億ション需要の3分類

参考写真:広尾ガーデンヒルズ

参考写真:広尾ガーデンヒルズ

1億円超の高級マンション購入者が気にすることは何か。それは、他でもない物件の資産価値である。長らく続いたデフレ下においては、億ションの動きが鈍かったが、これは先々資産が目減りする恐れがあったからに他ならない。

無論、永住を目的とした購入動機ではそのような範疇に収まらない。好立地でゆとりの空間を有した物件は実需でも売れる。過不足ない居住性能を誇るものだけが受け入れられるわけだ。

例外はある。それは、極めて希少性の高い住戸だ。40階建て以上のタワーマンションや広大な緑地を南に臨む好立地のペントハウスなどが良い例。景気の波に関わらず、住む住まないを問わず、そのような代替の利かない物件はいつの時代も買い手が付く。つまり、高級マンション分野は「物価連動型」「実需型」「希少性」の3種類が存在する。

億ション市場の活性化は、日経平均次第!?

東日本不動産流通機構、NIKKEIのデータをもとにMH3にて作成

東日本不動産流通機構、NIKKEIのデータをもとにMH3にて作成

最もボリュームのある需要群はどれか。「実需型」と言いたいところだが、ここは一戸建てとの競争が激しい。都心部でもまだまだ選択肢が豊富な土地、中古戸建てがある以上マンションに振り向かせるには供給側の努力や市場の環境変化が要るだろう。「希少性」は文字通り、数が少ない。

世界的な金融緩和は「より安定した資産に資金を向かわせる動き」を加速させるが、東京都心のマンションもその対象に入っている。原動力となっているのは株高と円安である。需要喚起としての為替はおもに外国人が対象となる。

ボリュームゾーンは「物価連動型」であり、株価と連動するように需要の高まりが見て取れる。上のグラフが裏付けとなるだろう。「都心3区(千代田区、中央区、港区)の中古マンションの成約単価と日経平均の推移」を見比べると相関が見れる。「物価連動型」ではあるのだが、「消費者物価指数」ではなく、「日経平均」をベンチマークすると良い。

プラス材料豊富も相場上昇が懸念

2015年は原油安、円安が企業業績を後押しするだろう。証券アナリストの予測では日経平均はおおむね2万円近く達すると見ている。賃金アップも効果が表れ、消費を伸ばすだろう。経済の好循環が期待できる。

一方、住宅市場は2017年4月消費再増税を見越して、駆け込み需要が2016年9月まで起こりそうだ。新築マンションは供給戸数45,000戸(2015年)と予測されているが、2014年のように大幅減少(56,000戸予測に対して実際は44,913戸)となれば品薄感が蔓延し、一層の相場上昇圧力がかかるだろう。中古マンションの在庫戸数も低い水準のままだ。2014年後半のマンション市場を読む参照

再増税実施半年前からは、贈与税の非課税枠が3,000万円(省エネ耐震住宅)に引き上げられる予定。高額な物件ほど後々の税制優遇が用意されていると捉えることができる。株価は上昇気運で、住宅購入環境も整う。相場上昇の可能性が高いが、供給不足が「短期高騰」につながりかねない。上がり幅によっては、購入マインズを冷やす恐れもあるだろう。


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