住宅取得等資金贈与の非課税制度(暦年課税の場合)の確定申告
2009年度における経済対策の一環として、住宅取得資金の贈与(金銭にかぎる)について500万円までを非課税とする制度が導入され、その後の税制改正で延長および非課税枠の見直しがされています。2017年の場合は、省エネ性、耐震性またはバリアフリー性を備えた住宅が1,200万円、それ以外の一般住宅が700万円の非課税枠となっています。
ただし、贈与を受けた時期ではなく、購入、建築、リフォームなどの「契約締結時期」によって非課税枠が判断されるため注意しなければなりません。
この非課税枠は、贈与された金銭を使って住宅を取得(購入、新築など)、または増改築工事やリフォーム工事をした場合に適用されますが、対象となる住宅などには一定の要件が定められています。
なお、2011年度の税制改正により、建築に先行して取得する土地の代金に充てる場合でもこの特例を適用できることとなりました。ただし、贈与を受けた年の翌年3月15日までに居住を開始することなどの要件は従来どおりです。
この非課税制度を使うことで、相続時精算課税制度でなくても、暦年課税により1,310万円または810万円まで(贈与を受けた資金を使って2017年に契約をした場合)の贈与を無税にすることができます。
また、相続時精算課税制度の場合とは異なり、父母が健在のケースでも祖父母からの贈与についてこの特例が適用されます。
非課税枠の適用を受けるためには贈与税の申告が必須です。無税だから問題ないだろうなどと考えて申告を怠れば、非課税枠の適用を受けることができず、本来の規定による高額な税金の納付を求められることになりかねません。
住宅取得等資金贈与の申告で用意する書類
□ | 贈与税の申告書 第1表 |
□ | 贈与税の申告書 第1表の2(住宅取得等資金の非課税の計算明細書) |
□ | 贈与を受けた子の戸籍謄本・抄本(受贈者の氏名、生年月日、贈与者が直系尊属に該当することを証する書類) |
□ | 贈与を受けた子の戸籍の附票の写し(増改築等の場合…受贈者が工事前にその家屋に住んでいたこと、および工事後もそこに住んでいることを明らかにする書類で、工事が終わった家屋に居住した日以後に作成されたもの) |
□ | 贈与を受けた子の住民票の写し(取得した住宅へ入居したことを証明する書類) |
□ | 取得(または増改築)した住宅の登記事項証明書 |
□ | 敷地の取得を伴うときは、その土地の登記事項証明書 |
□ | 工事請負契約書の写しおよび増改築等工事証明書(増改築の場合) |
□ | 耐震基準適合証明書または住宅性能評価書の写し、あるいは既存住宅売買瑕疵担保責任保険契約が締結されていることを証する書類(築後25年を超える耐火建築物または築後20年を超える非耐火建築物の場合) |
□ | 住宅性能証明書、建設住宅性能評価書の写し、長期優良住宅建築等計画の認定通知書の写し、認定長期優良住宅建築証明書などのうちいずれか(省エネ性、耐震性、バリアフリー性による非課税枠の割り増しを受ける場合) |
なお、2017年中に住宅取得等資金の贈与を受け、住宅用家屋の取得または増改築工事が完了したものの2018年3月15日までに居住できていない場合、または3月15日までに新築工事もしくは増改築工事が完了していない場合(一定段階以上に工事が進んでいるときにかぎる)には、それぞれ所定の書類を提出しなければなりません。
なお、この特例を受ける場合など、贈与税に関する今年の申告期間は2月1日(木)から3月15日(木)までとなっています。
page2 ≪住宅ローン控除≫
page3 ≪認定長期優良住宅、認定低炭素住宅の特別税額控除≫
page4 ≪相続時精算課税制度≫
page5 ≪住宅取得等資金贈与の非課税制度≫
関連記事
不動産売買お役立ち記事 INDEX住宅の確定申告における基本情報 2018年申告版
住宅を売却したときの確定申告 2018年申告版
住宅を改修したときの確定申告 2018年申告版
ネットで簡単!住宅ローン控除申告書