6月の梅雨をなぜ「五月雨」という? 「五月雨式」の意味・使い方は?
ビジネスシーンでよく使われる「五月雨式」ってどういうこと? そもそも「五月雨」とはどんな雨?
<目次>
<五月雨の意味>
「五月雨」の読み方
「五月雨」の読み方は「さみだれ」です。「さ」は旧暦五月の「皐月(さつき)」などに、「みだれ」は「水垂れ」に由来します。「さつきあめ」という読み方もありますが、意図的にそう読ませる場合が多いので、ふりがながついていない場合には、一般的に「さみだれ」と読みます。
五月雨の意味1:旧暦五月頃に降り続く長雨、梅雨
五月雨は梅雨のことをさしています
「皐月」のみならず「五月雨月」という異称もあります。五月雨は夏の季語です。
梅雨といえば、うっとうしい、憂鬱な季節といったイメージが伴いがちですが、「五月雨」といえば、言葉の響きも手伝い美しい情景が浮かぶかもしれません。言葉ひとつで気分が変わるから不思議ですね。
ちなみに、人気のブラウザゲーム「艦隊これくしょん~艦これ」に登場するキャラ「五月雨」は、駆逐艦「五月雨」(現在はそれを受け継いだ護衛艦「さみだれ」が活躍中)からきており、梅雨の雨に由来しています。
▷旧暦・和風月名を12カ月言えますか?風情ある月の異称・別称
五月雨の意味2:断続的にいつまでもだらだらと続くこと
五月雨は、物事が一度で終わらず、断続的にだらだらと続くことのたとえでもあります。梅雨の雨が降ったり止んだりする様子になぞらえた表現です。労働組合が長期間にわたって行う交渉や闘争は「五月雨戦術」「五月雨スト」などと呼ばれます。また、とくによく使われるのは「式」をつけた「五月雨式」という表現です。ビジネスシーンでは日常的に使われているので、意味や使い方を押さえておきましょう。
「五月雨式」の意味や使い方、例文
一度に送ればいいものを何度も送って面倒をかけてしまう……そんなときに「五月雨式ですみません」と書き添えます
しかし、ネガティブなこととは限りません。「五月雨式」は、一度に全てを行うのではなく、部分的に少しずつ行っていき順次対応を期する方法をさすので、あらかじめ合意が得られていれば、準備できた部分から進めていけます。
<例文>
- 五月雨式にメールをお送りし申し訳ございません。
- 五月雨式で恐縮です。これが最後の質問なのでご回答よろしくお願いいたします。
- 五月雨式で失礼します。先ほどの資料をお送りいたします。
- 完成したものから五月雨式に納品させていただきます。
- 五月雨式で構いませんので、進捗状況を報告してください。
- 本件の資料は五月雨式に届くので、まとめておいてください。
- 会議が五月雨式に行われており、メンバーにも疲労の色が見えます。
「五月雨式」の類義語
「五月雨式」は、次のような表現に言い換えることもできます。■「断続」「断続的」
例文:断続的に情報が入ってくるので、注意してください。
■「途切れ途切れ」
例文:途切れ途切れで資料が提出された。
■「続けざま」「続いて」「連続」「連続的」
例文:続けざまの電話で申し訳ありません。
■「立て続け」「次々」「度々」「ひっきりなし」
例文:立て続けに失礼します。先ほどの件に補足したいことがございます。
梅雨を表す言葉
五月雨を含む梅雨の異称や、梅雨の様子を表す言葉を紹介します。■梅雨の異称
- 五月雨(さみだれ)
- 梅霖(ばいりん)
- 走り梅雨、迎え梅雨、梅雨の走り
■梅雨の様子を表す言葉
- 入梅、梅雨入り
- 五月晴れ、梅雨晴れ、梅雨入り晴れ
- 男梅雨、女梅雨
- 空梅雨、旱梅雨(ひでりづゆ)、照り梅雨、枯れ梅雨
- 戻り梅雨、返り梅雨、残り梅雨
▷梅雨言葉…梅雨といえば憂うつ?実は綺麗で美しい季語や表現
プライベートからビジネスシーンまで役立つ「五月雨」
五月雨という言葉のチョイスが気持ちを和らげてくれるでしょう
また、「五月雨」をはじめ梅雨にまつわる美しい表現は、梅雨の風情を感じさせ、気分も変えてくれます。
いずれも覚えておくと、ちょっとご機嫌になれるはず。こうした美しい日本語を、日々の暮らしに活用してみてください。
【関連記事】