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医療費控除申請に、医療費通知(医療費のお知らせ)が使える
加入している健康保険から送付される「医療費のお知らせ」などの医療費通知を見たことがありますか?【医療費通知とは何?動画でわかりやすく解説】
医療費通知は、実際にかかっている医療費を知ってもらうことを目的に作成されています。この医療費通知ですが、確定申告の医療費控除の申請時に使えます。この通知があると、領収書なしで楽に申請できます。今回は「医療費通知」についてご紹介しましょう。
加入健康保険からの医療費通知
医療費通知は、加入者が利用した医療費などを知らせています。その目的として、1.健康や医療に対する認識を深める(健康状態の確認、記録)
2.医療費の確認(医療費の増加抑制のため)
3.医療費請求の確認(医療機関等からの請求に誤りがないか)
があげられています。
健康保険はどこも財政が厳しく、少しでも加入者(被保険者)に医療費を抑えてもらうきっかけに、ということです。
発送時期、対象期間などは健康保険によって違う
この医療費通知ですが、これらはあくまでも各健康保険の個々の取り組みです。毎月発行するところもあれば、年に1回のところも。どのタイミングで通知がくるかは、加入している健康保険に確認してみましょう。例えば、協会けんぽの医療費のお知らせは、年に1回の発行。令和6年は1月中旬から下旬に、会社のほうに送られてきます(任意継続被保険者は自宅)。このお知らせは、主に令和4年10月から令和5年8月診療分までが対象となっています。
記載内容は医療機関受診等の記録
医療費のお知らせに記載されているのは、医療機関で診察などを受けた記録。診療を受けた人、その年月、医療機関名、医療費の総額、加入者の支払額などです。それらの記載が正しいかをしっかりとチェックしておきましょう。医療費控除の確定申告に使える!
この「医療費のお知らせ」が確定申告の医療費控除の証明に使えるようになりました。確定申告で医療費控除の申請をするときは、「医療費控除の明細書」を添付します。医療費の領収書の添付は必要ありませんが、自宅で5年間は保存しておかなくてはいけません。
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医療費控除申告から領収書提出が不要に
この医療費控除の明細書には、医療を受けた人と医療機関ごとに明細を記入する必要があります。しかし、健康保険が発行する医療費通知があれば、明細の記入を省略することができるため、かなり申請の作業が楽になります。
医療費控除に利用できるかは要確認
ただ、全ての医療費通知が医療費控除の添付資料として使えるわけではありません。添付可能の医療費通知には、以下の項目が必要になります。(1)被保険者等の氏名
(2)療養を受けた年月
(3)療養を受けた者
(4)療養を受けた病院、診療所、薬局の名称
(5)被保険者が支払った医療費の額
(6)保険者等の名称
この項目全てが記載されていなければ使えません。特に「(5)被保険者が支払った医療費の額」が記載されていない例が多いようです。
領収書の保存も必要なし
医療費通知を添付して確定申告をした場合は、医療費の領収書の保存も必要ありません。医療費の明細書で申告した場合は、前述のとおり領収書を5年間保存しなくてはいけないので、医療費通知で申告できると、さらに楽ですね。他に払った医療費は明細書で申告
また、確定申告は1月1日から12月31日までの1年での申告です。医療費通知が、この期間の記載になっていることはあまりないでしょう。前年の10月からその年の8月までといった期間になっている場合、確定申告の対象期間(1月から8月)は医療費通知からの金額をそのまま記載し、それ以外の期間(9月から12月)の医療費は明細書に記入しましょう。これだけでも、申請の時間は短縮されるはずです。なお、自由診療などで医療費通知には書かれていないものも、明細書に記入します。
医療費助成で負担していない金額は引いて申告
子どもの医療費が無料など医療費助成制度がある自治体が多くあります。この助成制度を利用して、医療費を自己負担していないにもかかわらず、医療費通知に記入されていることがあります。
医療費控除は、あくまでも自己負担の医療費が対象です。この負担していない金額は差し引いて申告します。医療費通知に給付を受けた旨を記載して、本来の自己負担医療費の金額で申請しましょう。
詳しくは→「医療費控除に関する手続について(Q&A)(国税庁HP)」
健康保険から発行される医療費通知。払った医療費の確認もできますが、確定申告にも使えます。まずは、届いている医療費通知をチェックしてみましょう。また、これから発行される医療費通知は、きちんと保管しておくと安心です。
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