企業のIT活用

DXを分かりやすく解説!DXは今までの情報化やIT化とどう違う?

DXについてわかりやすく解説いたします。DXは情報化やIT化と何が違うのでしょうか。DXとは商売のやり方やビジネスの流れをゼロベースで見直して、もう一度、構築することが根幹です。DXを実施するのに企業規模は関係がありません。

水谷 哲也

執筆者:水谷 哲也

企業のIT活用ガイド

DXとは? わかりやすく解説!

DXを分かりやすく解説!

DXを分かりやすく解説!

DX(デジタル・トランスフォーメーション:Digital Transformation)という言葉をよく耳にするようになりました。

昔、車が「トランスフォーマー」と叫びながらロボットになるアニメがあり、オモチャが売られていました。このトランスフォーマーと同じでトランスフォーメーションには「変形・変革」という意味があります。DXとはデジタルを活用して変革することを指します。

つまりDXとは今までの商売のやり方やビジネスの流れをゼロベースで見直して、もう一度、構築し直しましょうということです。企業内の組織、制度も含めて変革していきますが、その変革にデジタルをからめるイメージで、主軸はトランスフォーメーション(変革)にあります。
 

戦国時代のデジタルは鉄砲

鉄砲(デジタル)を活用するには組織や制度も変える必要がある

鉄砲(デジタル)を活用するには組織や制度も変える必要がある

変革とは何でしょうか。戦国時代を題材にDXを考えてみましょう。

戦国時代の変革者といえば、第一に名前があがるのが織田信長です。長篠の合戦で鉄砲を効果的に使い武田勝頼を破った話が有名ですが、この鉄砲が戦国時代のデジタルのようなものです。ただ鉄砲を持っているだけではダメで、効果的に運用するにはまず組織を変えなければなりません。

ほとんどの戦国大名は出陣時に陣触れを出して傘下の家臣を呼び集めます。家臣は馬に乗って決められた槍持ち、弓持ち、鉄砲持ちなどを引き連れてワンチームで参加します。その後、槍隊、鉄砲隊と種別ごとに編成し戦に向かいます。

それぞれは家臣に従属していますので鉄砲は扱えても集団戦法には慣れていません。これに対して信長軍では専門の鉄砲隊を組織し訓練していました。また家臣を呼び集めるのではなく城下町に居住させ、事が起きれば、すぐに集められるようにしていました。当然、運用にはお金がかかるので年貢だけでなく楽市楽座で街を活性化し、そこからあがる運上金(消費税のようなもの)などを活用していました。

また国際貿易港である堺をおさえ、輸入に頼っていた鉛と硝石を押さえます。鉛から鉄砲の玉を作り、硝石は火薬の原料でした。つまり武田軍に流れないよう経済封鎖を行っていました。武田軍も鉄砲を用意していましたが玉や火薬が潤沢ではなく戦で十分に活用できませんでした。

鉄砲を軸に組織、制度を変えてしまう、信長が行ったDXです。
 

DXは今までの情報化やIT化とどう違う?

DXはビジネスモデルの変革のことで単なる情報化やIT化ではありません。ただしバズワード(人の関心を集めるため、もっともらしい説明がつけられた専門用語)になっている面があります。

あるIT企業が企業向けDXセミナーを開催した際、セミナーを依頼した講師に印鑑付き請求書の送付を求めたことがネットで話題になりました。人を集めるためだけにDXセミナーと銘打っていることがあり、本当にビジネスの変革になるヒントがあるセミナーかどうか受講側も気をつける必要があります。
 

お客さんが変わる

「世の中がDX化しても、うちはずっと既存のやり方で商売をしていたので今さら変える必要がない」かといえば、そんなことはありません。商売する側が変わらなくても、これからはお客さんがどんどん変わっていくからです。

例えば飲食店であれば、以前は近隣のお客さんに来てもらい近所のライバル店と競争していればよかった時代があります。それがスマートフォンの登場で一変しました。2007年のスマホ登場以来、スマホで簡単にいつでもどこでもお店を検索できるようになると、近隣だけでなく隣駅のお店とも競争しなければならなくなりました。

スマホがない時代、お客さんは出先でお店を探す時、基本的には雑誌などを見る方法しかありませんでした。それが、スマホでいつでもどこでも飲食店検索サイトを使い、簡単に探せるようになりました。

2021年4月からは、否応なくオンライン授業を経験した大学生、つまりZoom世代が社会に出てきています。DX化の流れはしばらく続くでしょう。社会に与えるインパクトは大きく、企業でも出張や会議などに対する価値観が大きく変わっていきます。

コロナの影響で生活スタイルが大きく変わり、お客さん自身も知らず知らずのうちに変わっています。
 

働く人が少なくなる

人口減少という言葉がありますが、総人口よりも影響が大きいのが生産者年齢人口です。生産者年齢人口とは15歳以上65歳未満、つまり働いている人の数です。1995年頃からビールの出荷数が減り始めます。ビールの出荷数が減った原因として焼酎など種類が増えた、若者世代があまりお酒を飲まなくなったなどがありますが、大きな要因は働いている人が減り始めたからです。

総人口のピークアウトは2008年ですが、働いている人については26年前の1995年からピークアウトしています。つまりビールの出荷が減った時期と一致します。「失われた20年」という言葉がありますが、働いている人の減少による消費低迷が大きな影響を与えています。現在の生産者年齢人口は7700万人ほどですが、あと10年ほどで700万人減って7000万人になります。

つまり働いている人をターゲットにして商売をしている場合は、市場が10%近く縮小することになり、手を打たなければ売上が10年で1割下がります。また若い人を採用しようとしても少子化で取り合いとなります。働く人が少なくなるなか商売を続けていくには、やり方を変えて生産性を上げるしかありません。ですのでDXは待ったなしです。

ワクチン接種で65歳以上の3600万人が対象になるというニュースが流れましたが、既に総人口の3割近くが高齢者ということです。
 

DXは業務の流れの見直から

DXといっても企業規模や企業をとりまく環境によって様々です。小さな企業でもできるDXから考えてみましょう。まずは請求から振込、消込の業務の流れです。

・ワードで請求書を作成
・取引先へ郵送すると同時に会計ソフトで売掛金計上
・取引先から銀行への振込を通帳に記帳して確認
・会計ソフトで売上として計上し売掛金を消込

総務担当者が一連の作業を行っているとすればクラウド会計を導入することで業務の流れを変えることができます。

・クラウド会計で請求書を作成(自動的に売掛金に)
・取引先に請求書を郵送
・クラウド会計が銀行の記帳データを自動取込
・名前、金額が請求データと一致していればクラウド会計が自動的に売上計上して売掛金を消込

基本的に総務担当者が行うのは請求書作成、郵送だけです。

2023年10月にインボイス制度がスタートしますが、各会計ソフトでは電子インボイス「ペポル(Peppol)」の対応をすすめています。ペポルとは受発注や請求にかかる電子文書をネットワーク上でやり取りするための国際規格です。請求書の郵送はいらず全てネットで完結します。取引先が異なる会計システムを使用していても、統一された請求情報を自動で取り込めるようになります。

業務の流れが変わり総務担当者が手を動かすのは請求書作成だけになります。空いた時間でプラスアルファの仕事ができますので生産性をあげることができます。

DXを実施するのに企業規模は関係がありません。クラウド会計導入のように小さな取り組みから全社のビジネスモデルを変革するような取り組みまで、自社でどんな取り組みが可能なのか、ぜひ考えてみてください。

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