪になります。

「遺失物、漂流物その他占有を離れた他人の物を横領した者は、1年以下の懲役又は10万円以下の罰金若しくは科料に処する」(刑法第254条)「占有離脱物横領罪」 です。つまり誰の物でなくてもちゃっかりいただいてしまうと罪になるのです。

こんなケースは…

それでは電車の切符を買おうと思ったら、釣り銭受けに小銭が残っていた…誰も見ていないし、いただいてしまおう。ということではどうでしょうか? 釣り銭受けは路上とは違います。駅の券売機ですから、駅長に占有権が及ぶとされます。占有権があるものつまり人の財産を奪うというのは、「窃盗罪」です。やはり、駅員に届け出るのが正しいでしょう。

価値が希薄、すなわちたいした額ではない場合、窃盗罪ではあったとしても処罰の対象にはならないこともあります。とはいえ罪であることに違いはありません。

「じゃあ、ちょっとくらいならいいじゃない」と思うか、「他人の物を盗むなんて犯罪だし、いけないこと。絶対にそんなことしない」と思うかは人それぞれでしょう。

しかし、きちんと交番に届け出れば、落とし主が現れない限り半年を過ぎれば拾った人がそれの所有権を取得できます。「遺失物の拾得」(民法第240条)

ささやかといえども「ネコババ」は罪。悪魔のささやきに気をつけましょう。


ちなみに「ネコババ」とは、ネコがトイレの後、脚で土砂をかけてフンを隠すからという意味から、自分の行ったことを隠して、人前でそしらぬ顔をすること。特に、拾ったり預かったりした金品を自分のものにしてしまうこと。「猫糞」と書いてねこばばと読む。「猫糞を決め込む」「ネコババを決める」ともいう。


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