光沢ある絹をイメージさせる、キレイなウイスキー

 
シルキーにそそる知多

シルキーにそそる知多

前回記事その1で「サントリーウイスキー知多」(700ml・43%・¥3,800/税別希望小売価格/以下「知多」)を“キレイなウイスキー”“そそる美味しさ”といった表現を用いて語った。
まず、こころ動かす“キレイなウイスキー”について私感を述べたい。
21世紀となり、「知多」はグレーンウイスキーをブレンデッド素材という既成概念から解放し、口当たりよくすっきりとしたシングルグレーンという新たなウイスキーのジャンルを創出するために誕生した、とわたしは勝手に思っている。(*19世紀後半、スコッチにはシングルグレーン市場が存在した時代があった)
グレーンウイスキーはブレンデッドウイスキーやモルトウイスキーに比べ、もともと強い香味個性を抱いていない。そして総じて穏やかさや軽やかさはあるが、日常的に飲んでみたいと感じさせるほどの魅力的な味わいでもない。
ところが「知多」はつくり分けによって生まれた高品質なグレーンウイスキーを厳選し、ブレンダーの熟練の技でクリアな味わいのなかに主原料であるトウモロコシ由来の甘みが浮遊する魅力的な味わいに仕上げられている。
日常的に愛される爽やかな甘い香味。ソーダ水で割っても崩れない伸びのいい酒質。後口も涼やかで嫌味がない。シルキーで艶やかであり、とてもピュアな感覚にあふれている。だから「知多」のことを、すべてに磨かれた、こころ動かす“キレイなウイスキー”と表現した。
酒質イメージとして、わたしは生糸(きいと/絹糸)が想い浮かぶ。蚕(かいこ)がつくりだす白い繭(まゆ)を繰り糸したものが生糸(raw silk)。とても軽くて透明感のある光沢。手触りがよく吸湿性、保湿性に富む。
生糸から絹織物(silk)がつくられるのだが、「知多」はハイボールやお湯割り、カクテルなどに織り込んでも美しく艶やかな光沢を放つ。ストレートには生糸を撚り(より)合わせてつくられる和楽器の糸(いわゆる弦)、琴(筝)や三味線、琵琶などの糸につながる個性的な音色、「知多」ならではのクリアな響きがある。
そして「知多」の絹のようなキレイさが“そそる美味しさ”につながっている。
 

UMAMIに通じる、そそる美味しさ

 
食事に合う知多ハイボール

食事に合う知多ハイボール

では、香味の観点から表現する“そそる美味しさ”について説明しよう。
UMAMI(うま味)というワードが世界共通語になっているが、本家の和食においては昔から身近な味噌汁をはじめ、いろんな料理にダシはとても重要だった。それと「知多」を結びつけるのは飛躍し過ぎかもしれない。しかしながらダシが効いているから食欲がよりそそられるように、「知多」もまたUMAMIに似たポテンシャルを抱いている。
シルキーな滑らかさと光沢のある、それだけで料理の一品といえるほど美味しくいただけるお出汁(ダシ)の味わい深さに通じるものだ。
ウイスキーの歴史のなかで、グレーンウイスキーはブレンデッドウイスキーにおいてダシ的な貢献をしてきた。もちろん昆布のグルタミン酸、鰹節のイノシン酸を含んでいるはずもないが、味噌汁にたとえるならば味噌であるモルトウイスキーの香味を生かしながら調和して、しなやかな味わいへと導く役割を担っている。
「知多」の素晴らしさは、日常的に愛されるシングルグレーンとして特別に磨かれながら、そのダシ的なグレーンウイスキーのDNAを失っていない点である。『サントリーウイスキー知多はカクテルベースにも最高』の記事で述べたように、カクテルベースとしてもミックスする素材を煌めかせ、ダシのUMAMIの世界を見事に演じてみせる。
前回記事で知多蒸溜所では大まかにクリーン、ミディアム、ヘビーの3タイプの酒質をつくり分けていると述べた。そのなかのヘビータイプは穀物用の香味が最も強く感じられる。しかも特長的といえるのが鰹節のようなニュアンスをも抱いている点だ。感覚的なものでしかないとはいえ、UMAMIに通じる味わいが確かに存在している。
こうした香味特性を抱いた「知多」は、UMAMIが食欲をそそるように、食中酒としても最高である。存在感を示しながらも声高に主張することなく料理により添い、食欲をそそる。つまり名脇役も演じられるウイスキー。カクテルにおいても、食においても、“そそる美味しさ”で飲み手のこころを満たしていく。
食中酒としてハイボールはもちろん、オン・ザ・ロックもいい。お湯割りもおすすめだ。もし焼酎ファンの方がこの記事をお読みならば、食事に合うウイスキーとして「知多」をお試しいただきたい。イケる、と感じていただけるのではなかろうか。
ウイスキーにおいて、ブレンデッドでもない、シングルモルトでもない、シングルグレーンという新たなジャンルを、さあ、どうぞ。
 

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