住宅購入の費用・税金/確定申告・住宅ローン減税

住宅の確定申告における基本情報 2018年申告版

2018年の確定申告が始まります。2017年中に住宅の購入や建築、売却、リフォーム工事、一定の改修工事をした人や、親などから資金の贈与を受けた人は3月15日までに確定申告をするようにしましょう。初めてだと難しく感じる手続きも、手順どおりにやれば意外と簡単です。

執筆者:平野 雅之


一戸建て住宅と樹木

住宅の購入や売却、改修をしたときの最後の手続きが確定申告

マイホームを購入したときや建てたとき、増改築やリフォームをしたとき、あるいは一定の改修工事をしたときに、最後の仕上げとなる手続きが確定申告です。

住宅ローンを借りたときは「住宅ローン控除」が使えるほか、一定の要件のもとで住宅ローンを借りなくても所得税の還付を受けられる制度もあります。

また、マイホームにかぎらず不動産を売却したときには、所得税を納付するのか還付されるのかにかかわらず、確定申告をしなければなりません。

ところが、多くの人は確定申告をした経験がないため、どのような手続きをすればよいのか分からないという場合もあるでしょう。しかし、一つひとつ順を追って提出書類の記入や準備をしていけば、意外と簡単にできるものです。

さまざまな制度を有効に活用して、払い過ぎた税金はとり戻し、これから納める税金はできるだけ少なくしたいものです。住宅に関連する主な確定申告手続きの概要をケースごとにまとめましたので、ぜひ自分で申告書類作成に挑戦してみましょう。

なお、具体的なケースでの適用可否や計算方法、住宅以外の確定申告などについては、税務署の担当者や税理士の先生などにご確認ください。

また、2014年の申告分より、所得税が課税される場合には併せて「復興特別所得税」が課税されることになっています。通常の税額に2.1%が加算されますので、とくに不動産の売却などで納税額が生じる人は注意してください(2037年までの措置)。

さらに、2017年の確定申告からは個人番号(マイナンバー)の記入、および本人確認書類(免許証、パスポートなどの写し)の添付が必要となりました。マイナンバーカードの交付を受けていない人は、役所から送られた「通知カード」を事前に確認しておきましょう。


確定申告で税金が戻る人、確定申告をしなければならない人

2017年1月1日~12月31日までの間に住宅などの不動産を譲渡(売却)した人
2017年1月1日~12月31日までの間に住宅ローンを借りて住宅の取得(購入・新築)、または増改築・リフォームをした人(居住を開始した人)
2016年以前に住宅の取得などをした「住宅ローン控除適用者」で、年末調整による処理を選択していない人
2017年1月1日~12月31日までの間に住宅ローンを借りずに認定長期優良住宅または認定低炭素住宅を取得した人(居住を開始した人)
2017年1月1日~12月31日までの間に親などから住宅取得のための資金を贈与された人
2017年1月1日~12月31日までの間に住宅の耐震改修工事をした人
2017年1月1日~12月31日までの間に住宅のバリアフリー改修工事をした人
2017年1月1日~12月31日までの間に住宅の省エネ改修工事をした人
2017年1月1日~12月31日までの間に三世代同居に対応する工事をした人
2017年4月1日~12月31日までの間に長期優良住宅化リフォーム工事をした人

住宅ローンの借り入れや親からの一定額以上の住宅取得資金贈与などがなく、自己資金だけで住宅を取得した人は確定申告をする必要がありません。

ただし、自己資金だけの場合でも、認定長期優良住宅または認定低炭素住宅を取得したときや、一定の耐震改修工事、バリアフリー改修工事・省エネ改修工事・三世代同居改修工事・長期優良住宅化リフォーム工事をしたときには、確定申告をすることで所得税の還付を受けることができます。

また、住宅を譲渡(売却)して所得があったときには、控除や特例の適用の有無に関係なく確定申告をしなければなりません。もちろん、居住用財産以外の不動産を譲渡して所得が生じた場合も同様に申告が必要です。

ちなみに、2011年度の税制改正により「確定申告書等をその提出期限までに提出しないことにより所得税を免れた者は、5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金に処し、又はこれを併科することとする」という、故意の申告書不提出による「ほ脱犯」が創設されています。

住宅ローン控除などで所得税の還付対象のときに申告をしなくても当然ながら罰則規定は関係ありませんが、不動産を売却して課税所得が生じるときは十分に注意しなければなりません。


確定申告による所得税控除の種類など

住宅ローンを借りて、住宅を購入した人、住宅を新築した人、住宅の増改築やリフォームをした人……住宅ローン控除
住宅ローンを借りずに、認定長期優良住宅・認定低炭素住宅を購入または新築した人……認定長期優良住宅新築等特別税額控除
住宅取得資金の贈与を受けた人……相続時精算課税制度または贈与税の申告
住宅を譲渡して利益があった人……3,000万円の特別控除
住宅を譲渡して損失があった人……損益通算・繰越控除
住宅を買換えた人……3,000万円の特別控除または買換えの特例
住宅の耐震改修工事をした人……住宅耐震改修特別控除
住宅のバリアフリー改修工事をした人……住宅のバリアフリー改修促進税制
住宅の省エネ改修工事をした人……住宅の省エネ改修促進税制
住宅の三世代同居改修工事をした人……三世代同居改修工事の特例
長期優良住宅化リフォーム工事をした人……長期優良住宅化リフォーム減税

なお、住宅を貸して家賃収入があったときには、損益通算制度によって所得税の還付または減額を受けられる場合もあります。また、災害や盗難などで一定の損害を受けた人は、雑損控除により所得税の還付を受けることができます。

住宅を貸した場合の確定申告について詳しくは ≪マイホームを賃貸した場合の確定申告≫ をご参照ください。


住宅ローン控除、認定長期優良住宅新築等特別税額控除、相続時精算課税制度、贈与税の申告については ≪住宅を購入したときの確定申告 2018年申告版≫ をご参照ください。

3,000万円の特別控除、損益通算・繰越控除、買換えの特例については ≪住宅を売却したときの確定申告 2018年申告版≫ をご参照ください。

住宅耐震改修特別控除、住宅のバリアフリー改修促進税制、住宅の省エネ改修促進税制、三世代同居改修工事の特例、長期優良住宅化リフォーム減税については ≪住宅を改修したときの確定申告 2018年申告版≫ をご参照ください。


その他の主な控除

一定の要件のもとで土地などを譲渡した場合に、所得控除を受けられる制度があります。

特定住宅地造成事業等のために譲渡した場合(特別控除額は1,500万円)、特定土地区画整理事業等のために譲渡した場合(特別控除額は2,000万円)、収用等により譲渡した場合(特別控除額は5,000万円)などですが、これらに該当するときの確定申告手続きについては、税務署の担当者や税理士の先生などにご確認ください。


確定申告書の用紙は?

確定申告書の用紙は国税庁のサイトからダウンロードしたうえで、家庭用のプリンタで印刷して使うことができます。用紙の種類にはAとBがあり、そのほかに申告の内容により明細書や内訳書などがありますから、必要なものをよく確認してください。

また、最寄りの税務署へ行けば申告に必要な用紙をもらえるほか、郵送を依頼することも可能です。郵送の方法などはそれぞれの税務署へお問い合わせください。

住宅ローン控除の確定申告、贈与税の申告、認定長期優良住宅新築等特別控除の確定申告、および一定の譲渡に関する確定申告の場合は、国税庁サイト内の「確定申告書等作成コーナー」を使い、画面上で入力したものをプリントアウトして、そのまま提出することもできます。

なお、「確定申告書等作成コーナー」を使うときの手順について詳しくは ≪ネットで簡単!住宅ローン控除申告書≫ をご参照ください。


確定申告に関する手引き、オンラインによる申告など

実際に確定申告書を作成するときには、国税庁が発行している手引きなどを参考にすれば詳しい内容が分かるでしょう。手引きや説明書などは最寄りの税務署で入手できるほか、国税庁サイト内の「確定申告に関する手引き等」のページからダウンロードすることもできます。

また、分からないことについては国税庁ホームページ内の「確定申告期に多いお問い合わせ事項Q&A」もご参照ください。

また、オンラインによる確定申告(国税電子申告・納税システム e-Tax)が、全国の税務署で利用可能となっています。

しかし、これを利用するためには「開始届出書」を提出して税務署による審査・登録を受け、ICカードリーダライタを購入し、e-Tax ソフトなどをインストールし、電子証明書やマイナンバーカードを取得するなどいくつかの事前準備が必要なほか、一定の初期費用もかかります。

e-Tax の手続き方法を読んで考えているだけの時間があれば、その間に手書きでも作成ができてしまうほど、確定申告書は意外と簡単です。しかし、自営業者などで毎年、確定申告をする人であれば非常に便利なシステムですから、導入を検討してみるのもよいでしょう。


確定申告書の提出先は?

確定申告書の提出先は原則として住所地を管轄する税務署となりますが、税務署まで行く代わりに郵送(郵便物または信書便物にかぎられます)による提出も可能です。

郵送の場合は、確定申告書の控と返信用封筒(切手貼付)を同封すれば、税務署の受領印が押されたものを返送してもらうことができます。

また、一部の税務署では複数の管轄区域にまたがって「広域センター」が開設されています。詳しくはお近くの税務署にお問い合わせください。

さらに、国税庁では映像と図解で確定申告書作成方法などについて解説するインターネット番組「Web-TAX-TV」を配信しています。手続きの流れなどについて、まず初めにこれをご覧になるのもよいでしょう。


確定申告書の提出期間は?

2018年(平成30年)の提出期間は2月16日(金)~3月15日(木)となっています。ただし、住宅ローン控除など還付申告の場合には、すでに1月から受付が始まっています。

2011年までは、期間前の受付が「還付申告のみ」の場合に限られていましたが、2012年からは申告義務のある人(もともとは確定申告をして所得税を納めなければならない人)についても、還付申告の受付が1月からとなりました。

混雑期を避けて早めに確定申告をすれば、所得税の還付もスムーズになります。


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※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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