雹【ひょう】による災害の自動車保険や火災保険の保険金の支払いとは?
台風や集中豪雨、雪、地震などの自然災害が増えています。一度発生すると自然災害ゆえに被害が拡大するのが特徴です。その中で頻繁に発生するわけではありませんが、微妙にやっかいな災害が「雹【ひょう】」による損害です。最近では2017年7月に東京で雹災が発生しましたが被害が拡大しました。雹の損害については自動車保険、火災保険ともにどのようなものを対象に保険金がどう支払われるのか分からない人も多いようです。
雹の災害に焦点を当てて自動車保険や火災保険の保険金の支払いやポイントについて確認してみましょう。
雹災による自動車保険(車両保険)の保険金の支払い
自動車保険の場合、雹による被害は主に契約車両の修理代です。車両保険に加入していないとそもそも補償されません。個人が加入する自動車保険には、通常は2つのタイプの車両保険がラインナップされています。
- 一般型
- エコノミー型
一般型はオールリスクタイプ、エコノミー型などは自損事故などを対象としないなどの違いがあります。雹による損害については、通常いずれのタイプでも補償されます。まずは車両保険に加入しているかがポイントです。
雹災での車両保険の支払い例とポイント
具体的な数字を見ながら確認していきましょう。事例)車両保険(一般型) 免責金額(自己負担額)0万円
車両金額 80万円
その他車両にかかる特約などはないものとする
■損害額が40万円の場合
損害額(修理代)である40万円が支払われます。
■損害額が100万円の場合
このケースでは損害額が、保険金額である80万円を損害額(修理代)が超えてしまいます。この場合には全損扱いとなり、保険金額である80万円が保険金支払いの上限になります。
ポイントとしては保険金額が上限であること、この契約には設定しませんでしたが自己負担額(免責金額)が設定されていると、自己負担分が保険金から差し引かれることがあるということです。
雹による自動車の損害が浅く広い面に傷がつくために、修理代が高くなりがちです。事例のように契約金額を修理代金が上回ることは珍しくありません。
修理代が車両金額を上回ると、保険金を受取ってそのままでよければ修理しない、このタイミングで買替えするなどもあるでしょう。雹による自動車の被害ではこうしたことがありえるということは知っておいてください。
雹災害による火災保険の保険金の支払い
火災保険の補償では雹による損害は、「風災・雹災(ひょう災)・雪災」で補償されます。個人が加入する一般的な火災保険ではほとんど付帯されています。注意点としては、20万円以上の損害が発生しないと保険金が支払われない条件になっているケースがあります。古いタイプの火災保険(住宅総合保険、店舗総合保険など)ほどそうなっています。
現在の火災保険でも、自動車の車両保険のように自己負担額(免責金額)が設定されているケースがありますから確認しておく必要があります。建物に火災保険を契約している場合、雹の損害で関わってきそうなものは次のようなケースです。
- カーポートや塀などの破損
- 窓ガラスの破損
- 屋根や屋上・外壁、雨樋など
屋根が外壁、陸屋根などについても損害が発生していることがあります。屋根の場合には分かりやすく破損していることがあるでしょうが、外壁や陸屋根だと雹が当たった痕が残っているだけのようなケースもあります。
一見何ともなさそうですが、防水や外装などに問題があることもあります。屋根は登らないと損害が確認できません。修理見積もりを取る、保険会社に連絡するなどはしておくようにしてください。
雹災の損害で自動車保険・火災保険でも知っておくこと
いくつか注意点をお伝えしましたが車両保険や火災保険に加入していれば、雹による損害が支払いの対象に入ることをまずは前提としてください。免責など細かい条件は後のことです。この手の自然災害は自動車保険でも火災保険でも被害が広がるため業者は大忙しです。すぐに来てくれないあるいは見積を作れないケースもあるので早めに対処しましょう。
自動車保険で車両金額が低ければ全損の可能性が高くなります。修理工場に見積依頼する前に保険会社が見に来て損害判定してくれることもあります。いずれにしてもまずは保険会社に相談してみてください。
なお火災保険の修理ができるのはあくまで雹による損害だけです。自然災害のときには請求の代行をする業者が横行することがあります。トラブルも増えているようなので気をつけてください。
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