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「噂をされるとくしゃみが出る」と言われるのはなぜでしょう?
昔から「噂をされるとくしゃみが出る」とされ、くしゃみの回数によってその意味が変わったりします。それはいったいなぜなのかを解説します。
くしゃみをすると呪文を唱えた!くしゃみの語源
元々くしゃみをすることを「鼻をひる」といい、「ひる」は「放る」「嚏る」です。『枕草子』(清少納言)にも、「鼻をいと高うひたれば、『あな、心憂』」(たいそう大きな音でくしゃみをしたので、「まあ、いやなこと」)と書かれています。くしゃみということばの語源は「嚔(くさめ)」で、中国語では今でもくしゃみにはこの字を使い「喷嚏」と書きます。
当初、「くさめ」はくしゃみが出たときのまじないのことばでした。古くは、くしゃみをすると鼻から魂が抜けると信じられ、くしゃみをすると寿命が縮んで早死にするとされました。昔は風邪で亡くなることも多かったので、風邪の前触れでもあるくしゃみは不吉なものと考えられていたのです。それを避けるため「くさめ、くさめ……」と呪文を唱えるようになりました。『徒然草』(吉田兼好)の第四十七段には、くしゃみをした子が死んでしまわぬよう「くさめ、くさめ」と唱える様子が書かれています。
この「くさめ」がいつしか「くしゃみ」という名前になって、その行為自体を差すようになったと考えられています。
なぜ「噂をされるとくしゃみが出る」というの?
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昔の人は、何かほかの力が働いてくしゃみが出ると考えていました
やがて、ほかの力や人の思いでくしゃみが出るという考え方が、自分の噂をされているに変化していきました。くしゃみは自分ではコントロールすることができないので、気まずくなることもあります。くしゃみを誰かのせいにすることで、その場がうまく収まるという配慮でもあるのです。
くしゃみは連発することも多いので、さらに回数によって噂の内容が異なるようになっていきました。
2回目のくしゃみはどんな噂? くしゃみの回数と解釈
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3回目のくしゃみは誰かに惚れられたのかもしれませんが、4回目はさすがに風邪だろうとされています
- 一に褒められ、二憎まれ、三惚れられて、四風邪をひく
- 一に褒められ、二に振られ、三に惚れられ、四に風邪
- 一誹り(いちそしり)、二笑い、三惚れ、四風邪(しかぜ)
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