上司には「良い関係」、でも部下にとってはどうか?を考える
部下は上司に嫌われたくない。だからこそ本音は語りにくい
部下が上司に調子を合わせていても、それは上司の評価を怖れて気を使っているだけなのかもしれません。「本当に楽しんでいる?」「お世辞を言ってない?」と確認しても、部下は上司を不愉快にするような返答はまずしないでしょう。
また、上司にとって居心地の良い環境こそ、部下にとって最悪の環境という例はよくあることです。
とくに、上司が部下に対して友人や家族のような親近感を感じている場合には、要注意です。そう感じるのは、上司としての緊張感を失い、上司だけがリラックスできる環境になっているせいかもしれません。上司が部下の心情を気遣い、部下一人ひとりの向上や成長を大切にしていれば、親近感よりも、ほどよい緊張感や責任感が意識されるものではないかと思います。
相手の立場に立って考えてこそ「信頼関係」は築かれる
こうしたお話をすると、「部下には心を閉じて、表面的に接するしかないのか」「部下の態度と本音が裏腹なら、信頼関係など築けないじゃないか」と言われることがあります。しかし、そのように極端に考える必要もありません。信頼関係は、お互いが相手の気持ちを気遣い、相手の立場に立って考えたいという気持ちが通じ合った結果、築かれるものです。上司が部下の心情を気遣い、部下の立場に立って考えようとしている姿が伝われば、部下は自ずと上司に心を開いていくものです。
人の気持ちは、十人十色。したがって、部下の気持ちに共感できないことも多いはずです。しかし、相手の立場で考えて共感的に理解しようという努力はできるはずです。
「彼にとって、こういう対応は負担なのではないか?」「自分は楽しいが、この人はどう思っているのだろう」と、相手の立場で考えてみましょう。実際、目上の人に対しては、常にそうした努力をしているのではないでしょうか?
上司と部下は対等ではありません。だからこそ、部下は本音を見せにくいのです。したがって、上司が部下の本音に近づくためには、相手の立場に立って自分の言動を振り返ってみるしかありません。分かりにくいときには、家族や友人に自分の言動をどう感じるか、意見を聞いてみてもいいでしょう。
次回は、「ハラスメント加害者」と見なされてしまったときの対応ポイントについて、お伝えします。「SNSの友達申請もパワハラ?「個の侵害」にご用心」「モラルハラスメントをする人、受ける人の特徴とは」もあわせてご覧ください。