洗面の壁材には、心地よさや清潔さを保つことができる素材を
内壁材は、空間のデザインはもちろん、日々の暮らしの心地よさにも大きく影響するもの。洗面や身だしなみを整えるだけでなく、脱衣室や洗濯として利用する洗面室では、心地よさを生み出すデザイン性はもとより、水や汚れに強く、お手入れのしやすさなど考慮して選ぶことも大切でしょう。一般的な住宅の洗面室の内壁には、クロス(壁紙)やパネル・ボード、塗壁、タイルなどの素材がみられます。いずれも各メーカーから、豊富な商品バリエーションが揃っているので、予算や好みに合わせて自由に選ぶことが可能です。
ウイルスや菌を抑制し、硬度が高く、擦れや引っかきによる傷が付きにくいセラミック素材。大判なため目地も少なく、汚れ落としもラクに。 [ハイドロセラ・ウォール] TOTO
主な素材の種類
■壁クロス一般的な住宅で最も多く使われているのが壁紙と呼ばれるクロス。素材によって、ビニールクロスや紙クロス、織物クロスなどに分類されます。
洗面室で多く用いられるのは、塩化ビニール樹脂などを主な素材とするビニールシートに紙などを裏打ちしたビニールクロスでしょう。比較的安価なものから揃い、色やデザインのバリエーションも豊富、プリントを施したものだけでなく、凸凹のあるエンボス加工、発泡させたタイプなども揃っています。施工がしやすいのも特徴で、防水はもちろん、汚れ防止や防カビ・抗菌、調湿、消臭などの機能を持たせたタイプなどもあります。
■パネル・ボード
水や汚れに強いパネル(ボード)状の壁仕上げ材。メーカー独自にさまざまな工夫が施されたタイプがみられます。調湿や消臭、抗菌機能を持たせたもの、化学物質を吸着するなどの機能を付加したタイプも。目地も少ないのでお手入れが簡単なのもメリットです。
色やデザインも揃っており、光沢のあるタイプやマットな風合いのもの、草花や大理石、木目調なども。空間の雰囲気にあわせて選ぶことができるでしょう。
アンモニアなどの汚れに強い表面仕上げのため、トイレ、洗面、脱衣所など、カビが心配な場所に適する。草花柄や大理石柄、木目柄が揃う。[グラビオ TA石目・抽象柄/木目柄] DAIKEN
■タイル
タイルは、水まわりに用いる素材としてポピュラーなもの。防水性、防火性、耐摩耗性などに優れ、酸やアルカリなど薬品にも強いのが特徴です。汚れに強い目地材を用いれば、日々のお手入れもしやすいでしょう。デザインバリエーションも豊富で、好みに合わせコーディネートを楽しむことができるのも大きな魅力です。
最近の水まわりは、システムバスや洗面化粧台などを取り入れるプランが多いため、床や壁全面にタイルを使用する、というよりは、ポイントとしてタイルを用いるケースが増えてきているようです。多くみられるのは、洗面ボウルやトイレの手洗器を設けたカウンター前など。水はねに対応するとともにアクセントとして取り入れるケースでしょう。細かなモザイクタイルや照明の光で変化するようなタイルなどのプランがみられます。
アンティーク感のあるミックス柄や地紋柄を組み合わせることで、北欧のナチュラルなインテリア空間を演出。[レジサージュ] LIXIL
塗壁は、調湿性・断熱性・防火性などに優れているのが特徴。クロスと異なり仕上がりに継ぎ目が無いこと、刷毛やコテなどでさまざまな表情を生み出すことができるのもメリットでしょう。一般的な洗面室では多くはみられませんが、調湿性に優れる珪藻土などを取り入れるケースも。他の素材と組み合わせるプランなども考えられるでしょう。
プランに合わせて必要な機能を持つ素材を
洗面室は、プランニングや使用方法によって壁材に求める性能や機能の優先順位は変わってくるでしょう。一般的に多くみられる、洗面や脱衣、洗濯を行う場所としてプランニングするのであれば、耐水性や耐薬品性、調湿性やカビが生えにくい機能などを持つ素材。もちろん、日々の掃除が楽なタイプを。脱衣室は別であったり、化粧室としての洗面空間であれば、インテリア性を優先させてもいいかもしれません。多湿時には余分な湿気を吸って結露やカビの発生を抑え、乾燥時には取り込んでいた湿気を放出し、調湿する。壁に付着したウイルスの繁殖を抑制。 サニタリーはもちろんリビング、寝室にも。[さらりあ~と シンプルクリーン] DAIKEN
壁面スペースは比較的小さいケースが多い
一般的な洗面室は限られた空間であり、壁装材を張る面積はさほど広くないケースが多いでしょう。洗面化粧台や洗濯機などに隠れてしまい、実際に目に触れる壁面は、小さい場合も。そのため、壁材は、素材で個性を出す、というよりも、空間に馴染むタイプを選ぶ方がまとまります。隣接するバスルームとコーディネートすることで、一体感が生まれ、広々と感じることもあるでしょう。柄のある素材を選ぶのであれば、小花模様や抽象柄など小さめのタイプを。大きい模様の場合、洗面台などで隠れてしまうケースもあるかもしれませんし、広さによっては圧迫感を感じてしまうことも。プランニングの際には、展開図で、どの程度のスペースに張ることになるのか、柄や模様はどう見えるのか、などを確認することも大切です。
洗面化粧台・洗面カウンターとのコーディネートを
洗面化粧台や洗面ボウル、カウンターなどとのコーディネートも重要です。色や素材感の調和に配慮して選ぶようにしましょう。カウンターにボウルを設置するタイプの洗面の場合、カウンター前の壁材によって印象も異なるもの。洗面時に水が飛び跳ねることもあるので、インテリア性と機能性を併せ持つ素材選びがポイントです。洗面室に限りませんが、壁材を選ぶ際には、カタログだけでなくショールームで実際の素材を確認すること。できる限り大きめの見本で、色や柄をチェックするようにしましょう。もちろん、床材や天井材とのコーディネートも重要です。水まわり機器のショールームなどの空間展示のコーディネート、モデルハウスのスペースづくりも参考にするといいでしょう。
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