一戸建て住宅

マイホームを貸せば、確定申告が必要になる

転勤などで住まなくなったマイホーム、あるいは相続して誰も使わない家を第三者に賃貸することも少なくありません。

賃料収入(給与所得および退職所得以外の所得の合計)が20万円を超えれば、翌年2月16日から3月15日の間に確定申告をすることが必要です。

20万円を超えない場合でも、確定申告をすることによって所得税が還付されるケースは多いでしょう。

また、同族会社の役員などがその同族会社から賃料などを受け取れば、金額に関係なく確定申告が求められます。

なお、住宅ローン控除の適用期間中であるマイホームを賃貸した場合には、その年から住宅ローン控除は使えなくなりますから注意しなければなりません。もっとも、第三者に貸さなくても、自分が住まなくなった時点で住宅ローン控除は使えないのですが……。

それはさておき、今回はマイホームを賃貸した場合、および投資用マンションを1~2室ほど所有して賃貸した場合における確定申告について、主な注意点をみていくことにしましょう。


事業的規模と青色申告

複数の賃貸物件を所有して「5棟10室」(形式的基準)もしくは「社会通念上、事業とみなされる程度」(実質的基準)になれば「事業的規模」とされ、課税上の取り扱いが異なります。

しかし、マイホームを賃貸したり、ほんの数戸の投資用マンションを所有していたりする程度なら、事業とみなされることはありません。

事業的規模に満たない場合でも、青色申告を選択することが可能な場合もあります。青色申告は仕訳帳や勘定元帳などの帳簿を備えることにより、さまざまな税制上の優遇措置を受けられる制度ですが、マイホームを賃貸する程度では必要ないでしょう。

これから賃貸経営に本格的に取り組もうとする人であれば、賃貸の開始から2か月以内に税務署へ「青色申告承認申請書」を提出してください。

この記事では、事業的規模ではないこと、および青色申告の適用は受けないことを前提に話を進めていきます。

また、海外転勤などで出国した「非居住者」の場合(1年未満と確定しているときや、数か月の出張程度と認められるときを除く)には、税法上の取り扱いが異なりますので、税務署や税理士にお問い合わせください。


賃貸収入はすべて不動産所得

一戸建て住宅やマンションを賃貸したときの収入はすべて不動産所得に分類され、賃貸による総収入金額から必要経費を控除したものが「不動産所得」として課税対象になります。

不動産所得がマイナスの場合には、他の所得金額から差し引くことができ、これを「損益通算」といいます。

不動産所得がプラスであれば所得税と住民税が増えることになりますが、マイナスの場合は確定申告をすることによって源泉徴収された所得税の還付を受けるか、納めるべき所得税額などを減らすことができます。

不動産所得の金額=総収入金額-必要経費


収入金額に計上するもの

□ 賃料(家賃)
□ 礼金、権利金、更新料、名義書換料、承諾料(返還を要しない性質の金銭)
□ 敷金や保証金のうち返還を要しないもの
□ 共益費、管理費、水道光熱費(入居者から受け取るもの)
□ 駐車場賃料(入居者から受け取るもの)

敷金や保証金については、全額返還する予定のものであれば「預かり金」とし、収入金額には計上しません。

ただし、一部を控除(償却)して返還する定めになっている場合には、返還しない分を契約時に収入があったものとします。

また、年を追うごとに控除(償却)分が増えるときにはその年ごとの収入とし、賃借人の退出時にならなければ返還分が確定しないときには、その契約終了時に「返還しない分」を収入金額に計上します。


必要経費に計上するもの

固定資産税都市計画税
□ 初年度の不動産取得税登録免許税など購入諸費用
□ 賃貸物件の敷地が借地権の場合の地代
□ 賃貸物件を借入金で取得した場合の支払い利息
□ 物件の管理に要する費用(不動産管理会社への委託料など)
□ 賃借人募集のための広告費用
□ 減価償却費…次ページで解説
□ 賃貸期間中に支払った立ち退き料
□ 修繕費、外壁塗り替え費用など
□ 損害保険料(火災保険、地震保険など)
□ 家事上の経費などのうち、賃貸業務の遂行上必要であり、かつ明確に区分できるもの
□ マンションの場合の管理費修繕積立金、駐車場賃料など
□ その他、雑費(業務上の費用であることが明確で、他の経費に当てはまらないもの)

建物の一部を貸している場合の固定資産税、都市計画税、地代、損害保険料などは、面積割合に応じて按分します。修繕費なども自用部分に対応する部分は除外します。

借入金で取得した場合の支払い利息のうち、土地取得に相当する部分は不動産所得内部の計算でのみ控除することができ、他の所得と損益通算をすることは認められません。

ただし、土地と建物をまとめて借入金で購入した場合などは、まず建物代金に借入金を充当し、それを上回る部分が土地部分の借入金とみなします。言い換えると、一部に自己資金を充てて購入した場合には、その自己資金を土地代金へ優先的に充てたものとみなす扱いです。

なお、賃貸開始前の借入金利息は、物件の取得価格に加えるか、または必要経費に算入するか、どちらかにします。

立ち退き料のうち、物件を売却するために支払うものは「譲渡費用」となります。逆に、物件の購入時に支払った前賃借人などへの立ち退き料は「取得費」です。必要経費に分類されるのは、あくまでも賃貸期間中に賃借人へ支払った立ち退き料ですから注意しなければなりません。

壁や天井の塗り替え費用や張り替え費用、畳の表替え費用、床・タイル・ガラスなどの破損修理費用、障子や襖の張り替え費用などは修繕費として必要経費に計上できます。

設備の取り付け費用(物理的な変更)、畳からフローリングへの改造費用(用途の変更)、モルタル壁からタイルへの張り替え費用(耐久性の向上)などは「資本的支出」とされ、建物の取得費用に加えたうえで減価償却の対象とします。

賃貸開始前にまとまったリフォーム工事などを実施した場合も同様です。

損害保険料に賃貸部分以外の保険料が含まれている場合には、面積割合などによって按分しなければなりません。

また、数年あるいは十数年分の保険料を一括前払いしている場合には、申告する年に対応する分の保険料だけが必要経費となり、年の途中で賃貸を開始した場合はその賃貸期間中の月数に応じた保険料を計上します。

なお、積立金を含む長期損害保険では、積立部分が資産とされ必要経費には計上できません。


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