マーケティング

激辛から超大盛まで…なぜ「ペヤングソースやきそば」の新商品はチャレンジングなのか? 変わり種がここまで愛されるワケ

カップ焼きそばのロングセラー「ペヤングソースやきそば」は、なぜチャレンジングな新商品が開発され続けるのか? 今回All About編集部はメーカーを取材。ペヤングのマーケティング的「戦略」を探りました。

安部 徹也

執筆者:安部 徹也

マーケティング戦略を学ぶガイド

1975年発売以来、カップ焼きそばのロングセラー商品となった「ペヤングソースやきそば」。長年愛される一方で、奇抜ともいえる様々な味の商品が多く発売され、その度に日本中で話題になっています。なぜこのようなチャレンジングな商品を開発するのでしょうか?
 
その謎を探るべく、All About編集部はメーカーのまるか食品を取材。その内容をもとに、マーケティングガイドの筆者がペヤングソースやきそばの「戦略」について解説します。
 

新商品を攻めることすべてがプラスの方向に 

ペヤングソース焼きそば

47年間のロングセラー商品「ペヤングソースやきそば」

―――発売されるたび、新商品のインパクトに驚く人は多いと思います。ここまでチャレンジングに商品開発する理由はなんでしょうか。
 
「ペヤングソースやきそば」は、おかげ様で発売から47年愛され続けている商品です。昔から変わらない味、デザインで親しみがあるため、新商品はいろんなことにチャレンジして「ペヤング」という名前を多く知ってもらえれば良いという想いです。
 
新商品が注目されれば、面白い商品があると消費者が感じてくれ、売り上げや知名度にもプラスになり、新商品がダメでも「やっぱり通常のペヤングが良い」とペヤングソースやきそばに戻ってきてくれるので、新商品を攻めることすべてがプラスの方向になっています。
 
―――ペヤングソースやきそばシリーズの中で(ペヤングソースやきそばを除き)最も購入数量が多かった商品はなんでしょうか。
 
ペヤング激辛やきそばです。
 
2012年発売当初「辛すぎる」とTVやネットで取り上げていただき、今や「激辛」といったらペヤングという代名詞にもなっています。その他通常の約4倍のGIGAMAX、7.3倍のペタマックスなど大盛も人気です。
 
―――斬新なアイデアを出す上で何か特別なことはされていますでしょうか。社内のルールや心がけなどあれば教えてください。
 
なんでもチャレンジしてみようというコンセプトで新商品作りをしています。企画の段階で「これはダメだな」という意見ではなく「とりあえず試してみよう」というモチベーションで新商品作りに取り組んでいます。
 
―――毎回の商品開発は苦労されることも多いと思いますが、1年にどのくらいのペースで開発するなどの目標はあるのでしょうか。
 
具体的な目標はありませんが、新商品作りは毎日構想や試食などを重ねており、随時いろんな新商品を発売できるようになっています。
 
―――これから手に取る消費者に対して、メッセージがあれば教えてください。
 
日々いろんな新商品を考えておりますので、ぜひいろんなペヤングを楽しんでいただければと思います。みなさんの会話の話題のなかで「ペヤング」があれば弊社もうれしく感じます。これからもペヤングをよろしくお願いいたします。
 

“巨人”に挑戦するペヤングの「戦略」

「ペヤングソースやきそば」が長年ファンに愛され続ける理由は、その変わらない味にあるといえるでしょう。ウスターソースをベースにした味はさっぱりとしていて、他のカップ焼きそばとは一線を画すおいしさです。

特に関東圏で人気が高く、小さい頃からカップ焼きそばといえば「ペヤングソースやきそば」という刷り込み、すなわちブランディングがなされ、大人になっても悩むことなく店頭で「ペヤングソースやきそば」を手に取る人も多いといえます。
 
まるか食品は、そのような長年変わらず愛され続ける「ペヤングソースやきそば」という“金のなる木”の収益を惜しげもなく激辛系や大盛系、変わったフレーバーなどの新製品に投入し続けます。

カップ麺業界では日清食品という“巨人”が立ちはだかる中、奇抜な新製品で顧客の目を引き差別化を試みるチャレンジャーの戦略といっても過言ではないでしょう。
 

「〇〇チャレンジ」動画の宣伝効果

特に最近では激辛チャレンジやデカ盛りチャレンジがYouTubeで爆発的な人気を誇るコンテンツになっており、そのチャレンジ動画が多くの視聴者の目に触れることによって、広告宣伝費をかけることなくペヤングの知名度が上がっていくことにつながっています。
 
そして変わり種のカップ焼きそばから入った多くの人たちがノーマルの「ペヤングソースやきそば」を食べ、そのおいしさの虜になることで、まるか食品はファン客を増やし成長を続けるという好循環を実現できているのではないでしょうか。
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※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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