「即日完売」も販売戸数ひとケタ!?
4月度マンション売れ行き指数「初月契約率」(不動産経済研究所調べ)は66.3%であった。前回記事にも記述したが、好不調目安70%を2017年はまだ一度もクリアしていない。ところで、この毎月発表される「首都圏マンション市場動向調査」には「即日完売物件」が記載されている。業界でいう「ソッカン」リストである。ちなみに4月度即日完売した物件は5物件267戸。うち4物件は物件名、販売戸数、平均倍率等が公式サイト上で閲覧できる。最も戸数が多いのは、品川区全680戸超の大規模マンション第1期1・2次。販売戸数は238戸だった。これだけの大型プロジェクトともなれば第1期は「大盛況」で締めたいところ。市場を牽引する役割をも期待されるスケールだ。しかし、残り3つのプロジェクトは販売戸数がすべて10戸以下。即日完売というと大量集客をイメージしがちだが、今の市況では難しいということだろう。
調整局面も「限定的」!?
ソッカン減少は市況低迷のあらわれでもあるが、デベロッパー側も「何が何でも早期完売」を方針として掲げなくなったのも事実だ。とくに都心部においては。何度も触れてきたが、慢性的な供給縮小、旺盛な職住近接需要、超低金利、共働き世帯の増加等々。これら現象は、都心マンションの相場を下支えしている。大手寡占も「資金繰り悪化によるダンピング競争」リスクを低減しているといえるだろう。つまり、ある程度調整局面はあると思われるも、アベノミクス前の水準まで相場が戻ることは、都心部においては考えにくいということだ。
留意すべきは完成在庫か。個社ごとに対策は大きく異なるが、完成在庫の積み上げは「金融機関からの評価に影響を与えかねない」ともいわれている。原則、多額の借入金を長い期間借りる必要がある不動産開発事業は、借り入れ条件によって収益が左右される。
市場によって異なる「変動要因」
都心部の高額マンション市場を見ていると、明確に細分化されていることがわかる。第一に、サラリーマン中心のマイホーム実需層。共働きなら総額1億円(坪単価@400万円まで)程度の予算。超低金利、住宅ローン控除のメリットを最大限享受できる人たちだ。第二に、予算1億円~2億円程度。坪単価@500万円~700万円のゾーン。第一の変動要因が金利なら、第二のそれは株価とみる。
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第三は、坪単価@800万円超~上限なし、のゾーン。稀に出る総額5億円以上の物件等が典型だ。この超高額市場の変動要因は「都市力への期待」と見ている。世界の富裕層が東京の将来に可能性を感じるかどうか、といった視点だ。インフラ強化などに停滞が見られた場合、このマーケットの活性化は望めそうにない。
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